な!ナガオカ

これぞローカル・つまみスタイル!長岡市が“酒と食と人”をテーマにブックレットを制作

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与板寺泊川口食べる
与板寺泊川口食べる
2017年 5月 31日 | な!ナガオカ スタッフ

刃物とともにウン十年、傍らにはいつも酒。与板・久住誠一さんの場合。

長岡市北部に位置する与板地区は、戦国時代末期には上杉家の重臣として活躍したことで名高い直江兼続の所領であった土地。その義父である直江景綱がこの地に刀鍛冶を連れて来て以来、打刃物は与板の伝統工芸として今でも脈々と伝わっています。

近年では安い工業製品に押されがちな打刃物の灯火を守り続けているのが、越後与板打刃物匠会という職人さんたちの団体。その会長を務めるのが、卸商でもある久住誠一さん。匠会の事務所の2階、久住さんが「悪さする場所」という部屋で、酒を酌み交わしながら打刃物の未来について語っていただきました。

雰囲気たっぷりの部屋で、まずは一献。

雰囲気たっぷりの部屋で、まずは一献。

ここはね、私が悪さをする場所なんですよ。

——悪さ?

昔はよく職人たちとここで飲み会をやったもんだけど、最近はもうすっかりそういう機会も減って、趣味の書をやる場所にしてるんです。

——風雅なご趣味ですね。そういう時は何をつまむんですか?

そんなに大したものは食べないですよ。豆腐とか、ほうれん草のお浸しくらいですね。ただ、そんな時に必要な削り節は、自分で削ると香りも立つし、より一層美味しく感じられます。削り器の刃は、当然、与板で作ったものです。

香り高さが違う、削りたての鰹節。少し表面を濡らしてから削るのがコツ。

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香り高さが違う、削りたての鰹節。少し表面を濡らしてから削るのがコツ。

これはね、最近のヒット商品。渡徳さんという職人さんが作った、ミニ削り節器「愛ちゃん」です。

——愛ちゃん……?

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そう、愛ちゃん。

直江兼続の兜の「愛」という前立てから取ったようですけどね。削り節器って、高いイメージがあるでしょ? 実際、桐の箱のものになると、2万円くらいする。でも、「愛ちゃん」は箱が樫の木でできていますから、4800円とすごくお手頃。その気楽さが、けっこう好評なんですよ。

——その値段なら、普通の家庭も気軽に買えますね。

今は本格的な打刃物をと言っても、なかなか売れない時代。全盛期は300あった与板の鍜治屋の数も、今では30を切ってしまいました。刃のほうの質さえ落とさなければ、樫の木で作ったとはいえ、削り心地は桐と遜色ないはず。こうやって敷居を下げる努力もしないとね。

——お酒はずっと飲まれてきたんですか?

私は昭和11年に生まれて、中卒でお隣の三条市の金物問屋に丁稚奉公に出たんです。酒は……18、19くらいから飲み始めたな。もう時効でしょう(笑)。昭和33年に独立して以降、与板で会社をやっています。

打刃物の将来を憂いつつ、「やれることはたくさんある」とイタズラ小僧のような笑顔。

打刃物の将来を憂いつつ、「やれることはたくさんある」とイタズラ小僧のような笑顔。

——今は打刃物が売れないとおっしゃいましたが、それはどういうわけなんでしょうか。

大きな理由のひとつは、木造建築が減って、大工道具の需要がなくなったことですね。でも、我々のように雪国で暮らしていると、何百年と風雪に耐える力があるのは木造だけだということはよくわかります。そういう、昔ながらのいいものを、なんとかして今の時代に合う形で広めないといかんと思いますね。今は手仕事にも少しずつ注目が集まっていますから、女性にも木工に親しんでもらおうと、軽量でデザインも可愛らしくした「TANTON」という工具セットを作ってみたり、いろんなことを試しておりますよ。

そうそう、今度、その辺りに新しい鍛治工房も作るんです。まだ細かく決めたわけじゃないけど、見学ツアーをやったり、体験ワークショップを企画したいですね。大工道具だけでなく包丁も作っていますから、みんなで長岡の名物を作って食べるだけの会なんかもいいですな。

——まだまだ、やりたいことが山盛り。それがお元気な秘訣なんですね。

東京にもちょくちょく営業に行きますし、これからも地域のために頑張っていきますよ。さ、飲んで飲んで。
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三者三様の「つまみかた」、いかがでしたか? テレビにも雑誌にも出ない、だけど毎日を確かに生きている人たちの生活の中にこそ、おいしいお酒やつまみ、そして笑顔はあるんですね。

この他に、お酒にまつわるさまざまな読みものが収録された冊子『うんめすけ、うんめぇ酒。』は、長岡市のふるさと納税返礼品に同梱されて皆さんのところに届けられるほか、長岡市や首都圏、全国の一部の酒屋や飲食店でも手に取っていただくことができます。興味の湧いた方はぜひ一度、長岡のお酒を取り寄せてみてください。

 

Text:Takafumi Ando

Photos:Kimihiko Nitta

 

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