ご当地キャラ数珠つなぎ第2回「ゆめ100戦士ソイガイヤーNEXT」
全国各地ですっかりおなじみとなった「ご当地キャラクター」。ここ新潟県長岡市にも数多くのキャラが存在するが、市民に愛されるキャラとして躍進しているのは、独自の個性を発揮してアイデンティティを確立させた強者ばかりである。
そんな彼らにインタビューを行い、自身の言葉で自分たちのことを語ってもらうのが好評企画「ご当地キャラ数珠つなぎ」。第2回目は「ゆめ100戦士ソイガイヤーNEXT」を紹介する。
ソイガイヤーの誕生ストーリー
長岡市民の平和を守るために活動するソイガイヤーNEXT。勧善懲悪のヒーロー像とお茶目なキャラクターは子どもたちを中心に人気を誇っている。まずは彼らの誕生ストーリーをご覧いただきたい。
さかのぼること数十年前、馬高の縄文遺跡(※1)から古代遺跡「ドリームストーン(※2)」が発掘された。勾玉の形をした赤、青、黄色の3つで、これらは人々の夢見る心や願いを吸収してパワーに変換する力をもつ。司令長官は研究を尽くし、2004年の秋、ドリームストーンパワーをエネルギー源とする「ガイヤースーツ」の原型を完成させた。 しかしその直後、中越大震災が発生。山中の研究所が破壊され、研究は滞ってしまう。翌年には研究が再開されたものの、なかなかエネルギーが高まらずスーツは完成しなかった。悪戦苦闘の日々を送る中、長岡まつりのフェニックス花火(※3)打ち上げ直後に奇跡は起きた!人々の復興を願う気持ちがドリームストーンに集まり、ガイヤースーツの形へと変化したのだ。 そして2006年、研究員の一人カエンリョウスケは、訓練の末にガイヤーブレスを装着して「ガイヤーフェニックス」に変身することに成功。一方、研究所の警備員であったある男がドリームストーンの魅力にとり憑かれてシャグロー将軍と名乗り、市制100周年を迎え合併したばかりの長岡市を乗っ取ろうと動き出した。 かくして長岡の平和を乱そうと暗躍するシャグロー将軍率いる軍団と「ゆめ100戦士ソイガイヤー(※4)」の戦いが始まった。 ※1馬高遺跡…長岡市にある縄文時代中期の遺跡。火焔土器や大型土偶などが出土されている。 |
長岡市の市章である不死鳥がかたどられたヘルメットとスーツは、長岡まつり名物「フェニックス花火」のよう。熱いハートを持った炎の戦士、それがガイヤーフェニックスだ。
のちに二人の戦士も生まれる。水の戦士「ガイヤーシナノ」は、豊かな自然・信濃川を愛する気持ちから生まれ、心の戦士「ガイヤーヒャッピョウ」は米百俵の精神を大切にする心から生まれるはずだったが紆余曲折あり、悪に支配されながらも無事に正義のヒーローとなった。
かくして、ここに3人の熱きヒーローが誕生した。
ガイヤーフェニックスに
直撃インタビュー!
長岡市民を危険にさらす悪の猛威、それは許さん!とばかりにソイガイヤーは日々休む間もなく戦っている。そんな多忙極まるソイガイヤーNEXTが、2月某日長岡市で開催される「雪しか祭り」に出演するとの情報をゲット。彼らはどんな想いを胸に戦っているのか、直撃インタビューするため会場のハイブ長岡を訪れた。
会場に到着するなり、子どもたちの熱い声援が飛び交う。何事かと注目すると人だかりの中に彼らがいた。
ソイガイヤーNEXTだ!
道行く人たちから写真撮影や握手を求められ、まるでスターのような人気ぶりである。人波をかき分け、ガイヤーフェニックスに取材を申し込んだところ、忙しいガイヤーフェニックス、数分なら、と快くコメントをくれることになった。普段ソイガイヤーNEXTは公衆の場で声を発しない。しかしこの日はガイヤーフェニックスに宿る特別なパワーが筆者に心の声を伝えてくれた。
――突然ですが、なぜヒーローになったのですか?
ガイヤーフェニックス(以下、ガイヤー)「古代遺跡のドリームストーンが発掘されガイヤースーツが完成した瞬間、オレの使命は定められたんだ。正義のために戦い、長岡市民を守る。この想いに尽きる!」
――ふだんはどんな活動をしているのですか?
ガイヤー「長岡市民の平和を壊そうとする悪の軍団と戦っている。そのためにまち中をパトロールするのが任務なんだ。青少年の健全な育成と地域貢献は、オレらの永遠に続くミッションだね」
――悪の軍団の目的ってなんでしょうか?
ガイヤー「敵によって様々だけど……人々の絆をバラバラにしようとしたり、ネガティブにしようとしたり。長岡の美味しいものを独り占めしようなんてこともあったね」
――それは恐ろしい……。ソイガイヤーNEXTは長岡市民とふれあう機会も多いのですか?
ガイヤー「もちろん。老人ホームを訪問したり、子どもたちと一緒にラジオ体操したり。コミュニティパワーが増せばさらに力が湧いてくるんだ。そうそう、今日はこれからもちつき大会に参加するんだった」
――お忙しい中ありがとうございます。最後に子どもたちへメッセージをお願いします。
ガイヤー「長岡の“美しい四季、豊かな食、温かい人”これらはみな宝物だ。君たちには長岡の素晴らしさをぜひ知っておいてほしい。そしてお父さんお母さんの言うことをよく聞いて、たくましく育ってくれよ!」
そう言い残すと、ガイヤーフェニックスは人混みの中へ戻って行った。
市民に愛されるヒーローの仕掛け人とは?
そもそもソイガイヤーNEXTは、2006年に長岡市政100周年と合併を記念した「新長岡のヒーロー・ヒロインを作るのは君だ!」事業としてスタートした。運営するのは長岡青年会議所の若きメンバーたち。同会は40歳までの年齢制限があるため、年々メンバーが入れ替わりながらも熱い想いを引き継ぎ、ソイガイヤーNEXTを育て上げてきた。運営メンバーは現在20名ほどでヒーローに人一倍憧れて育ったためか、この事業を誇りに思い、楽しくて仕方がないとみなが口々に語る。
ガイヤーフェニックスが公表されたのち、長岡市に住む子どもたちに青・黄色の戦士、アイテムの案を公募したところ約1300もの作品が集まった。地元にちなんだテーマは、笹団子、闘牛、油揚げ、ホタル、米などそれぞれアイディアが光る。あまりの力作ぞろいに選考は難攻したという。
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地元の子どもたちから生まれ、愛着のあるヒーローとして育ったソイガイヤーNEXT。誕生から10年以上経った今でも、子どもたちの憧れであり続けている。
市民の心に刻まれるヒーローでありたい
全国放送のヒーローは毎週テレビで視聴できるものの、子どもたちにとっては遠く離れた存在である。一方ローカルヒーローは「身近」なことが最大の魅力。地域レベルの身近な悪を正す彼らと実際にふれあうこともでき、まさに「会いに行けるヒーロー」なのだ。
「ヒーローとの距離が近いので、子どもたちは親近感をもってくれているようです。ソイガイヤーNEXTと出会ったことで『ボクもワタシも強くなりたい!』と少しでも心の変化がおきてくれたら嬉しいですね」(八木野さん)
感銘を受けているのは子どもたちだけではない。大人たちもまた、地元密着系ヒーローとして魅力を感じているようだ。その理由は、歴史・文化の要素を巧みに盛り込んだ設定やショーの脚本にある。
前述したようにソイガイヤーNEXTの設定はかなり緻密だ。長岡市を舞台に繰り広げられる戦いの数々は、フィクションながらリアリティを感じさせてくれる。かつて戦隊モノへ夢中になったお父さんのみならず、作り込まれた世界観に大人たちは思わず惹きこまれてしまうのだろう。
「ソイガイヤーNEXTには長岡の魅力を再発見できる要素が詰まっています。大人も子供も一緒になって、楽しみながら地域について学べるんです。ご当地ヒーローの意義はここにあるのかもしれませんね」(池田さん)
『子どもたちに夢を、長岡に希望を』をテーマに活動を続けるソイガイヤーNEXT。地域貢献のためであれば、市のイベントのみならず保育園や養護施設、企業にも駆けつける。今年のひとまずの出演予定は8月「長岡まつり」とのこと。
詳細はブログでチェックしよう。これまでの熱い戦いも、茶目っ気たっぷりの文章で
記録されており読みごたえ抜群だ。
長岡市民の心を一つにする「ソイガイヤーNEXT」に、これからもぜひ熱きご声援を!
Text & Photos : Mariko Watanabe
ゆめ100戦士ソイガイヤーNEXT
[ブログ] http://blog.livedoor.jp/soyguyear/
[長岡青年会議所ソイガイヤーNEXT紹介] http://nagaoka-jc.or.jp/gaiya/gaiya.html