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バスケを通じて地元を元気に!新潟アルビレックスBB・佐藤公威/五十嵐圭の想い

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スポーツ体験する長岡
スポーツ体験する長岡
2016年 12月 18日 | な!ナガオカ スタッフ

2016年9月に開幕した、バスケットボールの「Bリーグ」。これまでプロの「bjリーグ」と企業チーム中心の「NBL」という2つのリーグが混在していた日本バスケ界がひとつに統一されて誕生した、待望のプロリーグです。

そこに参加している新潟県のチーム「新潟アルビレックスBB」こそ、日本で初めてのプロバスケットチーム。現在の形になったのは2000年ですが、前身である大和証券チーム時代から数えると、実に60年以上の歴史を持つ古豪です。

その歴史あるチームが、Bリーグの開幕に伴って長岡市のアオーレ長岡に移転! 全国的にも珍しい「駅・市役所直結型」のアリーナに、ダムダムとボールの音が響き始めたのです。ホームでの開幕戦には球団史上初の記録となる5286人の観客が駆けつけ、地元チームの熱戦に熱い声援を送りました。

チームを引っ張るのは、キャプテンの佐藤公威(きみたけ)選手。地元・長岡市生まれの佐藤選手はプロとしてのキャリアをアルビBBでスタートし、一時他チームに移籍するものの、2011年から再び新潟に復帰。スピードと思い切りのいいオフェンス、そして常に攻め気を忘れないポジティブさが持ち味の“熱い男”です。

そして、今年からアルビBBに入団したのが、同じ新潟の上越市生まれである五十嵐圭選手。世界レベルのスピードで日本代表にも選出されると同時に、写真集なども発売されたことのあるバスケ界の貴公子。昨年のNBLでは、ポジション別の得点王にも輝きました。巧みなゲームメイクでチームのエンジン役になると同時に、豊富な経験を地元の選手たちに伝えてくれています。

今回は、そんな中心選手おふたりに、特別ロングインタビュー! Bリーグ開幕にかける決意や地元への思いを、たっぷり伺いました。

 

 

地元に恩返しがしたかった

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——本日は宜しくお願いします。練習後でお疲れのところ、すみません。

佐藤「あ、いえいえ! 全然疲れてないっす!」

——(笑)。佐藤選手は長岡の生まれですよね。これまでも地元・新潟のチームに所属していたわけですが、さらにそのホームが自分の生まれた街に移転になるというのは、どういう気分でしたか?

佐藤「驚いたし、嬉しかったですね。

アルビレックスのチームが生まれたのは僕が中学校の頃なんですが、当時、そのニュースを見て『新潟にプロのバスケットチームができるのか!』と興奮しましたし、一瞬で『オレはこのサテライト(2軍)チームに入ってトップを目指すんだ!』と決意したんです。

いわばアルビの誕生が僕の背中を押してくれたわけだし、そのチームがこうして今年新たに生まれたトップリーグに参加して、さらにホームが地元の街というのはやっぱり特別な気分です」

——五十嵐選手はいかがですか? Bリーグ発足の記念すべき年に地元に戻ってプレーされるというのは、やはり特別な思いがあるのでしょうか。

五十嵐「そうですね。キャリアを積む中で、『タイミングさえ合えばいつかは地元・新潟のチームでプレーしてみたい』という思いは心の中で育ってきていたので、前所属チームの契約が満了した時に真っ先にアルビレックスから声をかけてきてくれたときはとても嬉しかったですし、リーグ発足という特別なタイミングでもありますから、この機会に地元に恩返しができればいいと思って帰って来ました」

——新たなホームである長岡はいかがですか?

五十嵐「以前はバスケの試合で新潟に来るときは朱鷺メッセが試合会場だったので、どうしてもそのイメージが強かったんです。チームが長岡に移ることやアオーレ長岡がホームになることは知っていたんですが、入団会見のときに初めて来て、今っぽいデザインに『なんて斬新な建物なんだ!』と思いましたね(笑)。駅にも直結で、市の中心部にあってアクセスもいい。恵まれた環境だなと思います。ほかには中之島体育館で練習や試合をすることもありますが、シーズン中は練習-試合-移動の繰り返しで、実は街をじっくり見るということはまだできていないんですよ。

オフになって時間ができたらいろいろなところにも行ってみたいし、これから楽しみながら長岡や新潟の暮らしを知っていきたいですね」

——佐藤選手は完全に、勝手知ったる地元ですよね。

佐藤「そうですね。高校生の頃は長岡で試合もやってましたけど、プロになって、ホームとして帰ってくるとは思いませんでした。だから、昔この街で当たり前にバスケットをしていたときのホームグラウンドの雰囲気と、プロの試合をここで……という新鮮な感覚が一緒になって、ちょっとまだ不思議な気分ですね。ふわふわしてます(笑)。

ただ、やはり地元ということで、お世話になった方々や同級生、先生がたなどがたくさん試合を見に来てくれて。アリーナに知った顔が並んでいたりすると、素直に嬉しいです」

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佐藤 公威(さとう きみたけ)選手 1984年4月23日生まれ。新潟県長岡市出身。

 

それぞれの考える「チームのために」

——今シーズンから五十嵐選手が仲間に加わられて、いかがですか?

佐藤「さっきケイさんが朱鷺メッセで試合をしていたと言いましたけど、僕はその頃の試合を、まさに朱鷺メッセで観ているんですよ。まだ短大生だったんですけど、『うわ、この人すごいな……!』と思いながら。だから、それから時を経て同じチームでプレーできるのは、感慨深いですね。貴重な体験をさせてもらっています」

——Bリーグになって、五十嵐選手をはじめとして旧NBLからも新しく選手が加入しましたよね。また新たになった陣容をまとめ上げるために、キャプテンとして気をつけていることなどはありますか?

佐藤「ことコートにおいては、具体的には言えないんですけど、チームが掲げているルールがあるんです。それが守れなかったときは負けているし、守れたときは勝っていることが多いですね。あとは、これは今の監督の方針なんですけど、それぞれが自分のできることを最大限自由にやれるムードがあるので、瞬間瞬間のアイディアでプレーがうまくいくこともあります。そういう一つひとつを積み重ねて、チームの形を作って行っているところですね。

チームによって文化やスタイルは違いますが、新潟というのは地道にコツコツというか……泥臭くディフェンスしながら無駄なく得点につなげていくチームなんですね。そういう“新潟のプレー”をきちんと表現していければ、いいチームになると思います。

佐藤優樹(アルビBB所属のシューティングガード選手)のように一人のプレーでチーム全体を勇気づけられるような選手がいるというのも、新潟のいいところです。彼がみんなにはできないことをやってくれるし、逆に彼のできないことをみんなでやっていくという文化もある。そういうところがなくなったらこのチームはダメだと思うので、守っていきたい部分ですね」

——五十嵐選手は、逆に新しいチームの一員としてどのように振る舞おうと意識されていますか?

五十嵐「僕は、キャリアとしてはもうベテランと言われる年齢になってきています。長年プロの世界にいるので、まずは自分のプレーでみんなを引っ張っていきたいなと思っています。得点も期待されているところですから、それも当然やっていきたい。

でも、ポイントガードというのは周りの選手たちの特徴をつかんで、その選手を生かす役割でもあります。ベテランの自分がやるべきことは、彼らを生かしながらそのいいところを伸ばすということでもあるのかなと」

——なるほど。

五十嵐「あと、このレベルまできている選手というのは、基本的にみんな我が強いんですよ。だけど、バスケットは一人でできるわけじゃない。勝つためにはチームが同じ方向を向かないといけないし、我の強い人間が集まってどういう風に協力し合えるかということもチームの力のうち。

とは言えプロの選手たちですから、我が強いといえどもみんなそれぞれが『チームで勝つ』ための意識を持ってやっています。そういう個々の考えを拾いながら『みんなが同じ方向を向く』という流れを作るのが、例えばコートではポイントガードの僕だったり、キャプテンのキミ(佐藤選手のニックネーム)だったりの役目なんだと思います」

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五十嵐 圭(いがらし けい)選手 1980年5月7日生まれ。 新潟県上越市出身。

 

新潟と「アルビレックス文化」

——少し話は変わりますが、アルビレックスはバスケだけでなく、サッカーや野球のチームも持っています。チームカラーのオレンジも統一されているし、種目は違えど県内のいたるところでオレンジのウェアを目にすることが多いので、なんとなく「オール新潟で盛り上げようとしているんだな」という印象を抱く。これはけっこう全国的にも珍しいなと思うんです。

佐藤 「そうですね。『アルビレックス』というチーム名は種目が違っても共通しているので、全国的にも名前を知っている方は多いと思うんです。そこに所属しているという責任感を抱くのと同時に、同じくその一員であるサッカーのサポーターの方や野球のファンの方、そしてもちろんバスケのブースターの方が一丸となって『アルビレックス』というチームを応援してくださっているというのがすごく伝わりますし、そのファミリーの一員として、新潟全体を盛り上げていきたいという気持ちになれますね」

五十嵐「僕はこれまでプロの選手として活動はしてきましたが、企業チームにしか所属したことはなかったので、今回アルビレックスに入って初めて『地元密着型の、しかも故郷のプロチーム』という文化を体験しているんです。

その中で、今キミが言ったみたいにチームも『アルビレックス』というグループ全体で戦おうとしているんだなということを強く感じますし、新潟の方々も、バスケもサッカーでも他のスポーツでも、『アルビレックスというチームを応援しよう』と一丸になっていると思います。そういうことは企業チームでは感じたことがなかったので、改めて『僕たちは多くの方に支えられているんだな』と実感しましたし、実際にホームでの開幕戦でそういう方々が会場に足を運んでくださっているのを見たとき、『ああ、ここに選手としていられるのはすごく幸せなことだ』と思いました」

 

 

このチームから発信していきたい

——バスケットは競技人口が多いにもかかわらず、プロリーグも分立してきたりして、これまで一般的には今ひとつ盛り上がりきれなかった部分があります。リーグが統一されて、地元やバスケットを盛り上げるために決意を新たにしていることなどはありますか?

佐藤「bjリーグとNBLって、(ショーアップしたプロリーグと質実剛健な企業チーム中心のリーグということで)ちょっとムードが違いましたよね。僕の中では、実は『NBLでプレーをしてみたい』という気持ちもあったんですが、bjリーグで11年間プレーさせていただく中でたくさんのことも学べたし、そんな中でやっとバスケット界がひとつになって、しかも所属するアルビレックスがB1(1部リーグ)に入れたという幸せな状況にいます。

実際に試合が始まってみると、旧NBLの選手とマッチアップする機会も増えて、楽しい一方『ああ、自分はまだまだだな』という部分も多いです。そういう経験ができているので、試合のたびにワクワクするんですよ。それを積み重ねて、まずはもっと成長していきたい」

五十嵐「僕はNBLにずっといて、もちろんbjリーグのことも知っていたし、実際リーグに所属している選手たちとも『いずれはひとつになれるといいね』という話はしていたんです。ですが、さすがにこればかりは自分たちの力ではどうにもならなかった。そんな中で新しいリーグが立ち上がって、自分自身も故郷である新潟のチームでプレーできているのは、とてもありがたいことですね。

僕は、このチームからいろいろなことを発信していきたいんです。技術的なレベルアップももちろん大事ですが、たとえば試合の中での演出なんかはNBLよりbjリーグのほうが格段に上だったので、そういう部分も大いに参考にして、新潟の中だけにとどまらず日本のバスケットボール界全体をよくしていけるようなことを試みていきたいですね。

長く新潟でプレーしているキミがまさにそうですけど、アルビレックスに関わる人たちはみんな『日本で初めてのプロチーム』というプライドを持っている。このチームに入った僕自身もそういう意識でプレーをしていきたいし、かつてないくらいバスケットボール界が盛り上がっている今、新潟からその盛り上がりをリードできるようなことをどんどん試して、新潟から発信していきたいんです」

 

 

楽しさが伝わるプレーをしたい

 

——たとえあまり詳しくない人でも、バスケの試合はスピード感や迫力があって、観ているだけでとても面白いと思うんですよね。「バスケの楽しさ」を多くの人に伝えるために、選手としてはどんなことをしていきたいですか?

五十嵐「やはり、プロとしては『勝つこと』ですよね。そして、勝つ中でもプロとして“魅せる”ことができれば最高です。新潟には目の肥えた方が多いと思うので、『あのプレーはすごかったね。また見たい!』とか『今日の試合、展開が面白かったね』という感想を抱いてもらえるような試合をしたいですね。勝っている試合ほど僕たちも生き生きしながらプレーしていると思うので、そういう意味でも、勝ちを重ねていきたいです。

佐藤「チームを勝たせるためにお客さんが応援してくださるわけですけど、たくさんの人の心がひとつになるあの感じは、会場に来て楽しんでほしいなと思いますね。ホームでの開幕戦には5000人以上の方々が来てくれて本当に楽しかったんですが、選手としては、自分の楽しさが観にきている人たちにも伝わるようなプレーをしたいと思います。それが、結果的に勝ちにつながっていくとも思いますし」

五十嵐「負けて楽しいことは、なにもないですからね(笑)」

——現在、ちょうど勝率5割(取材した12月頭現在、10勝10敗)。ここから勝ちを重ねていくために、どうしていけばいいでしょうか。

佐藤「そうですね……。この数試合で『今日は勝てるな』というときと『今日は苦戦しそうだ』というときのチームの雰囲気が、ハッキリわかってきたんです。なので、その勝ちパターンのほうの雰囲気を、常に感じていたいですね。コートに立っている人間にしかわからないことだと思うので抽象的になってしまうんですけど、『こういう雰囲気のときに勝てるんだ』という共通理解をみんなが掴むことができれば、やるべきことが明確になってくる。それがチームの芯になってくれば、強いと思うんです」

——五十嵐選手はいかがですか?

五十嵐「いまキミが言ったようなことは『自分たちのリズムでバスケットができているか』ということともつながってくると思うんですが、それができていれば勝ちにつながっているし、できていないときはやっぱり負け試合になっています。

チームが少しずつお互いに慣れてきている中で、これから先は、相手や状況に対する対応力がカギになってくると思います。たとえば、相手のディフェンスに抑え込まれてしまっているようなとき、次にどんなカードを切れるか。そういうことを考えるのはスタッフの仕事でもありますが、やはり実際にプレーする選手一人ひとりが考えていけると、もっと勝ち数も伸びていくんじゃないかなと思います」

 

 

「次の世代」のために

——そろそろお時間ですね。そういえば、練習後とかにみなさんでご飯に行ったりはしないんですか?

佐藤「長岡のお店にも行きたいですが、まあ、これからという感じですね。実際、僕自身も高校までしか長岡にいなかったので、あまりお店がわからないんですよ。外食といったら『原信』に入ってる『フレンド』くらいだったので(笑)。開拓しなきゃとは思ってるんですけど……。ゆっくりできるのはオフかなあ」

五十嵐「僕もお店は、まさにこれからという感じですね。ただ、長岡コシヒカリの『金匠』がすごくおいしくて。うちの妻はさっそく『原信』で買って、実家に送ってたみたいです」

佐藤「『原信』のすごいPRになってる!(笑)」

五十嵐「(笑)。新潟はおいしいものも多いですから、僕たちがいいプレーをすることによって、地元の様々な物事のPRにもつながっていければいいなと思いますね」

——そういう意味でも、まずはアルビレックスが勝つことを通じていろいろなことを発信して、新潟全体を盛り上げていきたいですね。「試合を見に行ってみたいけど、どうしようかな……」と迷っている読者の方に、最後の一押しを!

五十嵐「やはり、バスケットの魅力は間近で見てもらうことで伝わるものなんだろうなと思います。

他のスポーツに比べると、バスケットは選手と観客席の距離がものすごく近いんです。ルーズボールを追いかけてきた選手とぶつかりそうになったり、コート内での会話、息遣い、シューズがフロアに擦れる音など、多くのことを間近で感じてもらえるのが、会場に足を運んでもらうことの良さですね。

そんな中で僕たちとしては、勝ちを目指すことはもちろんですが、先ほど言ったようにそれぞれがチームとして同じ方向を向いていること、その姿勢そのものをお見せできるといいと思います。

最近の子供たちや若い人はなかなか夢を持ちづらいというようなことも耳にするんですが、そんな次の世代にとって僕たちの姿が夢や目標を見つけられるきっかけになればいいし、できれば『バスケの選手になりたい!』と思ってもらえると、さらに嬉しいですね」

——「五十嵐さんに憧れてプロになったんです!」という選手が入団してきたら、最高ですよね。

五十嵐「そうですね。観ている人に夢を与えるのも、僕たちの仕事だと思っているので」

佐藤「ぼくがこの街で中学生や高校生だった時と比べると、いまの若い子たちはすごく環境に恵まれてると思います。たとえバスケをやってなくてもみんなで心をひとつにして盛り上がれる場所がこんなに近くにあるし、バスケをやっている人にとってはなおさら、プロの練習が公開されていたりもしますから。せっかくなのでこれを無駄にせず、ぜひ練習や試合を見に来てほしいですね。

アオーレ長岡と中之島体育館で会いましょう!(笑)」

 

2016-17 B1リーグ 14節  新潟アルビレックスBB VS 千葉ジェッツ
[日程]12/23(金)・12/24(土)
[開始時刻]23日(金)18:00 24日(土)13:00
[会場]シティホールプラザアオーレ長岡
[HP]https://www.albirex.com/
最新の試合スケジュール、チケット情報は、公式ホームページをご確認ください。

 

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