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背脂ガッツリ!中毒者続出のラーメン店「安福亭」の魅力に迫る

長岡食べる
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2017年 9月 21日 | な!ナガオカ スタッフ

煮干の利いた濃いめの醤油スープ。それを覆い隠すほど大量に入れられた背脂、太い麺……。

新潟県には「燕三条系」と呼ばれるラーメンがある。出前の際に冷めないよう、大量の背脂を入れたのが発祥と言われる、こってり系のラーメンである。王道を貫き、変わらぬ味を守り続ける店、挑戦的なインスパイア系など、新しい店舗も増えている。

その燕三条系の系譜を受け継ぐラーメンが、燕三条エリアのお隣、長岡市にもある。市内に2店舗を構える「安福亭」だ。開店は1972年。40年以上もの長い歴史をもつ。

両店ともに熱心なリピーターを持ち、「長岡のソウルフード」と胸を張るファンもいるという安福亭。2店舗で微妙に味が違うため、「本店派」「神田店派」という派閥まで存在するという。

ギトギトな背脂がパンチ力絶大でありながら、一度食べると病みつきになる中毒性があるという安福亭のラーメン。今回はその魅力を探ってみた。

 

まずは本店へ突撃!

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まずは長岡市柏町にある本店へ。老舗ラーメン店のイメージからは遠い、比較的新しい店構えである。

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駐車場にはこんな看板が。フレアーパンツを履き、腕にはタトゥー。ライオンのタテガミのような長髪をなびかせる。ハーレーに乗った70年代風とも世紀末風ともいえる人物が躍動感たっぷりに描かれている。よく見ると、その右手にはラーメンが……!

これはもしや、店主を描いた絵?だとすると、相当な荒くれ者なのだろうか……。入店前に身が引き締まる思いがした。

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入店し券売機で注文したのは、看板メニュー「老麺」。見慣れない言葉だが、「ラーメン」と読む。訪れたのは午後1時半を回った頃だが、ひっきりなしに客が入ってくる。そして、多くの客が「老麺」をオーダーする。

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「ようこそ。ご覧の通り(昼どきで混雑中)なのであまり構えないかもしれないけれど、ありがとうね」と優しく気遣ってくれた、店主の家合才明(やごうとしあき)氏。解説を加えていただきながら安福亭を紐解いていきたい。

ちなみに看板について尋ねると「あれは私じゃないんだけれど(笑)、ハーレーは大好きだよ」と家合氏。

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「老麺」750円

こちらが老麺である。運ばれてきた瞬間から、魚介系の香りがほんのりと漂ってくる。

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豚骨をベースに煮干を利かせている醤油スープは、非常に濃い味。大量に投入された背脂が全体を覆い隠すほどである。

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麺は自家製の太麺を使用している。モチモチとした独特の食感は食べ応え抜群だ。スープの存在感がとても強いが、麺も負けていない。クセになる食感で、量は多いものの、意外とどんどん箸が進んでしまう。濃いめのスープとの相性がとてもよい。

「そうだ、これもどうぞ」と、店主が何やら大きなアルミ容器を持ってきてくれた。

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一瞬、目を疑った。尋常ではない量のネギが運ばれてきたのだ。小型の容器には小口切り、大型のほうには千切りされたネギが満載されている。

取材があるから出してくれたわけではない。普段からこの量なのである。

「わざわざ店に来てくれるお客さんに、何かサービスしたいと思ってね。開店当初からやっているんだよね」と家合氏。

この取材前はちょうど、悪天候の影響により全国的にネギの値段が高騰していた時期。そのことについて尋ねると「いや大変だったよ!」と苦笑しつつ「でもさ、せっかく来てくれるってのは、ありがたいことだからさ」と続ける。

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各テーブルには炒めニンニクなどの各種トッピングと醤油、胡椒などの調味料が置かれている。家合氏によると「ラー油がおすすめ」とのことだ。

「ラー油もさ、餃子用に置いてたんだよ。そうしたらあるとき、お客さんが『老麺に入れたらうまい』って言い出して。私も好きになっちゃって(笑)ラーメンに入れるのもありだなと。お客さんの要望はどんどん聞いているよ」と家合氏。

 

出前専門店からスタート

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この道40年以上。開店以来ずっと、大量の注文を華麗にさばき続けてきた。

家合氏は若い頃、燕市にあった「福来亭」で修行を積んだ。燕市は高度経済成長期以後、金属加工が飛躍的に発達してきた産業の街である。福来亭は、労働者の胃袋を満たすべく、食べ応え抜群のラーメンを提供していた。

「毎日出前、出前、また出前…。すさまじい状況だったよ。今では考えられないような注文でね」と家合氏。

「福来亭で修行したって言っても、出前(配達)が中心だったからね。味はイチから作り出したといってもいいかもね」と家合氏。1972年に安福亭をオープンし、試行錯誤を重ね、独自の味を作り上げてきた。

ちなみに安福亭は開店当初、ラーメン専門店ではなく出前専門の中華料理店からスタートしている。

家合氏によれば、当時はラーメン店の数はまだまだ少なく、あったとしても出前がほとんどだったという。それだけに、わざわざ店まで足を運んでくれる客への感謝の気持ちが余計に強くなっていった。

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各テーブルに置かれた大量のネギは、客に対する店主の感謝の気持ちのあらわれでもあったのだ。

続いて、兄弟店である神田店へと向かうことにする。忙しい中、対応していただいたことにお礼を言い、席を立つと、家合氏は「また老麺を食べるのは大変だろうから、神田店に行ったら、餃子を食べてみてよ」と声をかけてくれた。

 

本店と神田店、はたして味の違いは!?

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安福亭神田店があるのは、長岡駅から車で約5分ほどの場所。駅前のビジネス街からは少し外れた地域にあり、店の周囲には住宅地が広がる。

店主は家合恵二(やごうけいじ)氏。本店の店主・才明氏の弟である。恵二氏は東京・神田の中華料理店で修行し、兄の才明氏とともに安福亭を切り盛りしたのち、独立。奇しくも東京の神田で修行し、長岡の神田で店を構えることになった。

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食券券売機にはもちろん「老麺」の文字が。本店にはないメニューも見られる。

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食券券売機の上にはバイクの模型が。よく見ると他にも店内にはバイク関連のモノが点在している。置かれている雑誌もバイク関連のものが多かった。安福亭の店主兄弟は、どうやら両者ともバイク好きのようである。

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老麺を注文。ビジュアルは本店となんら変わらないようだが……。

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そして、こちらが焼餃子。餃子の皮づくりにはラーメンの製麺機を使用し、独特のもちもち食感を生み出している。「仕込みが大変だよ(笑)!」と笑う恵二氏。中華料理店出身だけあり、餃子にも並々ならぬこだわりを持っている様子だった。

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ちなみに、神田店では、ラーメン店では珍しい水餃子も提供している。こちらも中華料理店仕込みの本格的な一品なので、老麺とともにぜひ味わっていただきたい。

 

愛情とマニアックぶりがすごい!
お客さんに聞く本店と神田店の違い

さて、ここからが本題。本店と神田店で、老麺の味の違いがあるのだろうか。

筆者はまず本店で老麺を食し、1時間も経たないうちに神田店へ突撃してしまった。そのため、厳密な味の比較が難しいと考え、隣席したお客さんを中心に数名の方からお話を聞いてみた。

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少し縮れた太麺も本店とまったく同じ。

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写真左の金属容器の中には、やはり刻みネギのサービスが。

長岡市在住のA氏は「神田店の方が濃い気はします。味にも特有のアタック感があるというか。私は濃いめが好きだから、神田店ばかり来てますね」と話す。「インパクトが大きいんですけど、味はシンプルにまとまっていますからね。近頃はいろいろ食材が入ってウルサイ味のラーメンもありますが、安福亭はまったく逆。シンプルなんです。普通です。それがいい。神田店は、よりシンプルさが際立っていると思います」とA氏は熱く語ってくれた。

続いては、県外からの出張の合間に立ち寄ったというK氏だ。長岡に来ると足を運びたくなるという。「強いていうなら本店派かなあ。味の濃さがちょうどいい。神田店のエッジが利いた濃さも好きですが、本店の方がなんとなく合っているんですよねえ」とK氏。県外の方にもかかわらず、これまでに10回以上は来ているという彼が軍配を上げたのは本店だった。

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「炒飯(チャーハン)」900円。写真提供:W氏

実は、ラーメン以外に「神田店にしかないチャーハンばかり食べる」という人もいる。長岡市在住のW氏は「あえてチャーハンばかり食べてしまう。肉、ネギが入った普通のチャーハンといえばそれまでなんだけど、なぜか印象に残っているんです。しかもラーメンより高い900円という値段。それだけにしっかりしているんですよね」とW氏。W氏も仕事柄、いろいろな場所へ足を運ぶが、安福亭に行きたくなることが多いという。

意見を聞いた3名の方は、奇しくも出張が多い方ばかり。それでも、偶然ここにいただけの3人が3人とも安福亭のヘビーなリピーターというのはなかなかすごい。そして、3名とも異口同音に安福亭の料理を「普通」「シンプル」と話しているのが印象的だった。

燕三条系ラーメンのはじまりは、地元の労働者の胃袋を満たすことだった。奇をてらうのではなく、ただお客さんの腹を満たしたい。そうした姿勢をお客さんが感じ取る……。だからこそ足繁く通いたくなるのかもしれない。

 

Text and Photos: Junpei Takeya

 

安福亭 本店
[電話]0258-33-3751
[住所]新潟県長岡市柏町1-2-18
[営業時間]11:00~20:00(L.O)
[定休日]月曜・第1火曜・第3日曜
[駐車場]あり(35台)

 

安福亭 神田店
[電話]0258-35-0834
[住所]新潟県長岡市神田町2-1-13
[営業時間]11:00~20:20(L.O)
[定休日]月曜・第3日曜
[駐車場]あり(20台)
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