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雪原にモータースポーツの花を咲かせて28年!おぐに雪まつり雪上エンデューロ大会

スポーツ小国遊ぶ長岡
スポーツ小国遊ぶ長岡
2018年 4月 21日 | な!ナガオカ スタッフ

豪雪地帯として知られる新潟県長岡市の小国(おぐに)地域では、「おぐに雪まつり雪上エンデューロ大会」というモータースポーツの大会が毎年開催されています。

雪の上を大勢のバイカーたちが自慢の愛車に跨って疾駆する、全国的にも珍しいモータースポーツ大会です。なかなか聞きなれない種目かと思いますが、実はこの大会、28年にもわたって開催されている歴史あるイベント。いったい、どんな大会なのでしょうか? 今年2月に行われた2018年大会の模様をレポートします。

 

そもそもエンデューロってなに?

毎年2月に長岡市小地域で開催される「おぐに雪まつり」。

様々な催しからなる冬祭りですが、その中でも目玉のひとつとされるのが「雪上エンデューロ大会」というバイクレースイベント。

この「エンデューロ」という言葉、モータースポーツを見ないという方にとっては、聞きなれない言葉なのではないでしょうか。

指定のコースを走るタイムを競う通常のレースとは少し異なり、「エンデューロ」は、いわゆる耐久レースの一種。「制限時間内にどれくらいの距離を走ることができるか」を競うレースで、ヨーロッパなどでは何日もかけて200〜300kmのコースを走破することもザラの、過酷なレースです。

雪上をはじめ、ダートコース(未舗装の道路)など、過酷なコース環境の中で行われる競技。車両に故障などトラブルが発生した場合は、基本的にライダー自身が対応するのも特徴です。

また、順位の決定よりもむしろ「完走すること」に重きを置いていることも特徴と言えます。

 

重機を使ってサーキットを造成

会場は約1ヶ月前からスタッフによって徐々に形づくられていく。降り積もった雪を有効活用する「克雪」の目的もある。

おぐにエンデューロ大会の会場となるのは「おぐに運動公園」内に設けられる特設コースです。

重機を使って大量の雪を集め、ひとつの広大なサーキットに作り上げるのです。

なお、2016年、2017年は小雪の影響で雪上エンデューロ大会は中止に。3年ぶりの開催となった2018年大会は、参加者はもちろん、大会スタッフにとっても待ちに待った一大イベントなのです。

 

午前8:45。雪上レースがスタート

アップテンポな音楽とMCによる軽妙なトークが会場を温め、開始時刻が迫ります。

午前8時半を過ぎると、ウェイティングエリア(待機所)には次のレースに出場するライダーたちが続々と集結します。

相棒であるマシンを細かくチェックする人、友人と談笑をする人……。緊張を鎮めるため、あるいは自らを鼓舞するためか、左胸を何度もたたく人の姿もあります。

スタートフラッグが振られ、いよいよスタート。

ジュニアライダー。かわいらしいシルエットとは不釣り合いなほど軽快に疾走する大人顔負けの走りに大きな声援が!

キッズ、レディースによるレースからスタート。短時間でスピードを競い合う「スプリントレース」と長時間の「耐久レース」を初級・中級・上級・エキスパートの階級別に分かれて戦います。

2018年大会では、最年少7歳から、最年長73歳までの173人が参加(新潟県内からの参加者は93人、県外80人)。このイベントがガチンコのレースだけではなく、ファミリーや幅広い年齢層にも愛される「地域のイベント」として根付いてきたことを感じさせます。

 

毎年恒例!おもしろライダーたち

この大会の楽しみのひとつに、おもしろライダーたちの存在があります。

アニメ「千と千尋の神隠し」のあのキャラ(?)を模したライダー。

子どもたちに大人気!お猿さんの姿をしたライダーも!

よく目を凝らしてびっくり!スクーターで参加する強者ライダーも数名いました。このように、必ずしもモトクロスバイクでの参加でなくともOKなのです。

エンデューロレースは、「あくまでも自分の力で完走すること」を重視しています。

耐久レースにおけるおもしろライダー探しは「ウォーリーを探せ」みたい、とは地元の小学生の弁。

 

 

70台以上が疾走!バイクが雪上を埋め尽くす耐久レース

おぐにエンデューロ大会では耐久レースも行われます。なんと1時間もの間、ノンストップで雪上を走行するのです。

ただでさえ足元がおぼつかない雪上コース。それに加え、多くのライダーが走り抜けた跡は、轍(わだち)やぬかるみが発生しています。

さらに、時おり雲間から差し込む太陽光によって、溶け出したり、さらに再度凍結しているところも。刻一刻とコースコンディションが変わっていくのです。

体力的にもとてもきついはずです。タイヤを取られ、転倒する人が続出します。

たくさんの走者がダンゴになることもしばしば。たくさんのバイクが入り乱れ、コースが混沌とする場面も多く見受けられます。

転倒などしようものなら後続のバイクに轢かれてしまいそうで、そうならないのが不思議なくらいですが、避ける方も避けられる方も絶妙な動きで譲り合います。

各地のレースに参加している県外出身ライダーは「(おぐにエンデューロ大会は)走りやすいと思います。みんな慣れている感じがありますよね」と話してくれました。

この階級別スプリントと耐久レースが半日以上にわたって行われます。

手に汗握るデッドヒートを繰り広げる上級・エキスパートライダーたち。マイペースに完走のみを目指す初心者ライダーなど、それぞれが思い思いに大会を楽しんでいました。

 

もうひとつの目玉!空中を舞うプロライダーの美技に酔いしれる「FMX」

おぐにエンデューロ大会には、もう1つの目玉があります。

それが、FMX(フリースタイルモトクロス)。

FMXはモトクロスから派生したエクストリームスポーツで、世界大会も開催されるなど人気の高い種目です。

助走をつけ、「ランプ」(大会によっては「カタパルト」とも)と呼ばれる鋼鉄製のジャンプ台から勢いよく飛び出し、空中で華麗なトリック(技)を決め、その美しさを競い合うというもの。

もともとは速さを競うモトクロスレースの中で観客へのアピールとしてジャンプ中に思い思いのポージングをしていたのが次第に過激(エクストリーム)になっていき、ひとつの種目として独立したという歴史があります。

エンデューロのコース会場の隣にあるFMX用特設コース。ちょうど裏にある小学校の校舎と比較してみると、着地点は3階ほどの高さに。

ひとつ操作を誤れば、大事故は避けられません。それだけに、成功した際の気持ち良さは抜群です。そのカタルシスが、ファンを惹きつけてやまない理由でしょう。おぐにエンデューロ大会では、このFMXを極めたプロライダーによる演技を観ることができるのです。

MCをつとめたのは、自身もプロライダーのキャリアを持つTAKA氏。わかりやすい技の解説と熱いトークで観客を盛り上げていた。

案内のアナウンスが行われる前から自然発生的に観客の移動が始まり、FMXコースの周囲には大観衆で埋めつくされています。

観衆にファンサービスを行うライダーたち。

2018年大会に参加したのは、国内外のFMXの大会に数多く出場している人気ライダー5名。

この大会に出場するために全国各地から集まりました。国内外各地を転戦して回る彼らの姿を一度に楽しめるのは、実はとても貴重なことです。

FMXがスタート!

挨拶がわりとばかりに、空中で片手を離して上体を横に向ける「ワンハンド」と呼ばれるトリックでスタート。

以後、「スーパーマン」「デッドボディ」「ヒールクラッカー」など、難易度の高いトリックを次々に繰り出していくライダーたち。

「ヤバイ!」固唾を飲んで見守る観衆からは、悲鳴にも似た歓声が上がります。

次々に繰り出される高難易度のトリックに圧倒されっぱなしの計60分。最後は、なんとライダー全員が連続でジャンプ&トリック!

勢揃いして観客の声援に応える加賀”Bupper”真一、加賀BB晃、小林達哉、吉田耕太郎、キャッチャー金子の5名のライダーたち。

割れんばかりの拍手の中、大盛況でFMXは終了しました。

MCのTAKA氏の煽りに応え、FMXの熱狂的ファンに火がつき、次第に観客全体に広がっていく…。この一体感には、鳥肌が立ちました。

また、観客の盛り上がりに応えて大技を繰り出すプロライダーたち。

エクストリームスポーツの楽しさを凝縮した、あっという間の計60分間でした。

 

初開催から28年。「地元から愛されるお祭り」として

はじめはモータースポーツ愛好家たちが中心になり「自分の町で大会ができたら」という思いからスタートしていったおぐに雪上エンデューロ大会。第1回大会は平成3年度に開催されました。

モータースポーツ愛好家たちの熱い想いから生まれたこのイベントですが、現在はそれだけには止まらない「地元のイベント」へと成長。今回も、客層はモータースポーツファンの男性を中心に、ファミリー、20代・30代の若いカップルの姿もあり、幅広い年代が足を運んでいまし。中でも面白かったのは、地元・小国から観に来ているおじいちゃん、おばあちゃんの姿も目立っていたこと。

ほぼ毎年のように通っているという小国在住の70代の男性は「最初は正直、こんな雪の中何やってんだ?って感じだったけれど(笑)、今となっては開催しないと落ち着かなくなっちゃったよね」と、目を輝かせながら語ってくれました。

一際大きな声でライダーたちに声援を送っていた60代の男性は、コメントを求めると「次のレースも見てえっけ(見たいから)勘弁な!」と言って足早に走り抜けていきました。

熱いデッドヒートには拳を突き上げ声援を送り、転倒したライダーにはすぐさま温かい声をかけて励ます。

喜怒哀楽を全開にして大会を楽しむ姿からも、歴史ある大会であることを感じさせます。

県外出身のあるライダーは「開催してくれることが本当に嬉しい」と話してくれました。

関東から夫婦で参加したという30代のライダーは「地元の方やスタッフの方たちのおかげ。30年近く続いているなんて、他にあまりないですから。すごいことだと思いますよ」

参加者の中には、なんと親子3世代で参加している地元出身ライダーの姿もありました。

長岡市在住の11歳の男の子と、そのお父さんとお母さん、そして73歳のお祖父さんの家族4名での参加とのこと。前回開催時の2015年は親子2人での参加だったのが、今回で3世代での参加になったのだそう。

歴史ある大会ならではのエピソードです。

レース終了後に行われたシャンパンファイトの様子。あたたかい拍手が送られていた。

地域の人たちに愛されてしっかりと根付き、次の世代にも継承されていく……。

モータースポーツという、一般的にはコアでマニアックな種目の大会ではありますが、主催者の熱量と30年もの月日が積み上げた歴史の重み、そして地域と一体となって成長してきたという思いによって、こうして多くの人に愛される大会となったのです。地方や地域でのイベントが花盛りの今ですが、このおぐに雪上エンデューロ大会からは、長く残っていくイベントとはいったいどんなものなのかを考えさせられました。

次の大会は早くて2019年開催ですが、この盛り上がりと興奮、ぜひ一度は現場で体感してみることをおすすめします。

 

Text and Photos: Junpei Takeya

 

おぐに雪上エンデューロ大会
[会場]長岡市小国町新町 おぐに運動公園特設コース(小国中学校脇)
[期日]平成30年2月25日(日)※終了しました
[アクセス]小千谷ICから20分、柏崎ICから30分
[問合せ]小国支所産業建設課 TEL 0258-95-5906
[ E-mail]ogn-sangyo@city.nagaoka.lg.jp
[参加方法]毎年12月〜翌1月にかけて募集。参加申し込みは小国観光協会よっていがん会長岡市ホームページから。
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