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【教えて!ご主人】腕利きのコーヒー焙煎人が「地方の商店街」を選んだ理由

与板教えて!ご主人食べる
与板教えて!ご主人食べる
2016年 8月 27日 | な!ナガオカ スタッフ

「たまたま見つけた」与板のスローな雰囲気に惹かれた

7年働いた後、一輝さんが33歳の時に独立。開業の地として選んだのは、出身地の三条でもなく、喫茶文化が色濃い東京でもない、縁もゆかりもない与板でした。この地を選んだ理由を尋ねると、「正直に言うと、これといった大きな理由はありません。しいて挙げるなら、気持ちよく焙煎が出来そうな印象を持ったからですね」

開業の地選びの条件は、とにかくお店も暮らしもゆっくりできること、そして駐車スペースが取れることくらいで、長野県、東京都、神奈川県、そして新潟県内でも村上市から上越市まで候補として考えていたそう。「これだ!」という理由はなくとも、「僕の実家が商店街の裏で、もともと与板のような商店街や小さなコミュニティが好きだった」「ここは、商店街から一歩入るとすぐ山で、緑が近くてのびのびしていた」「まちなかとは言っても、車の往来が少なく、繁華街でもなく落ち着いた感じがよかった」そうそう、それとね……という調子で、どんどん与板の好きなところが挙げられていきます。「すごい決め手があったわけではないんです。たまたま見つけちゃったの」と綾子さん。ふたりが想い描く新天地での穏やかな暮らしが、このまちのいたるところにありました。

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「実家のある三条に戻らなかったのは、自分の軌跡に新たな点を落としたかったから。きっとその方が面白いと思ったから。一応言っておきますが、実家とは仲良しですよ! 」

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「物件を見に来た日はちょうど雪で、静かな日でした。店を構える条件と、暮らしをしていく気持ちの条件が一致したんです。でももちろん不安もあって、いろいろな人に相談もしました」

 

地元の人に愛される店

そんなこんなでお店を始めて2年。その間に、ナカムラコーヒーロースターsは、地元の人、近郊のコーヒー好きはもちろん、仕事でコーヒーに携わっている人や、中村さんのようにお店を志している人まで、多くの珈琲愛好家が足を運ぶお店に成長しました。なんと、遠くは北海道から訪れた人もいたそう。「その方はその後、オンラインショップでも豆を買ってくれ、コメントも寄せてくれました。旅の途中や、目的地として来てくれた方と、一度きりで終わらないつながりが続くことも私たちの喜びで、発送時に同封する手紙の筆が進むんです」と嬉しそうな綾子さん。県内外にコーヒー豆の卸先も増えて、それぞれの地域でも愛されているようです。お店が混雑していると「私はいつでも来れるから」と、お庭で採れたトマトだけ置いて去る、なんて常連さんもいるのだとか。さらに、出かけた先の神社で代わりにお店の商売繁盛をお祈りする人がいたり、バレンタインデーに小学生から手作りチョコのプレゼントがあったり、手作りのおかずや甘酒などをもらうこともあるのだそう。「こんなにしてもらっていいのか?と思うくらい、近所の方が親切にしてくれます。なので、安心して店も生活もできています」。おふたりのお話しを聞いていると、周りで応援している地域の人たちの笑顔が頭に浮かんできます。

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「男女年齢問わず、どなたでも気軽に入れるお店にしたかった」という一輝さん。手作り感の漂うシンプルな造りは、居心地の良さを感じさせます。「小細工するやり方がわからなかったから。今は土台ができたというところかな。ひらめいたその時々で手を入れていきたいです」

 

「与板を選ぶきっかけ」になりたい

与板に移住してお店を開いたのには、周りの人は驚いたのでは?「『もっといい場所もあるんじゃない?』って言ってくれる人もいるけど、コーヒーが売れればいいってわけじゃないんです。暮らしてみてこの場所のよさを改めて感じ、どんどん好きになっているところですね」日々の営みを通してまちの魅力を感じているふたりは、ときどき、地元の人を見ていて複雑な心境になることがあるそう。「このまちの人は、歴史あるまちに誇りをもっている反面、なにもないまちだと謙遜している。もっと自分たちのまちを評価したらいいのにとも思います」

そして、中村さんは、今では与板のまちに暮らす一員としてこんなことも語ってくれました。「私たちがここでお店をやっていることが、移住を考えている人が与板を選ぶきっかけになれたらいいなとも思うんです」与板に根をはり、地元の人とふれあうことで、少しずつこのまちは中村さんにとっての「地元」になりつつあるようです。

丸山さんとのセミナー1

2016年3月にナカムラコーヒーロースターsを会場に開催されたセミナーでの1コマ。恩師である丸山珈琲の丸山健太郎氏を迎えて。

丸山さんとのセミナー3

コーヒーとドライフルーツや新潟の食材を使ったおにぎりの食べ合わせを通して、新たなコーヒーの扉を開く機会となった。

 

これからも向き合い続ける焙煎道

今後の展望を聞いたところ、綾子さんは目を輝かせながら「焙煎工場をつくりたい」と話してくれました。「パッキングの工程では、近所のお母さん方からも力を借りたい。一輝さんは奥の焙煎工場にこもることになるだろうから、会えるのは今のうちだね。ふふふ」。そんな話を、「まったく勝手なこと言ってるなー」と笑いながら聞く一輝さん。本当にいいコンビのおふたりです。

それ以外にも、実際に生産国に足を運び、産地で見たことや聞いたことをお客様に伝えていく活動を計画しているとのこと。ただ味わうだけではなく、その豆がやってきた風土や文化的な背景も知ってもらうことで、より深くコーヒーという文化に入り込んでもらいたいのだそうです。「ゆくゆくは、飲むと世界一周のイメージが湧いてきたり、思い出がよみがえったり、すごい世界が広がるようなコーヒーをつくりたいです。イメージを呼び起こさせるコーヒーを。とくに飲食という形に限ることなく、様々な形でコーヒーの世界を表現していきたいですね」

ぜひ一度、中村さんご夫婦の待つ与板へ、コーヒーの世界をのぞきに行ってみてはいかがでしょうか。

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ナカムラさんのFB

FacebookやInstagramでのユニークな写真の投稿が話題のナカムラコーヒーロースターs。これもコーヒーの表現のひとつなのだそう。「いろんな憂鬱なことってあるだろうけど、コーヒーの力で少しでもハッピーにできたらいい。こんなことをして楽しんでもらうのも、コーヒー屋さんとしての仕事だと思っています」

 

ナカムラコーヒーロースターs
[住所]新潟県長岡市与板町与板520
[電話]050-1515-5055
[営業時間]10:00~18:00
[定休日]毎週水曜日・木曜日
[席]10席
[駐車場]8台分(店舗奥にあり)
[HP]http://ncrs.theshop.jp/
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