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「触れば分かる」ラーメンズ片桐。火焔土器の魅力を大いに語る

アート体験する歴史長岡
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2016年 12月 14日 | な!ナガオカ スタッフ

今でこそ、縄文美術の傑作として扱われることの多い火焔型土器。しかし1936年に最初の火焔型土器(いわゆる火焔土器)が新潟県長岡市で発見されてからしばらくは「美術」の文脈で語られることはなかった。この流れを変えたのが、総高70mの巨大モニュメント「太陽の塔」や「芸術は爆発だ」の発言で有名な芸術家・岡本太郎だ。

きっかけは1951年。岡本が東京国立博物館で火焔型土器を見たことだった。もともとパリのソルボンヌ大学で文化人類学を学んでいた岡本は、初めて出会った火焔型土器の造形に度肝を抜かれる。翌年には興奮冷めやらぬまま、美術雑誌『みずゑ』にて論文「四次元との対話―縄文土器論」を発表。これをきっかけに日本美術史は縄文時代から語られるようになったという。

美術的な側面から火焔型土器の新たな価値を見出し、世に広めた岡本太郎。そんな岡本同様、心から火焔型土器を愛し、できるだけたくさんの人にその魅力を伝えようとしている人物がいる。コメディアンで俳優の片桐仁さんだ。

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実は美大卒で、彫刻家としても活躍する片桐さん。一体彼は火焔型土器のどこに「ハマった」のか。日本中で5つだけ存在するという、3Dスキャンデータから作られた精巧な火焔土器(最初に発見された火焔型土器)のレプリカをかたわらに、インタビューを敢行した。

 

最初は勘違いしていた火焔土器の魅力

――火焔型土器がお好きだと伺いました。

片桐「大好きです。火焔型土器がたくさん展示されている長岡の馬高縄文館には何回も行ってますし、好きすぎて2011年には、自分でデッサンした火焔土器を全面にプリントしたTシャツを作って販売しました」

片桐さんがデッサン・デザインした火焔土器Tシャツ(JOMONFANサイトより)

片桐さんがデッサン・デザインした火焔土器Tシャツ(JOMONFANサイトより)

――どんなところが魅力的なんでしょうか?

片桐「いわゆる日本のデザインって、無駄が省かれた『引き算』のデザインが多いと思うんです。でもこの火焔土器……(火焔土器のレプリカを触りながら)、全然引き算じゃないですよね。

今の日本のデザインを『引き算』だとすると、火焔土器は見た目からして『足し算』のデザイン。いろいろ装飾が付け加えられて形作られている。最初はそういう、今の潮流とはまったく異なるところに魅力を感じていました」

――「最初は」ということは、今では違うところに惹かれているんでしょうか?

片桐「火焔土器の特徴的な装飾を、最初は単に呪術的なものだと思っていたんですよ。でも2013年の旅番組の撮影のとき、馬高縄文館で初めて火焔土器作りを体験して実際に自分の手で作ってみると、それまで装飾だと思っていた文様に法則性があることが分かってきた。

例えば、この『鶏頭冠(土器の上部、取手のようにギザギザと飛び出しているところ)』が4つあることからも分かる通り、基本的に火焔土器は4面で構成されています。じゃあその下の胴部分の模様も同じものが4面続いているのかと思いきや、逆U字状の文様が1面だけ少なかったりするんです」

片桐さんが左手の指を置いているところが「鶏頭冠」。「鶏冠状把手」とも言われる。

片桐さんが左手の指を置いているところが「鶏頭冠」。「鶏冠状把手」とも言われる。

一箇所だけ逆U字状の文様が異なるという箇所を手で触りながら示す片桐さん。

一箇所だけ逆U字状の文様が異なるという箇所を手で触りながら示す片桐さん。

片桐「そうやって丹念に文様を見ていく。すると、この火焔土器には何ひとつ無駄なところはないんじゃないか。すべての文様に意味があって、ここから足すことも引くこともできない、完成されたデザインなんじゃないかと思えてきたんです。

例えて言うなら、それまで自分は火焔土器を『合体ロボ』みたいなものだと思っていた。いろんなパーツが合体してどんどん過剰になっていく――そんな『足し算』のイメージです。

でも作って触っているうちに、どうやらそうじゃないんだということが分かってきた。この足すことも引くこともできない完成度の高さにこそ、今は魅了されていますね。

夏、Tシャツ用に火焔土器のスケッチをしたときも、最初は自分流にアレンジしてやろうと思っていたんですが、描いているうちに渦巻き模様の中にどんどんのめり込んでしまい……。何も足さず何も引かず、結局そのまま模写してしまいました(笑)」

まるで恋人に向けるような優しい眼差しで火焔土器(のレプリカ)を見つめる。

まるで恋人に向けるような優しい眼差しで火焔土器(のレプリカ)を見つめる。

 

理屈ではなくまずは持ってみることから

――火焔土器自体の知名度は高いものの、その魅力に気付いている人は少ないと感じます。

「残念ですよね。それこそ長岡なんて大量の火焔型土器を展示する博物館があって、街のあちこちに火焔土器のモニュメントがあって、これ以上ないぜいたくな環境なのに。

とはいえこれだけインパクトのあるものですから、無理矢理『好きになれ』といっても難しいだろうなとは思います。ある程度、人を選んでしまうのは仕方がない気がする。大事なのはやはり、体感することでしょうね。

火焔土器は祭祀で使われていたと見られている一方で、普通に煮炊きにも利用されていたと考えられているそうです。『見るもの』ではなく、『使うもの』であったのであればなおさら、持ってみないとその存在感は感じられないと思います。

博物館でガラス越しに眺めていても、このスゴさはなかなか分かりません。特に火焔土器は、信濃川流域で発見されている火焔型土器(最初に発掘された火焔土器と同タイプの土器を指す用語)と比べてもサイズ感と重さ、デザインのバランスが抜群にいい! 実際に持ってこの重さを感じ、文様を触って指でなぞれば、否応無しに魅了されるでしょう。

(手許の火焔土器レプリカを撫で回しながら)……しかしこのレプリカは本当によくできてますね。重さといい質感といい、素晴らしいです。こういうのに触れられたら、貴重な体験になるでしょうね。

それで興味を持ったなら、作ってみればいい。馬高縄文館には火焔土器作りの先生がいて、本格的な火焔土器の作り方をみっちり教えてくれますよ!」

本物とほぼ同じ重さで作られたレプリカを持つ。その重量約3kg。この重さも魅力のひとつだ。

本物とほぼ同じ重さで作られたレプリカを持つ。その重量約3kg。この重さも魅力のひとつだ。

火焔土器の中で、最も好きだというハート型の穴をつまむ。その形から、間違いなく人間の手によって作り出されたものであることが分かる。

火焔土器の中で、最も好きだというハート型の穴をつまむ。その形から、間違いなく人間の手によって作り出されたものであることが分かる。

 

今なら火焔土器をあなたの手中に!

たった30分足らずのインタビューだったものの、火焔土器に寄せる熱い思いを語ってくれた片桐さん。その言葉は徹頭徹尾「触ってみよう。触れば分かる」だった。

しかし現実問題として、重要文化財に指定されている本物はもちろん、例えレプリカといえども火焔土器に触れる機会などそうそうない……かと思いきや、なんと12月5日からアオーレ長岡にて、片桐さんが触っていたものと同じ火焔土器が展示中。しかも持ち上げたり触ったりすることも可能なのだ!

これは火焔土器出土80周年を記念する企画で、会場にはレプリカ展示のほか、岡本太郎が火焔型土器を見た際に受けた衝動を物語るコメントや、長岡に来た際に描いたメッセージとサイン、土器を囲んで岡本太郎と片桐さんとともに写真が撮れる人物パネルなどが設置されている。さらに12月24日(土)の14時〜15時には、片桐さん出演の市政特別番組「なんだ、コレは!火焔型土器 世界へ」が放送される予定だ(新潟総合テレビ)。

とにかく火焔型土器ざんまいの年末年始。こんなぜいたくを長岡市民だけの特権にしておくのはもったいない。ぜひアオーレ長岡まで足を伸ばし、今しかできない火焔土器体験を堪能しよう。

噂によると相当高価らしいこのレプリカ。落としたら普通に割れるので、触らせてもらえる機会は本当に貴重。

噂によると相当高価らしいこのレプリカ。落としたら普通に割れるので、触らせてもらえる機会は本当に貴重。

 

火焔土器出土80周年記念「火焔土器のレプリカ展示」
[場所] アオーレ長岡東棟1階 総合窓口前
[住所] 長岡市大手通1‐4‐10
[展示期間] 2016年 12月5日〜2017年1月27日
[展示時間] 8:15~20:00
[定休日] 2016年 12月31日〜2017年1月2日

 

市政特別番組「なんだ、コレは!火焔型土器 世界へ」
[放送日]12月24日(土)午後2時~3時
[放送局]NST新潟総合テレビ

 

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