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飲んで遊んで学べる!吉乃川の酒ミュージアム「醸蔵」で日本酒文化を体験

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2019年 11月 22日 | な!ナガオカ スタッフ

酒どころの新潟県において最古の蔵元である「吉乃川」。創業470年余、信濃川水系の良質な水に恵まれ、冬場の厳しい気候風土を活かした淡麗なお酒を造り続けています。幅広い世代に日本酒をPRすべく、上越新幹線車内のシリーズ広告「東京新潟物語」や日本酒応援部活「吉乃川女子部」など数々のプロジェクトを展開してきた老舗蔵元が、この秋満を持してオープンしたのが観光施設「吉乃川 酒ミュージアム『醸蔵(じょうぐら)』」。県外から訪れる人もいる、この新名所の魅力をご紹介します。

 

大正モダンな雰囲気が漂う
国登録有形文化財を改修

発酵醸造文化が栄える摂田屋エリアにある

長岡駅から車で15分ほどの所にある、発酵・醸造のまち摂田屋(せったや)地域。吉乃川はこの地で日本酒を造り続けてきました。本社の敷地内に佇む醸蔵は、国登録有形文化財「常倉(じょうぐら)」を改修して誕生。大正時代に建てられた常倉は2階建ての建物で、かつて1階は酒の瓶詰をする作業場、2階は蔵人たちの寝泊まり部屋でしたが、ここ数十年は倉庫として活用されていました。

正方形の小さな窓は、正面と側面左側のみに設置されている

建物の側面に移動すると、山型の形状をした屋根の上に小さな屋根が二つ付いているのが見えます。白い外壁には西洋文化の影響を受けたと思われる模様が施され、建物全体に大正モダンな雰囲気が漂っています。

軒先に吊るされた杉玉の隣は、印象的なロゴマーク。大屋根と2つの小屋根を表している

建物の特徴である「トラス構造」は世界遺産の富岡製紙場でも採用されている

館内に足を踏み入れると、広がりのあるモダンな空間が!天井には、三角形が連続しているように見える鉄骨が美しく連なっています。これは「トラス構造」と呼ばれる西洋風の小屋組で、重い屋根を支え、柱がなくとも耐久力のある広い空間を生み出しています。

長岡へ移住して4年という京都府出身の横本昌之さん。

それでは見所の多い館内をじっくりと見学していきましょう。案内役をしてくれるのは吉乃川の横本昌之さんです。
「吉乃川や日本酒の魅力を体感できるのが醸蔵です。それでは、ご案内いたします」

 

吉乃川の歴史と文化を学び
日本酒に親しめる展示物

趣ある銅看板は30年以上前に酒屋の軒先に掲げられていたもの

まず入口左手にある大きなスクリーンに目を向けると、蔵人たちが丹精込めて日本酒造りに勤しむ様子が映し出されています。
「吉乃川のお酒の大切な要素は、米、水、技術です。原料米は新潟県産にこだわり、仕込み水は蔵の井戸から汲み上げる『天下甘露泉』、長年培った技とチャレンジ精神で丹精込めて作っていることをお伝えしたいですね」と横本さん。製品に至るまでの思いとストーリーを知れば、さらに味わい深く感じられそうです。

もろみを搾る「槽(ふね)」の右隣にあるのは、長岡まつり大花火大会で毎年打ち上げる正三尺花火玉のレプリカ

建物中央で存在感を放っているのは、日本酒を搾るときに使用する機械「槽(ふね)」。伝統的な手法である「槽搾り」は、発酵を終えたもろみを入れた布袋を槽に並べて、はじめは自らの重さでお酒が垂れていき、最後に上から圧力をかけて「酒」と「酒粕」に分ける方法です。吉乃川では手造りでの大吟醸造りを行う際、この機械を使用してきたそう。現在は新しい手造り用の槽が導入され、役目を終えたこちらの槽が展示されています。

左手に展示されているのは吉乃川のあゆみ、新潟の紹介、そして歴代のラベル広告や個性的な瓶の数々。

上越新幹線開業記念など時代性を感じるラベルも残されている

「歴代ラベルは古いもので昭和初期のものが残っています。今はデジタルデータの時代ですが、昔は全て手書きでした。それらの原画は大切に保管されているんですよ」と横本さん。過去のラベルには様々なデザインがありましたが、吉乃川ブランドがもつ力強く清廉なイメージは一貫していることが分かります。

陶器製だけでなく木製やガラス製など、様々なタイプの徳利やお猪口

華やかなカッティングや丸みを帯びたタイプのガラス瓶を使用していた時代もあった

吉乃川の名が入った徳利やお猪口は、主に酒屋や飲食店に提供してきたもの。色とりどりの瓶は、並べてみると個性が際立ちます。

全て実際に使っていたという酒造りの道具

こちらは代々伝わってきた酒造りの道具。竹製ザルで米を洗い、木製の麹蓋で麹を作り、水を杓子で汲み、桶でもろみが入った袋を吊るして搾る……。これらの道具を眺めているだけでも、全てが手作業だった時代から連綿と酒造りを伝えてきた、先人の息遣いが聞こえてくるようです。

お酒が量り売りだった時代、酒屋がお客に貸し出していた「通い瓶」

かつて蔵人たちが寝泊まりする部屋で、目覚まし代わりにガラガラと音を響かせた鐘

日本酒の作り方を映像とパネルで分かりやすく理解できる

さらに歩を進めると、日本酒について学べるパネルが登場。酒造りの工程、仕込みや発酵、蔵人たちの役職などを写真やイラストと共に、小学生でも理解できるようにやさしく解説された展示になっています。
「お子様にも日本酒を身近に感じてほしいという想いを込めています。夏休みの自由研究にも活用してほしいですね」

吉乃川初の試みとなるクラフトビール造り

窓から覗いて見えるのは、クラフトビール製造場。2020年4月の販売を目指しているそうです。

 

8種類のお酒が試せる!「SAKEバー」

立ち飲みスタイルはお客同士の交流も生まれやすい

そしてメインスペースは吉乃川のお酒を立ち飲みで楽しめる「SAKEバー」!おすすめの日本酒8種類を1時間1,000円で試飲ができる日本酒好きには夢のような場所です。

お酒の香りも楽しんでもらいたいため、ワイングラスでの提供

利用方法は、まず券売機でチケットを購入。カウンターにいるスタッフに券を渡すと、ウェルカムドリンクの一杯とやわらぎ水「天下甘露泉」をいただけます。

日本酒を使用した漬物も販売。今後はおつまみメニューを増やしていく予定

2杯目からは好きなお酒をチョイス。自分のペースでゆっくりと楽しむことができます。
「おすすめの日本酒をバランス良く揃えています。デイリーに飲める普通酒からこだわりの吟醸酒まで、利き酒をしてみるとそれぞれのもつ個性を感じられますよ」

その他にも、別途有料でここでしか飲めないお酒も用意しているとのこと。内容は不定期で入れ替わり、この日は蔵直送の「純米無濾過生原酒」。フレッシュかつ濃醇な米の旨みが口いっぱいに広がります。市場には出回らない希少なお酒は試す価値アリです。

麹菌を蒸米にふりかけるゲーム。タブレットを振る強さとタイミングがポイント

なんと、酒造りを疑似体験できるゲームまで用意されていました。いくつもある酒造りの工程で代表的なものを体験できます。タブレットを振るだけの簡単操作ということで、スタッフも挑戦!お米に水を吸わせて蒸し、麹菌をふり、もろみを搾る全4つの工程をゲームで体感できます。画面に釘付けになり、思わず夢中になってしまいました。遊びながら日本酒の知識に詳しくなれるなんて、心憎いアトラクションです。

 

定番から限定酒まで揃う
日本酒ファン必見のショップ

吉乃川の商品がここまで揃うのは醸蔵のショップだけ!

最後に案内されたのは、吉乃川の商品が幅広く揃う売店。伝統ブランド「厳選辛口」「極上吉乃川」の他、小容量のカップ缶、リキュール、甘酒などが並び、季節限定の新酒も手に入れることができます。
「一番人気は醸蔵限定酒の『醸蔵』です。新潟県産米100%で醸した生原酒は、華やかな香りと芳醇な風味を存分に楽しむことができます。原酒で度数も高めなので、氷を入れてロックで飲むのもおすすめですよ」

黒いボトルがオシャレな醸蔵でしか買えない限定酒「醸蔵」。

フランスの日本酒コンクール「KURA MASTER」でスパークリングソフト部門 最高賞となるプラチナ賞を受賞した「酒蔵の淡雪」。軽い飲み心地のスパークリング清酒。

この秋30年ぶりの新ブランドとして誕生した「みなも」。“多様化する食文化に合わせた新しい日々のお酒”がコンセプト

おすすめの日本酒を試すことができる無料試飲コーナーもあり

その他、清酒を使用した漬物、吟醸酒入りスイーツ、酒器や蔵元特製の前掛けなどのグッズも充実。お酒が飲めない人にも喜ばれるお土産が購入できるのは嬉しい限りです。

地元の漬物メーカー・丸七食品とコラボ開発した「新潟淡麗ぽんしゅ漬」。

吟醸酒のフルーティーな香りがチョコレートとマッチするガトーショコラ「越乃ショコラ」

ガラス窓が開放的なセミナールーム

ちなみに2階はイベントなどに使用されるセミナールームがあります。今後、蔵元による日本酒講座やお酒と料理のペアリング体験など様々なイベントを開催していくそうです。

 

地元の人との関係を醸し
愛される酒蔵であり続けたい

1548年の創業時から、変わらずこの地で日本酒を醸し続けてきた吉乃川。地元の人たちにとっては昔からの身近な存在でした。

「改修前は建物を覆うようにツタが伸び、その姿に長い歴史を感じ愛着を持ってくださる方が多くいらっしゃいました。ですから、そうした地元の方の想いも意識してリノベーションいたしました。オープン後、近隣の方からも『素敵な建物に生まれ変わって嬉しい』と好意的な声をいただきホッとしましたね」

ツタで覆い尽くされた夏の常倉。初夏から秋にかけて緑の葉が生い茂り、摂田屋の風物詩ともなっていた

オープン初日は、地元の方だけでなく県内外からも約2000人が来場し大盛況!

現在では全国にファンをもつ酒造メーカーとして親しまれていますが、吉乃川はこれまでも地元に愛されてきた蔵で、ここで働く社員や蔵人たちの多くも地元の人でした。近隣の人たちを招いたプレオープン日には、昔の様子を並べたコラージュ写真の中に若き日の家族や親戚を発見し、目を細める来場者の姿も多く見られたそうです。

吉乃川の歴史を凝縮させた写真コラージュ

「まずは地元の人に愛されてこそ。みなさんに自慢に思ってもらって初めて、全国へ、そして世界へ誇れる酒蔵だと考えています。これからもいっそう吉乃川ファンや地元とのつながりを醸していくべく、「醸蔵」という場を大切に育てていきたいです」

真摯に日本酒を造り続けてきた蔵元は、地元に愛され今や海外にもたくさんのファンをもつまでに成長しました。愛好家たちが集う場で飲むお酒は、さらに美味しく感じられそうです。

「醸蔵」でお酒を楽しむなら、公共交通機関の利用がおすすめ。電車利用の場合JR「宮内駅」から徒歩10分、バス利用の場合は「宮内1丁目」停留所から徒歩2分です。伝統の技が凝縮された日本酒をぜひ心ゆくまで味わってみてください。

 

Text and Photos: 渡辺まりこ

 

●Information
吉乃川酒ミュージアム「醸蔵」
[住所]新潟県長岡市摂田屋4-8-12
[電話番号]0258-77-9910
[営業時間]9時30分〜16時30分
[定休日]火曜・年末年始(月曜もしくは火曜が祝日の場合は翌水曜が休み)
[入館料]無料 ※試飲など有料あり。
[予約]不要 ※10名以上の場合は要予約
[HP]www.yosinogawa.co.jp/johgura
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