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泳ぐ宝石・山古志の錦鯉~世界の富豪を魅了する理由に迫る

学ぶ山古志
学ぶ山古志
2016年 11月 11日 | な!ナガオカ スタッフ

新潟県長岡市の街中から車で約30分。日本の国魚・錦鯉の発祥の地である山古志地域にたどり着きます。山間の斜面に連なる棚田と錦鯉を放つ棚池はニッポンの原風景を残す歴史的遺産です。

錦鯉が初めて出現したのは、19世紀前半の江戸時代、文化・文政のころ。新潟県の二十村郷(現在の小千谷市、長岡市の一部)で食用として飼われていた鯉に突然変異で色のついた変わり鯉が現れたのが最初といわれています。それから改良が続けられ、現在に至るまでより美しい錦鯉へと改良が続けられてきました。

そこで産される錦鯉は世界の富豪を魅了し、新潟県内各地で開かれる品評会には、美しい鯉を求める外国人の買い付け客が多く訪れます。

なぜ彼らはそんなにも錦鯉に魅了されるのか? その真相を明らかにすべく、山古志在住の鯉ブリーダーである丸貞養鯉場の五十嵐敏勝さんに、錦鯉の品評会に訪れている外国人の方を紹介して頂きました。

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「だんだん懐く錦鯉に愛着が湧いたんだ」

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右:丸貞養鯉場の五十嵐敏勝さん、左:Mark Gardner(マーク・ガードナー)さん。

まず五十嵐さんが、紹介して下さったのは、「おーい。マーク」「ハロー、イガラシ―サン!」と、親しげに声を掛け合うMark Gardner(マーク・ガードナー)さん。『NISHIKIGOI LIFE』という錦鯉専門の英語サイトの運営をしているイギリス人ジャーナリストです。

品評会に来ている外国人のみならず、地元山古志の錦鯉関係者たちとも顔なじみの様子で熱心にシャッターをきりますが、鯉をみる目つきはまるで恋人を見るかの様です。聞けば錦鯉と山古志が大好きで、1年間住んだこともあるとか。さっそく話しかけてみました。

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ジャーナリスト仲間のポーランド人でベルギー在住のDominika(ドミニカ)さん(手前右)と談笑するMarkさん。

--何故、錦鯉がお好きなのですか?

Mark Gardner「僕はイングランド東部エセックス州の出身だけど、13歳の時に初めて錦鯉を実家の池で飼い始めたんだ。親が買ってきたので、単なる観賞用としか見ていなかったんだけど、餌をやったりしているうちにだんだん懐いてきて、愛情を感じる様になっちゃった。それでどんどん興味が増していろいろと調べるうちに、日本の山古志というところが発祥の地だと知り、16歳のころからその山古志に行ってみたくてたまらなかったよ。

念願叶って、2001年に初めて山古志に来れたんだ。その時は、「錦鯉を買って帰ろう」くらいにしか思っていなかったけど、いろいろ見ているうちにもっと錦鯉にはまっちゃった。それから年に一度以上、錦鯉だけのために日本に来たよ。他の産地にも行ったりしたけど、やっぱり山古志が一番素晴らしい。それで2007年についに1年間暮らしてみることにしたんだ。」

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自分の運営するサイト用に写真撮影するMarkさん。モデルである錦鯉を知り尽くしていて、泳ぎ回る錦鯉の姿を巧みに撮影している。

--何故、山古志が一番素晴らしいと思ったのですか?

Mark Gardner「広島や九州にある大きな養鯉場に比べて山古志は規模は小さいけど養鯉場の数が多いし、それぞれが近い。徒歩で渡り歩けるしね。

それに規模が小さいから、個々のブリーダーの探究心がすごくて、新しくて面白い改良をされた美しい新種の錦鯉がじゃんじゃん生まれる。エキサイティングでしょ? こんな場所、世界中でも山古志しかないよね(笑)」

Markさんのほかにも、品評会には錦鯉関係の外国人ジャーナリストが沢山訪れていました。彼らが発信する情報は、世界中のバイヤーや個人愛好家にとって貴重なものだそうです。

中にはジャーナリストとして目を養い、知識を付けてから、バイヤーに転向する人も多いとか。さて、次はバイヤーさんにインタビューです。

 

「錦鯉が私のストレスを癒してくれたんです」

バイヤーのドイツ人のJosef Bertram(ヨーゼフ・ベルトラム)さんは、この道20年のベテランです。もともとは、木材業だったとのことですが、趣味が高じて転業したとのこと。

今では五十嵐さんの大親友で、年に何回も山古志を訪れています。

今回も、ヨーロッパからお客さんが日本に錦鯉を見に来るとのことで、その準備のために来日していました。

山古志の品評会だけでなく、晩秋に行われる新潟県内のオークションにも参加する予定だそうです。

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錦鯉の買い付けの為に山古志を訪れているJosef Bertram(ヨーゼフ・ベルトラム)さん。木材業を営んでいたが、錦鯉のバイヤーに、徐々に転業していったという。

--何故、錦鯉がお好きなのですか。

Josef Bertram「木材業だったころ、飼っている錦鯉を夜に眺めているだけで、仕事のストレスが癒されました。ゆっくり優雅に泳ぐ姿を見ていると、心が落ち着きます。が、最近は錦鯉をビジネスの対象として見る人が多く、心の癒しとして飼う人が少なくなってきているのが悩ましいです。

日本に来たら、ほぼ9割型は山古志にいます。山古志の人たちが大好きなんです」

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冬に備えて、棚池から真水の水槽に移されたばかりの錦鯉の稚魚たちを見ながら、「あの鯉は将来、良い発色になるね。」と楽しそうに話す五十嵐敏勝さんとJosefさん。

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山古志で行われた錦鯉のオークション会場にて。これから、錦鯉はビニール袋に入れられて、オークションに出品される。Josefさん、お目当ての錦鯉の様子を見ているところ。

--山古志の人たちのどういうところが気に入ったのでしょう?

Josef Bertram「私にとって、錦鯉はビジネスではあっても、最終的にはやはり愛玩の対象です。その点、山古志のブリーダーの人たちも同じように錦鯉を愛しており、お金もうけだけで育てているのではないのがわかるところですね。

それにここの人はみんな口数が少ないけど、心があったかいんです。

あと山古志の静かな里山も大好きです。ここに初めて訪れた時、本当に美しいと思い感動しました。ほかには寺泊という海近い場所もいいですね。あそこで、蟹をたらふく食べるのが私の定番コースです」

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山古志で行われたオークション開始前の会場での品評会の様子。オークション参加者は、70%以上が世界中から集まった外国人バイヤーとのことで、様々な言語が交わされています。

 

外国人たちが認めるブリーダーの情熱

「本場日本の錦鯉は、やっぱりいい。なかでも、山古志の錦鯉は最高」と語ってくれた外国人錦鯉愛好家たち。錦鯉を愛するようになったきっかけについては人それぞれながら、各自が口をそろえて絶賛していたのは、山古志の鯉のブリーダーたちの錦鯉に対する情熱でした。

そんな熱心なブリーダーたちに支えられ、現代もなお錦鯉文化が根付く山古志。是非、一度行ってみて下さい。

山古志の棚田風景

美しい棚田の風景に心惹かれ、山古志を訪れる外国人も多い。

 

錦鯉のイベントについて
[開催期間] 毎年初春と晩秋
[問合せ先]長岡市農林水産部 農水政策課
[電話]0258‒39-2223 [FAX] 0258-39-2284
[メール]:nousei@city.nagaoka.lg.jp
[HP]http://www.city.nagaoka.niigata.jp/sangyou/cate04/nishikigoi.html
養鯉生産者へのお問い合わせ先:長岡市錦鯉養殖組合(山古志地域)会員一覧
http://www.yamakoshi.org/culture/culture04/culture04-3/
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