長岡まつりは前夜祭もアツい! 熱気充満、神輿渡御

2016/7/31

毎年8月2日、3日に行われる「長岡まつり」。日本一と名高い「長岡大花火大会」に注目が集まるが、8月1日に行われる前夜祭もかなりアツいことはあまり知られていない。長岡駅前から走る長岡の脊髄である「大手通り」、そこから二手に分かれる「すずらん通り」と「セントラル通り」を車両通行止めにして、昼から夜22時までさまざまな催しが行われる。時を積むごとに祭りの一体感が増し、前夜祭が最高潮に盛り上がるのは26団体約3,000人の本気がぶつかり合う「越後長岡慰霊神輿渡御」だ。

 

慰霊の気持ちを込めて
まつりを盛り上げる神輿渡御

「ミコシトギョ」と読む。渡御とは神輿が進むこと。神霊が宿った神体や依り台を神輿に移して、動かすことを意味する。

長岡まつりは昭和21年、長岡空襲の1年後に「長岡復興祭」としてスタート。神輿渡御は昭和61年、市制80周年に長岡まつりの活性を目指して始まった。はじめは昼行事の子ども神輿からはじまったという。昭和50年代後半から「堀金青年会」など各町内の神輿や「越後長岡 悠心會」「憂星会」といった有志で作られた団体が集まり、神輿が担がれるように。昭和63年には「長岡神輿協議会」も発足。平成3年ころから参加団体が増え、三島地域、栃尾地域など合併市町村の伝統的な神輿の会も参加、現在は26団体に及ぶ神輿の会が前夜祭に集結する。

20時ころ各会で神事が行われ、慰霊の気持ちを込めて黙とう、ケガや争いが起きないことを願い、多くの人とともに長岡まつりの成功を目指そうと、みんなで誓う。そして、20時50分~22時まで「セイヤァ」の掛け声とともに、神輿を担いで大手通りやすずらん通りを練り歩く。

神輿の会の名前が入った袢纏(はんてん)を羽織り、ギュッと帯を締める。何百キロもある神輿の重みは、地域への感謝と先人たちへ向ける礼節に置き換えられる。それぞれの想いが掛け声とともに高まり本気がぶつかることで、荒々しい雰囲気は担ぐほど勢いを増していく。

大手通り交差点の中心に神輿が集結するとき、人の熱気が渦を巻く興奮は、沿道で観ているだけでも伝わるはず。

参加する26団体の中で、平均年齢が低い若手の会の筆頭、ひときわ個性的なオーラを放つのが「長岡神輿會 越後長岡 飛火舞」だ。

結成10周年を迎え、今年神輿を購入。7月10日に長岡市表町「平潟神社」にて入魂の儀(宮出し)が行われた。

 

2⁻飛火舞-奉納

 

ワルそうな奴はだいたい飛火舞!?
10周年を迎え、入魂の儀

「飛火舞」は会頭の金子隼人さんを中心に2007年に結成。結成当時は「ラッパーやDJなど音楽やってたり、わりと目立っているタイプが多かったから、やんちゃな奴の集まりだと誤解されることもあった」と金子さん。「まぁ、確かにそうなんだけど……」と結成のきっかけを振り返る。

10年前、6月中旬に「神輿担ぎたいよね」「でも担ぐなら人の会じゃなくて自分たちで会をやりたい」と居酒屋で会話が盛り上がる。でも、どうやったら担げるのか皆目見当も付かなかったので、まず「長岡神輿協議会」の門をたたいた。当時の会長に会いに行くと「そんな急に担げるもんじゃない」と一喝されるが、「とりあえず80人集めて、会のはんてん作れば認めてやる」とお許しをもらう。

その後は仲間集めに奔走し、はんてんを作り、神輿も仲間のつながりで借りて、担ぎ方を教えてもらい、前夜祭当日には約90人の仲間とともに「とにかく担いだ」。はじめは作法も分からず、ハチャメチャだったが、「周りの方にたくさん教えてもらった」。

神輿はずっとレンタルだったが、今年10周年を迎えて「買っちまおうぜ!」と一念発起し、オリジナルの万灯(まんとう)神輿を制作した。「本当にたくさんの人から協力をしてもらって、皆さんのおかげ、としか言いようがない」。

 

絵を描いたのは長野市で活躍している絵馬師である山口佳祐氏。

中央4面に飾られた絵を描いたのは長野市で活躍している絵馬師・山口佳祐氏。

長岡空襲が始まった時刻に毎年あがる花火「白菊」を信濃川とともに。

4⁻飛火舞ー絵2

柿川で行う「灯篭流し」と「白菊」の一枚絵。実際は灯籠流しの時刻と打ち上げ時刻は別。

4⁻飛火舞ー絵3

中越大震災からの復興を目指し、市民の募金であげられる「震災復興フェニックス」。

4⁻飛火舞ー絵4

力強く描かれた不死鳥。左には雄、右には雌をはばたかせた。こちらは雌。

神輿奉納の舞台となった「平潟神社」には、市内外各地からさまざまなはんてんを羽織った約200人が集結。神事を行い、振る舞い酒で身を清めたあと、全員で神輿を担ぎ、景気をつける。

3⁻飛火舞-奉納神事 - コピー

厳かに入魂の儀が執り行われた。

5⁻飛火舞-振る舞い酒

神輿を担ぐ全員に日本酒が振る舞われた。

6⁻飛火舞-引き

宮出しをして、お披露目渡御

6⁻飛火舞⁻神輿止め

 

町の人へのお披露目もかねて、平潟神社から出発し、全員で代わる代わる神輿を担ぎ、大手通りへ入り、アオーレ長岡で直会(なおらい)を行った。何百キロもある神輿は、たくさんの人の肩(力)を借りないとあがらないのだ。

 

8⁻飛火舞-金子隼人

入魂の儀を終え、挨拶をする金子隼人さん。

 

なんで神輿を担ぐんだろう? 金子さんに素朴な質問をぶつけてみた。

「神輿を担ぐって、すごいエネルギーを感じるんだよね。ちょっとガラが悪く見られがちだけど、神輿を担いでいるときの、ジャンルレスな一体感がすごくいい。仲間や地域をともに守らないとっていう気持ちも高まるし、平和への祈りを再確認できるっていうか……、ほんとみんなのおかげだよね」。

「飛火舞」とは、長岡花火をイメージして命名。世界を魅了し、平和への祈りを込めて上げる長岡花火のように、神輿で人々を魅了し、幸せな気持ちにしたい。という想いが込められている。

7⁻飛火舞-集合

アオーレ長岡のナカドマで記念撮影。

 

はじめは右も左もわからなかったが、10年掛けて少しずつつながりを作り、他団体と友好関係を結べるように。この日も200人が神輿奉納を祝いに集まった。飛火舞メンバーをはじめ、集まった方々のまつりへの思いをひしひしと感じた一日だった。

 

ちなみに会に入っていないけど神輿を担いでみたい! と思ったなら、当日でも飛び入りできる団体もある。

 

今からでも参加できる!?
一般参加の神輿渡御

9-長岡JC神輿

神輿渡御は神輿の会に入っていなくても担げる神輿がいくつかある。

すでに募集が終わっているものも多いが、一般社団法人 長岡青年会議所の神輿渡御なら当日受付を済ませれば、参加可能だ(ただし予約優先、定員に達し次第終了)。500円で半纏と帯を貸してくれる。タオルは進呈でドリンクも出る。長岡青年会議所のメンバーと一般参加者合わせて毎年約240名で担ぐ神輿は、神輿の担ぎ方がわからなくても誘導してくれるので、初めてでもなんとかなる。担いでみたい、と思ったらなら、当日18時30分までにアオーレ長岡のアリーナに来て受け付けを行えばいい。

詳細は長岡青年会議所HPを参照。

 

長岡まつりに参加して一緒に盛り上げよう。

客観するより、傍観するより、ずっとエキサイティングな夏になる。

 

越後長岡慰霊神輿渡御
8月1日18時~22時(神輿は20時50分~22時)
大手通り、スズラン通り、セントラル通り、アオーレ長岡
0258-32-4500(長岡商工会議所 商業観光係)

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