まちを知る
-
厳しい時代を生きた盲目の女たちの、声なき声を聞け。長岡に今も響く「瞽女」の歌声を追って
かつて、新潟県の中越地方に「瞽女(ごぜ)」と呼ばれる盲目の旅芸人がいた。彼女たちは三味線を手に各地の農村を回り、瞽女唄と呼ばれる独自の唄を唄った。歌うことで日銭を稼ぎ、厳しい時代を生き抜いた彼女たちの生涯は、『瞽女 GOZE』(2020年)など多くの映画や小説でも描かれている。 なかでも、長岡は高田と共に県内最大の瞽女集団が存在した地であった。最盛期となる明治半ばには400人もの瞽女が長岡を
-
川と生き、山と暮らしてきた人々の息遣いが聞こえる。謎の民謡「天神ばやし」を追って(後編)
新潟県のほぼ中央に位置し、信濃川と魚野川の合流地点に広がる長岡市川口地域。天神ばやしはこの地の祝いの席では欠かすことのできない歌だ。前編では川口地域で取材を行い、この祝い唄が現在どのような場で歌われてきたのか、その現状を探った。そこでわかったことのひとつが、天神ばやしの担い手たちですらこの歌がどこからやってきたのかわからないということだった。人から人、さらに言えば立派な記録などそうそう作って残しよ
-
川と生き、山と暮らしてきた人々の息遣いが聞こえる。謎の民謡「天神ばやし」を追って(前編)
新潟県長岡市・川口地域。かつては隣接する小千谷市や魚沼市とともに「北魚沼郡」を形成し、2010年に長岡市に編入されたのちもある種の「飛び地」のような形で、中心部とは違った独自の生活文化を紡いできた地域である。 この地域に、「天神ばやし」という民謡が伝わっている。2014年に長岡市が「地域の宝」と銘打って保全を目指している伝統文化のひとつではあるが、川口以外の地域出身である編集部メンバーも誰ひ