【天然記念メシ】体がポカポカ温まる! 冬にぴったりの「ショウガカレー」

2016.10.31

「長岡でしか食べられない」「ほかの人が思いつかないであろう組み合わせ」「その店がなくなったらもう二度と食べられない」――。
長岡に存在する、そんなグルメをご紹介する連載企画「天然記念メシ」。

第2回は、カレー専門店「ミヤウチショウガカレー研究所」をご紹介する。

 

生姜が特徴の「長岡ラーメン」発祥の地、宮内地区

長岡市宮内地区は多くのラーメン店が出店するエリアだ。秋葉原に出店を果たしたことで関東地方のラーメンファンにも知られることとなった「長岡ショウガ醤油系ラーメン」の代表店「青島食堂」など、生姜を効かせたラーメン発祥の地とも言われる。

「長岡ショウガ醤油系ラーメン」の特徴は、その名の通り醤油ベースのスープに生姜をふんだんに使用していること。ご存知の通り、生姜は芯から体を温めてくれる、寒さの厳しい新潟の冬にはありがたい食材。一説には、体を温めるために生姜を強めに効かせたラーメンが流行り出したとも言われる。

そんな宮内地区に、異彩を放つ一軒のカレー店がある。

その名も、「ミヤウチショウガカレー研究所」。

2012年のオープン以来、多くのカレーファンが足を運び、リピーターも数多く生まれている人気店だ。

 

看板が「FUJICOLOR」!? 特徴的すぎる外観

「ミヤウチショウガカレー研究所」は、JR宮内駅から歩いてすぐの場所にある。駅を出て右手を見ると、そのあまりに特徴的な外観が見えてくるだろう。

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店の雨どいの上部分には「FUJICOLOR」の文字が躍っている。遠目には完全に昔ながらのカメラ屋さんか写真館にしか見えない。近づいてみると……

NL-支給-W150220-ミヤウチショウガカレー研究所-外観
お店の入り口はこちら。ここだけを見ると、お洒落なカフェかと思ってしまう、そんな佇まいだ。

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中に入ると、まず飛び込んでくる光景がこれ。「光と電子を未来に結ぶ」というCANON社のキャッチフレーズに「やっぱりお店を間違えた!」と思ってしまいそうになるが、ご安心を。

なんとこちらのお店、もともとは写真館だったところを改修し、「CANON」の電光掲示板などの備品をそのまま使っているのだ。

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壁に目をやると、ポップなレコード盤やデザイン性の高い小物が飾られている。座席もデザイナーズチェアが置いてあったりと、まるでおしゃれなカフェのような雰囲気。

店主の花田圭太さん。

店主の花田圭太さん。

「いらっしゃませ」と出迎えてくれたのは、“所長”の花田さん。前職ではデザイン関係のお仕事をしていたということで、お店の内装にコダワリが垣間見えるのも納得だ。今回は、花田さんからのコメントも交えながら、ショウガカレーの魅力に迫っていきたい。

 

メニューは実質ひとつという潔さ

お店のメニューは2種類しかない。「ショウガカレー」「ショウガカレー大盛り」のふたつだけ。大盛りで600円は安い!ということで、大盛りを注文してみた。

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ショウガカレー大盛り 600円(普通盛りは500円。ともに税込)。

「ショウガカレー大盛り」がこちら。ルーの上にはたっぷりとクリームがかけられている。ご飯はターメリックライスだ。

ショウガを多めに使うことといい、ターメリックライスを使っていることといい、ベースにしているのはインドカレーなのだろうか?「どこそこの○○カレー、というより、自分の好きなカレーをつくっていたら、自然とこうなりました」と花田さんは話す。

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ライスの上にこんもりと乗っている、これがショウガか……と思いきや、こちらは添え物のピクルス。

では、ショウガはどこに? 実はカレールーにしっかりと煮込まれているのだとか。見た目からはなかなかショウガ感は感じ取れないが……?

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実食してみると、ひと口めから口の中にふわっとしたスパイスの香りが広がるとともに、体がポカポカしてくる。やはり、じっくりとショウガが煮込まれているのだ。

「辛かったら遠慮なく言ってください。クリームを多めに入れますよ」と、花田さんが優しく案内してくれる。

逆に「辛さ増し」も対応可能。普通でもピリッとした辛さのスパイスが効いているが、まだちょっと物足りない……という猛者は、チャレンジしてみると良いかもしれない。

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具材もよく煮込まれていて食べ応えは抜群だが、「食材には特にこだわっていないんですよね。言ってしまえば、スーパーでも手に入るくらいのものを使ったりしています。最近は無農薬の食材などが流行っていますが、僕はそういうのをあまり食べないので、そういうこだわりがあるわけでもなくて。ただ、自分が食べている一番好きなカレーを、そのまま作っているだけです」と花田さんは淡々と、しかし優しい語り口で話してくれた。

長岡系ラーメンのお店が多い土地であることについては「宮内に生姜の効いたラーメン屋さんが多いのは少しだけ意識しています。けれど、……あんま関係ないかな(笑)。何度も言っちゃいますが、食べてほしいものを出しているだけです」と笑っていた。

生姜ラーメンで有名な地で、生姜カレー店を出店する。写真館をカレー店に改装する。これらは、誰も思いつかなかったことだ。よって、天然記念メシに認定!

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ちなみに、各テーブルには小さなノートが置かれており、これまでに訪れたお客さんの想いが詰まっていて微笑ましい。さながら交換日記のようになっているページもある。店主の人柄も感じられるこちらのノートもぜひ見てみてほしい。

 

「天然記念メシ度」評価

味のインパクト ★★★★☆
お店とメニューのギャップ ★★★★★
店主の挑戦度 ★★★☆☆
長岡らしさ ★★★☆☆

 

Text and Photos: Junpei Takeya

 

ミヤウチショウガカレー研究所
[住所] 新潟県長岡市宮内3-1-16
[営業時間] 11:00~20:00(通し営業)
[定休日] 木曜・第2水曜・第4水曜
[駐車場]なし

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