ムラビト二日目~稲刈りとはさかけ

天気は快晴。朝、大橋さんが雲海を見に行こうとドライブに誘ってくれました。村の林道の先にある「法末・万里の長城」と名付けられた見晴台からの眺めは圧巻……。春から秋の快晴の早朝にしか見られないという雲海。今回は「最高」といえるものではなかったそうですが、それでも、この世の景色とは思えない美しさでした。朝日が昇るときの雲海も神秘的だとか。心が洗われる瞬間でした。

小国の「法末・万里の長城」。春から秋の快晴時にしか観られない朝霧を見に行きました。

小国の「法末・万里の長城」。春から秋の快晴時にしか観られない朝霧を見に行きました。

いよいよ9時から「道楽人形」の藁の材料でもある、稲刈りがスタート。毎年お米を法末から買っている都会の人たち、長岡の子どもたち、女性たちも加わって、のこぎり鎌でザクリ、ザクリと手刈りします。

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カネコ君は奥様とお子さんを連れて参加。のこぎり釜の使い方、仕事の段どり、学校では教われない生きる術がいっぱい学べます。 子どもたちは、イモリに目を輝かせていました。

一体の人形を作るのには、たくさんの藁が必要です。田んぼ一枚まるまる刈っても足りないくらいなのだそう。刈った稲をクルンクルンとまわして、束ねていきますが、覚えるのも一苦労。村人がマンツーマンで手とり足とり教えてくれます。それにしても80歳の村人たちの鮮やかな働きぶり、身のこなしの美しさ。「人は年齢だけでは測れない!」のです。ナカジマさんは、人生の達人のムラビトから、いろんなことを学びたくて来ていると語っていました。約2時間、総勢15名で稲を刈り、はさかけを行いました。

稲刈り機を使えば、一人で稲刈りから袋詰めまでできることなのかもしれません。しかし15人の人が汗だくになって作業をして笑い声や子どもの声が響くと、心なしか田んぼも喜んでいるかのようでした。じっくりと乾燥させる「はさかけ米」は香りも食味も格別です。

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笑顔がとってもすてきな内山昭平さんとシマムラさん。マンツーマンだから、しっかり身につきます。

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大橋昭司さん。都会からの若者たちに、山や田んぼのことを教えてくれる。

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見事に刈り終えた田んぼとはさかけの稲をバックに記念撮影。

次の10月に実施される4回目のツアー「トバ編みと山仕事の旅」では今回束ねて干した稲わらを、一つひとつ編み込んで、長さ5メートルほどの「トバ」を作ります。そして最後の1月のツアーでいよいよ、道楽人形を作り上げるのです。

 

若者をとらえる法末の魅力

ムラビトたちの心の拠り所となっている「法末自然の家 やまびこ」は、元々は法末小学校でした。廃校になって、使われなくなった校舎を宿泊施設にして、訪ねてきた人々との交流の拠点にしています。校舎の雰囲気はそのままに、2階には冬でも使える体育館もあります。
三度のお食事は、村のお母さんたちの手作りで、山の恵みがたっぷり! 山ウド、フキノトウ、ゼンマイ、ズイキなどなど、都会では食べられないお料理ばかりです。

夕飯は、村人たちと一緒に、いただきます。初めて会ったとは思えない、自然な歓待ぶりです。管理人の大橋好博さんのさり気ない気配りも心に沁みます。

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法末営農組合長・内山求さんのあいさつで始まったお夕飯タイムと交流会。美味しいお酒もいただきながら、ムラビトの知恵を授かります。

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山菜好きにはたまらない料理が並ぶ夕食。

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充実の朝食。何よりごはんのおいしさに驚かされます。山間のコシヒカリは粒が大きくて食味も豊か。

冬には4mもの雪が降り、田んぼも苦労しなくては出来ない集落。ムラビトは、その苦労を喜びに変える術を知っています。どんな過酷な状態でも楽しみを見出すことができたら、どこでも生き抜いていけます。若者や都会の人が村人たちに憧れるのは、それを知っているから。しかし、こればかりは、来て体験してみないと分からないこと! 村の暮らしに興味がある方は、あと2回ある「ムラビトになる旅」に参加してみてはいかがでしょうか。

道楽人形ツアー④チラシ-01

 

ムラビトになる旅
[開催日時]
2016年10月29日(土)・30日(日)『トバ編みと山仕事の旅』 ※申し込み締め切り10月25日(火)
2017年1月14日(土)、15日(日)『道楽人形復活の旅』
[参加費]1万2800円 ※宿泊費・交流会料金・講師謝金等含む
[問い合わせ・申し込み先]法末自然の家 やまびこ
[住所]新潟県長岡市小国町法末706
[電話]0258-95-3827
[URL]http://hyamabiko.wp-x.jp/

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