寝台特急カシオペア 長岡駅入線レポート

 

2016/7/28

鉄道好きのこどもに「電車見に連れてって!」と日々せがまれているパパ&ママさん、実はこの8月、長岡駅で鉄道好きにはたまらないイベントが見られるのをご存じですか? 2016年3月、惜しまれつつ上野-札幌間の定期運行を終えた、あの豪華寝台特急「カシオペア」が、「カシオペアクルーズ~北海道・東北周遊3泊4日の旅」というツアー企画として、上野-村上間を走り、その際、長岡を通過するのです! しかも2016年6 月 4 日(土)、 7 月 2 日(土)、8 月 6 日(土)のわずか3回限定の企画。チャンスは残り一回しかありません。しかしツアー商品ゆえ、詳しいスケジュールは乗客以外には非公開。いったい何時に長岡を通るの? という方のために、7月の長岡駅入線の様子をレポート。また、当日は行けない方のために、鉄道好きなら見どころいっぱいの土日の長岡駅の楽しみ方もお伝えします。
(ちなみに運行時間は公式のものではありませんので、予定が変わることもあります。今回の長岡駅レポートに記した時間は参考程度にとどめてください。)

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寝台特急カシオペア。上野発の最後尾はカシオペアスイートと呼ばれる1室しかない展望室タイプ。

 

客車はもちろん2台の機関車にも注目

最初に、今回のカシオペアクルーズの見どころを簡単に解説しましょう。

北に向かう人気の寝台特急といえば、2015年3月に定期運行を終えた「トワイライトエクスプレス」が長岡を走っていましたが、カシオペアは太平洋側を走るコースだったため、長岡で見るチャンスはほとんどなかったといっていい特急なのです。

さらに、今回は客車を牽引してくる機関車の編成がちょっと変わっているのも見どころ。上野駅を出たカシオペアの客車は2台の電気機関車に牽引されて長岡に到着します。実は、カシオペアの客車は、二階建てだったり、豪華な内装だったりすることもあり、非常に重たい。群馬から新潟にかけて峠を越えるのに、機関車1台では力がたりないのです。そこで、上り勾配に強いタイプの機関車が先頭をひいて、もう一台の機関車と二台一緒に力をあわせて峠を越えるのです。

長岡から先は機関車は一台で十分。カシオペアは長岡駅で停車し、先頭の機関車の切り離し作業を行います。子鉄が大興奮するシチュエーションといえば、「はやぶさ」&「こまち」に代表される車両の連結シーンですよね。今回「連結」ではありませんが、その逆の「切り離し」も見られます。これだけは長岡駅でしか見られません。

 

重厚感ある銀色ボディが
長岡駅ホームに入線

7 月 2 日。お昼前の長岡駅のホームには、本気の撮り鉄から子鉄&つきそいのパパママまで、老若男女40人ほどの鉄道好きが終結、カシオペアの登場をいまかいまかと待ちかまえていました。殿町踏切のカンカンカン……の音を合図に、ホームに高まる熱気。時刻はというと、12時12分。いよいよカシオペアの入線です!

まず先頭で入ってきたのは紺と白の長岡の機関車「EF64-1032」。ヘッドマークはついていません。続いて赤い電気機関車「EF81-133」。赤に白地で流星のマークが入っているのを見て、6月にも見に来た子鉄たち、「前回と違う!」と騒然&大興奮。6月のときは赤い車体に側面に白文字で大きく「EF81」と書かれている機関車(「EF81-95」レインボー色) でなかなか見られない珍しい機関車でした。どうやら、牽引する機関車の編成は日程によって変わるよう。これは8月にはどんな機関車が登場するのか楽しみが増えました。

そして悠々と姿を見せたのが銀色のボディに5色のラインがひかれたカシオペアの客車。洗練されていながらも重厚感を感じます。大人1名46万円~60万円という、贅沢な寝台特急の旅はどんなに優雅なものでしょう……。溜息つきつつ、のんびりしてはいられません。ホームの先頭(北長岡側)へと急ぎます。

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シャッターを切る撮り鉄の皆さん。

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我が家の4歳の子鉄もコンデジ構えてカシオペア撮影に夢中。

 

役目を終えたEF64が離れていく

先頭付近は、すでに機関車の切り離し作業を見届けようとする人たちでいっぱい。作業員と運転士により、慎重に切り離し作業が行われます。子鉄たちは作業員さんの様子にくぎ付け。点検が完了し、連結器を外され、峠越えという大仕事を終えたEF64が華やかな寝台特急から静かに離れていきます。「峠越え」という言葉は越後人には少なからずぐっとくる響きですが、機関車の去る姿に勝手ながら地道な「仕事人」が役目を終えた背中を見るような気がし、「おつかれさま」の言葉を贈りたい気持ちになりました。

変わって先頭にたつのは赤のEF81。カシオペアのヘッドマークが目をひきます。

時刻は12時30分ごろ。およそ20分間の停車ののち、赤い機関車に牽引されたカシオペアは長岡駅を出発していったのでした。

なかなか見られない鉄道イベントが終わって、ホームの見物人たちもほっと一息かと思いきや、別の場所で撮影待機しているらしい友人と連絡をとり始める高校生から、カメラや三脚を大急ぎで片付ける大人たち……。何やらあわただしい様子に、熱心に撮影していた男性の一人に話を聞こうとしたところ、「このあと村上(この日のカシオペアの目的地)に急ぐのですみませんっ!」と駆け出していってしまいました。本気の鉄道ファンの一日は長い! 皆さん、「おつかれさま」でした!

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切り離し作業の様子。慎重にチェックし、連結器が外される。右側の青い機関車は長岡資料センターに配置されている機関車。「長岡」の文字が見える。

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切り離し作業に見入る人々。子どもを連れて家族で見にきている人も多い。

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1番線ホームに停車中のカシオペア。貨物列車などが入る一般乗客は入れない線路に止まる。やや薄暗いのが残念だが、それでもカシオペアの車体をゆっくりと見られる。

 

Shu*Kura、しらゆき、現美新幹線……
土日の11時台は注目車両ラッシュ!

カシオペアを見にいくついでに、長岡駅でほかの車両も楽しんでみてはいかがでしょう。実は土・日の昼前の長岡駅は鉄道好きのお子さんには見どころいっぱい。まず11時33分に「越乃Shu*kura」が入線。長岡駅で食べ物やお酒の搬入があるため、5分ほど停車します(柳都Shu*Kuraのみ18分停車)。藍色と白の車体に落ち着いた和風の内装、バーカウンター付きの車両には大きな窓、落ち着いたひとときが過ごせそう。ちなみにこちらは電車ではなく気動車。パンタグラフがありません。独特のエンジン音も鉄道好きには聞きどころです。

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越乃Shu*Kuraが停車している間に、お向かいのホームには特急「しらゆき」が入線、11時40分に発車します。2015年春から運行を開始したしらゆき、実はかつて常磐線を「フレッシュひたち」として走っていた特急車両。常磐線での役目は後継の特急に譲ったため、関東の人には懐かしい車両かもしれません。

そして、ここから急いで新幹線ホームに行くと、11時49分には2016年4月末にデビューしたばかりの「世界最速美術鑑賞」ができる、あの黒い新幹線「現美新幹線」が到着。お昼前のこの時間は長岡駅の停車時間が5分とやや長め。蜷川実花さんの長岡花火の写真の鮮烈な色合いに目を奪われること必至、新幹線そのものが美術品といえそうな車体をじっくり見られるチャンスです。

新潟のお酒や料理を楽しむ乗客たち。

越乃Shu*Kuraで新潟のお酒や料理を楽しむ乗客たち。

駅員さんにもらった旗を振って越乃Shu*Kuraのお見送り。乗客や運転士さんが手を振り返してくれるのも子どもには嬉しい思い出になる。

駅員さんにもらった旗を振ってお見送り。乗客や運転士さんが手を振り返してくれるのも子どもには嬉しい思い出になる。

新潟で走り始めて1年。すっかりおなじみとなった「特急しらゆき」。

新潟で走り始めて1年。すっかりおなじみとなった特急しらゆき。

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新幹線で移動しながら現代美術を楽しめる現美新幹線。土日、祝日のみ運行(2016年8月13日、14日は運行がないので注意)。秋田新幹線で「こまち」などで走っていたE3系車両を改造したもの。(写真/Railstation.net)

新幹線ホームとの行き来は体力勝負なところもありますから、地上ホームでのんびり待つ手もありますね。普通列車がたくさん行き来しますし、7月4日はちょうど12時ごろに運よく「只見縁結び列車」がホームに入ってきてラッキー! という一幕もありました。

駅員さんが列車お見送り用の旗をくれるサービスに出会えることもあり、子どもとの土日のお出かけスポットとして、長岡駅、おすすめします。

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只見縁結び列車。JR只見線を走る、魚沼市と福島県只見町の交流の歴史をデザインしたラッピング列車で、長岡藩家老の河井継之助も描かれています。

 

(掲載のダイヤは2016年7月現在のものです。お出かけの際は、最新の時刻表をご確認ください)

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