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ネット時代に生き残る“店舗の価値”とは? 街の老舗模型店「龍文堂」の魅力

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買う遊ぶ長岡
買う遊ぶ長岡
2017年 2月 2日 | な!ナガオカ スタッフ

かつては全国各地にあった「町の模型屋さん」。とくに30代以上の男性の方は、子供の頃に一度は訪れたことがあるのではないでしょうか。

時代とともに街で見かけることは少なくなってしまいましたが、長岡市には、今もなお多くの人が集い、模型文化の発信拠点となっている模型店があります。

長岡駅から徒歩10分弱、表町(おもてまち)にある「龍文堂」は、創業が昭和23(1948)年という、新潟県内でも屈指の長い歴史をもつ老舗模型店。「長岡に生まれた人ならば、知らない人はいない」とまで言われ、模型マニア、プラモデル愛好家から絶大な支持を集めているお店です。

昔ながらの佇まいを残すその魅力に魅せられ、遠方から足繁く通うお客さんもいるのだとか。

一体、何が人を惹きつけるのでしょうか。その理由を探りに、お店を訪問してみました。

 

天井までぎっしり! 圧巻の品揃え

入ってすぐに出迎えてくれるのが、戦車、艦船、ガンプラ(ガンダムのプラモデル)といった商品の数々。

奥に進むと、飛行機やクルマ、バイク模型があります。いずれのコーナーも棚の端から端、下から上までぎっしりと積まれている、圧巻の光景が眼前に広がります。

飛行機模型コーナー。一般的に1/72と1/32サイズで展開されているが、どちらも網羅。

飛行機模型コーナー。一般的に1/72と1/32サイズで展開されているが、どちらも網羅。

懐かしい単色モデルや復刻版のガンプラも。

懐かしい単色モデルや復刻版のガンプラも。

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ミニ四駆も豊富。

こちらはミニ四駆コーナー。模型に詳しくなくても、ミニ四駆は作ったことがあるという方は多いのではないでしょうか。

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新しいモデルから、ミニ四駆黎明期の懐かしいモデルまでを出来る限り置いているそうです。

 

一つひとつにストーリーがある
珠玉のディスプレイ作品たち

龍文堂を訪れた際にぜひ目を向けていただきたいのが、ショーケースに陳列された作品です。

入り口のショーケースにはぎっしりと作品が飾られている。

入り口のショーケースにはぎっしりと作品が飾られている。

模型製作を行う愛好家を「モデラー」と呼びますが、そのモデラーさんひとりひとりの個性が光る、入魂の作品たちです。

模型店では一般的に、そのお店の常連客を中心に、モデラーの作品を展示しているところが多いのですが、龍文堂はそのディスプレイ展示の作品数が大変多いことでも有名です。通常は「お店からモデラーにお願いする」ことが多いそうですが、持ち込みで「飾ってくれ」というのもありだそう。中にはプロモデラーとして活躍する方の作品も。

模型は、組み立て前は量産品であっても、組み方や塗装などによってまったく違う命を吹き込まれるもの。いわば、組んだ人の数だけストーリーがあるとも言えます。今回は、その中からひとつの作品にフォーカスしてご紹介します。

 

バイク模型を作っていた少年が
いまでは新型車の開発を仕事に

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こちらのバイク模型を製作したのは、長岡市(旧山古志村)出身で現在は静岡県にお住まいの星野仁さん。

星野さんがはじめて龍文堂を訪れたのは、今から30数年前。高校生のころでした。プラモデル好きの友人に連れられ、気がつくと休みのたびに通うようになっていったといいます。

「通ううちに龍文堂に集まるモデラーの方々と仲良くなり、塗装の技法など模型製作のテクニックを色々と教わりながら作品を作るようになっていきました」と星野さん。

モデラー同士が熱く語り合う、店内の交流スペース。製作技術の継承の場にもなっている。

モデラー同士が熱く語り合う、店内の交流スペース。製作技術の継承の場にもなっている。

もともとオートバイ、とくにレース車両が好きだった星野さんは作品作りに没頭し、新しい作品を作るたびにお店へ持って行ったといいます。

そして、星野さんはいつしか、プラモデルだけではなく、「実際にバイクを作ってみたい」という思いを抱くようになっていきました。高校卒業後、念願叶って静岡県のバイクメーカーに就職。現在は、希望だったオートバイ開発部門でレース車両開発を担当しています。

「龍文堂に足を運び始めた頃からショーケースに並ぶ作品を観るのが楽しみでした。だからこそ、そのショーケースに自分のプラモデルを飾っていただくことはとても嬉しいことでした」と星野さん。

ひとつひとつの作品にお店と作り手の思い出がつまっているディスプレイ。中越地震の惨禍も乗り越え、いまも大事に展示を続ける。

ひとつひとつの作品にお店と作り手の思い出がつまっているディスプレイ。中越地震の惨禍も乗り越え、いまも大事に展示を続ける。

今ではバイク開発の第一線で活躍し、世界中を飛び回る日々を送る星野さん。

久しぶりに故郷へ帰った際、龍文堂を訪れ、自分の作った作品を発見しました。

「2004年の中越地震の際には、ディスプレイをはじめ店内がひどい状況になってしまったと聞きました。それにも関わらず現在も飾ってくださることに、とても感謝しています」

また、「新しくプラモデルを作ってみたという初心者の方の作品にこそ、このショーケースに並んでほしい」と星野さんは話します。

「私がバイク模型を展示してもらいはじめた当時は、まだその類の模型を作る人が少なかったので、持ち込んだところ快諾してくれました。『これを飾ってほしい』というものがあれば、どんどん飾ってみてほしいと思います」と星野さん。

自分が好きな分野のプラモデルを作ったら、ぜひ飾ってみましょう。そこから思わぬ交流が生まれることがあるかもしれません。

 

 マニアからビギナーまで交流できる
「店舗」という空間の価値

取材当日、お店を訪れていた男性のお客さん、Iさん(長岡市在住、モデラー歴40年以上)に龍文堂の魅力を聞いたところ「ビギナーからマニアまで、懐深く要望に応えてくれるところ」といいます。

モデラーが「ありがたい」と口をそろえる塗料やオプションパーツの豊富さ。

モデラーが「ありがたい」と口をそろえる塗料やオプションパーツの豊富さ。

また、「プラモデルの品揃えが良いのはもちろんのこと、塗料やオプションのパーツなどがいつ来てもしっかり揃っている。これは作り手としてとてもありがたいですね」とIさん。「初心者の頃はいろいろと試行錯誤するもの。腕を上げていくにあたって、近くにこうした品揃えの豊富なお店があることは大きいです。長岡に住んでいて良かったですよ(笑)」

最近では、インターネット通販などが発達し、実際にお店に足を運ばなくてもモノが手に入る世の中になりました。それは模型の世界も例外ではありません。

しかし、数十年前に作られた作品と、つい最近作られた作品が同じ場所に並び立つ空間や、ビギナーからマニアまで幅広い交流ができる空間は、バーチャルでは実現しにくいもの。そういう場所があることは、マニアは満足しつつ、模型のビギナーをも育て、ひいては模型文化をこの先へと継承していくことにつながるのです。

いまもなお多くの人を惹きつけ、圧倒的な支持を集める龍文堂。「ここにしかない出会い」「ここでしかできない体験」を求めて、お客さんは今日もお店に足を運ぶのです。

 

Texts and Photos: Junpei Takeya

 

龍文堂
[住所] 新潟県長岡市表町1丁目10-15
[電話] 0258-32-2782
[営業時間] 9:30~20:00
[定休日]水曜日
[駐車場]なし。※店舗向かって右に有料駐車場あり。2,000円以上購入で駐車券サービス。

 

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