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越後長岡の風情と芳香に浸る、醸造の町・摂田屋巡り【3】味噌星六~グルメ編

摂田屋歴史買う長岡食べる
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2017年 3月 24日 | な!ナガオカ スタッフ

地元出身のボランティアガイド、服部さんと巡る「醸造の町」摂田屋ツアー。最終編となる【3】では、住宅街を抜けて雁木通り(新潟県道370号線)へ。味噌星六から宮内駅方面へ進みます。

【1】【2】はこちら。

 

麹と対話し、麹に癒され
古式製法で作る「味噌星六」

「『雪紅梅』の文字は遠藤実さんでしたが、次に行く『味噌星六』の文字は洋画家の中川一政さんによるものだそうです」と服部さん。

明治30年代に星野本店から分家した味噌星六。化学農薬不使用の国産大豆と有機栽培米、伝統塩を使い、昔ながらの味噌を作る蔵元です。

前職はエンジニアという異色の経歴の店主、星野正夫さんを訪ねました。

「東京電機大学で学び、電子部品メーカーに4年間勤めましたが、いろいろなことをてきぱきとこなせず、要領が悪くてトラブルばかり。サラリーマン向きではなかったんです。精神世界に片足を突っ込んでるような人間で、不器用なんだけど、その不器用さがいまの星六味噌を作らせるんですね。いい加減なことはしたくないし、とことんじっくり構えたい。精神世界も物理学も突き詰めれば同じ根本原理に至りますが、味噌作りは精神と物理の世界だと私は思っているんです」(星野さん)

味噌星六の店主、星野正夫さん。作務衣が似合っています。Photo: Akiko Matsumaru

味噌星六の店主、星野正夫さん。作務衣が似合っています。Photo: Akiko Matsumaru

「祖父の星野六郎が醤油屋を運営して、2代目の父はその苦労を見ていて、3代目はだいたい食いつぶすのですが(笑)、私の兄弟はみな家を出ていたので、私がこの家を守ろうと思い戻ってきたんです。工業化される前の昔懐かしい、祖父の時代の手造り味噌を自宅で作ろうと思いました。

有吉佐和子の小説『複合汚染』が出たとき(注:1975年)、先にやられた! と感じました。私はいまで言う“ナチュラリスト”で、無農薬・無添加の昔ながらの味噌を自然エネルギーで作ろう、それができないなら味噌作りをする意味はないと思ったんです。

70年代に有機農法も出てきて、これだ!と。いまは秋田の大豆と米を使っていますが、人との出会いが大切で、『有機栽培』と書いてあればいいわけじゃないんです。農業は生活を考え、地球を考え、子供たちの未来を考えないといけない。『採算が合うわけないだろ、バカか』と言われる中で、私は当たり前の、昔ながらの味噌を作りたいだけなんです」(星野さん)

星六の商品は、この店舗か長岡駅ビル「CoCoLo長岡」内「酒ちんみ処 くぼたや」、またはネットショップで買えます。

右の看板の文字が洋画家・中川一政氏の手によるもの。店のシャッターなどにも使われ、インパクトがあります。星六の商品は、この店舗か長岡駅ビル「CoCoLo長岡」内「酒ちんみ処 くぼたや」、またはネットショップで買えます。

星野さんいわく、麹には不思議な力もあるのだとか。

「毎週2回、麹室に泊まるのですが、すごく安らいで、癒されます。星六の将来を巡って息子と大ゲンカをしたときも、安心して眠れました。『息子はあなたの背中を見ているんだから大丈夫。いまのままでいいんだよ』と麹が私に語りかけ、癒してくれたようでした。麹室で瞑想すると、とても気持ちがいいんです」(星野さん)

星野さんは摂田屋地区まちづくり協議会の会長も務めています。

「まちづくり、まちおこしと言いますが、地域の高齢者や若者が集う場やそれぞれの役割があり、町の人たちが元気になることが大切。地元の人が町を案内するボランティアガイドもいいですね。観光や商売の前に、まず住民が元気にならないと、まちづくりはできません」(星野さん)

星野さんに選んでもらった味噌。独特の風味と酸味が病みつきになりそう。Photo: Akiko Matsumaru

星野さんに選んでもらった味噌。独特の風味と酸味が病みつきになりそう。Photo: Akiko Matsumaru

糀だけの、玄米、白と3種類の「甘酒」は、生産が追いつかない人気商品。Photo: Akiko Matsumaru

糀だけの、玄米、白と3種類の「甘酒」は、生産が追いつかない人気商品。Photo: Akiko Matsumaru

味噌星六
[住所]長岡市摂田屋4-5-11
[電話]0258-32-6206
[営業時間]9:00~18:00
[定休日]日曜
[HP]http://hoshi6.com

 

「機那サフラン酒本舗」の土蔵を見て
摂田屋グルメ探訪へ

味噌星六の道を挟んで反対側、歩いて1分の場所に「機那(きな)サフラン酒本舗」があります。鮮やかな色彩の「鏝絵(こてえ)」が施された土蔵が美しい、薬用酒「サフラン酒」の蔵元。「機那サフラン酒本舗」については下記の記事を読んでみてください。

建築マニア必見! 長岡が誇る名建造物「機那サフラン酒本舗」とは?

大正時代に作られた土蔵が登録有形文化財。外観だけでもじっくり見る価値あり。

大正時代に作られた土蔵が登録有形文化財。外観だけでもじっくり見る価値あり。

サフラン酒の次はパン屋さんへ。「コッペパンが有名な旭屋さんですが、煮卵パンもおいしいですよ」と服部さんに教えてもらって、旭屋に立ち寄りました。

昔ながらの町のパン屋さんといった雰囲気の「旭屋」。Photo: Akiko Matsumaru

昔ながらの町のパン屋さんといった雰囲気の「旭屋」。Photo: Akiko Matsumaru

お目当ての「煮卵パン」は150円。昼過ぎに売り切れることもあるのでお早めに!

お目当ての「煮卵パン」は150円。昼過ぎに売り切れることもあるのでお早めに!

「旭屋」のコッペパンは下記の記事で紹介しています。

注文を受けてから塗る、できたてコッペパンを訪ねて「旭屋」へ

朝から約2時間のルートで町をめぐり、おなかが空いてきました。いくつかの名店がありますが、今日は一福食堂へ。

摂田屋の歴史の中ではまだまだ若い、昭和24年創業の一福食堂。

摂田屋の歴史の中ではまだまだ若い、昭和24年創業の一福食堂。

創業以来人気の、長岡のソウルフード「洋風カツ丼」。スープ付きで800円。

創業以来人気の、長岡のソウルフード「洋風カツ丼」。スープ付きで800円。

一福食堂
[住所] 長岡市宮内1-14-12
[電話] 0258-32-2518
[営業時間] 11:00~14:00、17:00~19:00
[定休日] 火曜日

ほかのチョイスとしては、ミヤウチショウガカレー研究所、デカ盛りメニューで知られる喜味屋(きみや)、長岡生姜醤油ラーメンでおなじみの青島食堂も。

【天然記念メシ】体がポカポカ温まる! 冬にぴったりの「ショウガカレー」

【教えて!ご主人】野菜炒めは標高13センチ!? 愛されるデカ盛り食堂「喜味屋」

 

蔵元巡りの途中で立ち寄りたい
光福寺と摂田屋公園

摂田屋巡りの中で、歴史好きな人にぜひ立ち寄ってほしいのが光福寺。戊辰戦争で長岡藩の本陣となり、ここに最新鋭のガトリング砲と洋式武装した傭兵が配備された。軍事総督の河井継之助が「小千谷談判」のために光福寺を出発し、決裂後に帰陣して「長岡藩は義によって戦う」と宣言した。境内入り口の案内パネルに、そう記されています。

服部さんは「ここは本陣が置かれただけで、戦争の舞台にはならなかった。だから古い町並みが残っているんですね」とのこと。

戊辰戦争と第二次世界大戦の空襲により長岡市の市街地は消失しましたが、両方を逃れた摂田屋は幸運な町といえるのかもしれません。石碑の文言を読みながら、静かな気持ちで往時に思いを馳せてみましょう。

18光福寺1

19光福寺2

もうひとつ紹介したいのが、光福寺と旧三国街道を結ぶ道の途中にある摂田屋公園。新しく造られた公園ですが、トイレがこの町に似つかわしく醸造樽を模したフォルムになっていて、行政もNPOも市民も、みんなで町の景観を守ろうという気持ちが伝わります。

「昔は摂田屋にもお城があったんです。川上さんという方が城主でね。吉乃川の蔵元も川上家だし、この辺りには川上さんが多いんですよ」とガイドの服部さん。

17摂田屋公園

緑が多く、遊具もある摂田屋公園。雪が積もる冬期はトイレも閉鎖されているのでご注意を。Photo: Akiko Matsumaru

ボランティアガイドに案内してもらう摂田屋ツアーは、移動時間のガイドさんとの会話も楽しく、この町を初めて訪れるビギナーにはおすすめ。コースは希望によってアレンジもできます。ツアーで興味が湧いたスポットがあれば、ぜひ二度、三度と訪ねて、摂田屋を隅々まで味わってみてください。

 

長岡観光コンベンション協会 観光ボランティアガイド
[所要時間]2時間
[移動距離]2キロ
[集合場所]JR宮内駅(改札口前)
[コース]越のむらさき(竹駒稲荷)→旧三国街道→酒蔵資料館 瓢亭(吉乃川)→光福寺→星野本店→味噌星六→機那サフラン酒本舗 ※土・日曜や祝日など、店舗が休みの場合は外観のみ案内
[ガイド料]1グループ(15名まで)1000円
[申込み]希望日の10日前まで、インターネットまたはFAXで
[問い合わせ]長岡観光コンベンション協会 長岡市大手通1-4-11
[電話]0258-32-1187
[Eメール]info@nagaoka-navi.or.jp
[HP]http://www.nagaoka-navi.or.jp/guide/

 

Photo: Akiko Matsumaru

Photo: Akiko Matsumaru

 

Text: Akiko Matsumaru
Photos: Tetsuro Ikeda (PEOPLE ISLAND PHOTO STUDIO)

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