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長岡で、いつでも本物のトキに会える! 2018年オープンの新施設「トキみ~て」とは?

トキみ~て
学ぶ寺泊
学ぶ寺泊
2019年 1月 26日 | な!ナガオカ スタッフ

トキ、学名ニッポニア・ニッポン。
日本の特別天然記念物であり、新潟県の県鳥でもあるトキが、長岡市寺泊夏戸(てらどまりなつど)で見られるのをご存知だろうか?
トキと言えば佐渡島というイメージが強いが、一箇所だけで飼育していると病気などのリスクがあるため、実はここ長岡の施設でもトキの繁殖が行われている。
今までは一般公開されていなかったそんなトキが、2018年の8月にオープンしたトキと自然の学習館観覧棟施設「トキみ~て」でいつでも見られるようになった。
日本のみならず中国や朝鮮半島でも完全野生の個体はもうゼロであるとされる幻の鳥・トキを見るべく寺泊を訪ね、施設のオープン時から奮闘してきた担当の方にお話を聞いた。

 

人との距離2メートル以内!
目の前で飛ぶトキが見られる施設

今回、案内と解説をしてくださったのは、長岡市環境政策課の土屋尚子さんと長谷川佳彦さん。12月の寒い季節だったが、集合は朝9時。お二人によると、この時間だとトキの餌やり後の活発な姿が見られるそうだ。

トキみ~て

トキみ~ては2012年にオープンした「トキと自然の学習館」の隣に新しく作られたもの。JR長岡駅から車で40分ほど走った、寺泊海岸の手前の夏戸という地域にある。
まずは一見にしかずということで、早速トキを見にトキみ~ての中へ。トキから人間が見えないよう少し暗くなった館内に入ると、大きなガラスの向こうにトキが見えた。

トキみ~て

現在こちらで見られるトキは5羽。トキと言えば白い体に赤くて長いくちばしというイメージだったが、今回見たトキたちは薄いピンク色をしていた。繁殖の時期が近づくと、首のあたりの黒い皮膚が粉状になってはがれおちるという。これを自分の羽にこすりつけて、背中を黒く染めるが訪れた時はちょうどきれいな羽色(朱鷺色)を見ることができた。

飼育員が餌をやると、トキたちはしばらく様子を見た後、止まり木からさっと舞い降りて次々と餌を食べに来た。ただ一斉には食べず、一羽ずつ順番に食べる。また、飼育員が出ていくまでは決して降りてこない。トキは臆病な鳥と言われるが、それがよくわかるような光景だった。

トキみ~て

羽を広げた姿をとらえるべくカメラマン奮闘!ピント合わせがなかなか難しい…

餌やりの時間は9時、13時、15時の1日3回。このタイミングを狙っていくと飛んだり池の中を歩いたり餌をつつくなど活発なトキの姿が見られる。

トキみ~て

受付には解説員さんが常にいるので、わからないことがあれば聞くこともできる。ケージ内に置いてあるもののこと、普段のトキの行動のことなどを丁寧に教えてくれる。
「トキみ~て」は思った以上にトキが近く、大きく、写真で見るよりも迫力があった。佐渡の施設よりもケージが大きくないので、比較的近くでトキが見られるとのこと。椅子もあるのでゆっくり座りながらトキを眺めるのもいいかもしれない。

トキみ~て

 

すでに来場者3万人超!
自然の大切さを伝える「トキみ~て」の意義

トキみ~て

「トキみ~て」でトキを堪能した後は、隣の「トキと自然の学習館」でお話しを伺った。
こちらではトキの生態についての資料がパネル展示されていたり、標本や羽、飼育中のライブ映像を見ることができる。旧夏戸小学校を改装してつくられたものだ。

トキみ~て

本物そっくりの卵を実際に触ることもできる。

冒頭で少しふれたように、絶滅危惧種であるトキの感染症のリスクを防ぐ「分散飼育」のため2011年に「トキ分散飼育センター」が、2012年に「トキと自然の学習館」がつくられた。寺泊が選ばれたのは、トキが住みやすい気候だからだという。そして、「せっかく寺泊でトキを飼育しているのならば見られるようにしてほしい」という要望があったことが、トキみ~てができるきっかけとなった。

大昔日本にたくさんいたトキは、美しい羽毛目的などで乱獲が進み、懸命な保護を実施するも2003年には最後の日本産トキが佐渡島のトキ保護センターで亡くなり絶滅している。その後中国から贈呈されたトキを人工繁殖させ、今では野生に放鳥したトキも合わせて530羽以上(2019年1月7日時点)まで増やすことに成功した。

長岡市と同じような「分散飼育」は石川県や島根県、東京都の動物園でも行っており、長岡市で生まれたトキの幼鳥を佐渡で飼育するなどの連携も行われている。

トキみ~て

生まれたばかりのトキ(幼鳥)の動画が見られる

トキみ~て

長岡に飛来した野生のトキの写真集

「8月のオープン以来、来場者は3万人を超えました。『やっぱり近くで見られると感動する』という声をいただいています」と長谷川さんは話す。
団体旅行や寺泊の宿泊客の受け入れも増えてきて、観光施設としても人気になってくれるとありがたいとはいうものの、やっぱり一番の施設の目的は「自然環境教育」だという。
「近くには寺泊水族館もありますからね。一緒になって自然や環境の大切さに触れられるエリアになれば」(長谷川さん)

トキが住み続けられる地域であるためには、山や川、田んぼや畑のよい環境が守られていかなければならない。トキが見られるなら行ってみよう、という気軽なところから入ってもらい、帰るときには環境保護への意識を高め、日頃のゴミの分別のような些細なことから環境活動への参加まで、何かしらの行動に移す人が増えるだけでも、状況はよくなっていくのではないだろうか。

トキみ~て

トキが好む環境の話

そうしてトキが順調に増えていけば、再び大空を飛ぶトキが当たり前に見られる日も来るかもしれない。ちなみに筆者は「トキみ~て」の取材の帰り道に、思わず田んぼにいる鳥に目が行ってしまった。普段見逃している自然に目をとめる心もこういったことがきっかけで持つことができるのかもしれない、と感じた。

トキみ~て

お話しいただいた環境政策課の土屋さん(左)と長谷川さん(右)。館内には自動販売機や休憩スペースもある。

「今後はもっといろんな人にここに来てもらえるように、道の駅良寛の里わしまや寺泊水族館との連携、子供たち向けのプログラムなど様々な工夫をしていい施設にしていきたい」と話すお二人。

正直、上野動物園のパンダのような華やかさがあるわけでも、便利な立地なわけでもない「トキみ~て」だが、それはトキにとっていい環境を優先した結果。むしろ、その生態系や自然生物の世界の繊細さ、飼育員研究員さんたちの努力が垣間見え、他では味わえない充実した体験ができるのではないだろうか。
ホンモノを見たときの写真や動画では表せないリアルさは、お子さんや友達を連れて行っても一人でふらっと見に行ってもきっと心に残るもの。ぜひ一度、行ってみてはいかがだろうか。

トキみ~て
 

Texts and Photos: Yuki Inoue

 

●Information
長岡市トキと自然の学習館観覧棟「トキみ~て」
[所在地]長岡市寺泊夏戸2829番地
[電話番号]0258-75-3201
[開館時間]9:00-17:00 ※館内は薄暗いので冬季は16時頃までに行くことをおすすめします
[観覧料]100円 ※中学生以下は無料
[休館日]月曜日
[URL]https://www.city.nagaoka.niigata.jp/kurashi/cate09/toki_gakusyu/
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