ウェルカム、地域の皆さん!開かれたデザインの大学、長岡造形大学に潜入

2016.10.20

デザインを専門とする大学、長岡造形大学(以下、造形大)。新潟県長岡市に1994年に設置された大学で、約1,000人の学生がプロダクトデザイン、視覚デザイン、美術・工芸、建築・環境デザインの4つの学科で日々学んでいます。造形大の学生といえば、地域の課題をデザインで解決しようと長岡市や新潟県内各地に学生が足を運び、地域に入り込んでプロジェクトに取り組んでいることでも知られています。「な!ナガオカ」で紹介している「オグニーリターンズ」なども造形大が仕掛けたプロジェクトです。

→頼みの綱は宇宙人!? 前代未聞の町おこしイベント「オグニーリターンズ」レポート

大学というと「学生しか利用できない」というイメージを持つ方も少なくないと思いますが、造形大は一般の方にも「開かれた大学」なんだとか。大学は学生だけのものじゃない!? 2014年度に公立化し、今まで以上に地域社会との連携を強める造形大のキャンパスに潜入してきました!

 

開かれたキャンパスには
デザインの教材がいっぱい

造形大のキャンパスは長岡駅から自動車で約15分。全国に誇る長岡花火の舞台となる信濃川沿いの千秋エリアに位置します。雄大な姿を見せる信濃川と、美術館などの文化施設、大型ショッピング施設があるなど、自然と文化が共存する長岡を象徴するロケーションです。

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そこにあるキャンパスは「まるごとデザインの教材」として造られたことが最大の特徴。校舎そのものが生きた教材であるだけでなく、校舎内には名作家具が点在。大学の敷地内も景観全てがデザインされた空間となっています。

 

誰でも自由に入れる!
ロケ地にもなるデザイン校舎

そんな造形大学の校舎の中には誰もが自由に入ることができるんです!コンクリート打ちっぱなしのシンプルな校舎は、エントランスを入ってすぐの水色の壁を除き素材がそのまま。これは「キャンパスに色彩を与えるのは学生自身である」という意味と願いがあるのだとか。

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廊下には課題の展示が多数。

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ギャラリースペースも学生たちが自由に活用。

シンプルながらも洗練された空間を歩くだけでも楽しいですが、学生の課題発表や作品展示も頻繁に入れ替わるので、訪れる度に変化が見られます。

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1986年に発表された倉俣史朗の名作「How High the Moon(ハウ・ハイ・ザ・ムーン)」。

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学生も来訪者も自由に使える校舎内各所に置かれたイスやテーブルは全て名のある作品。

また、校舎内に置かれているイスやテーブルはどれも有名家具とのこと!「学生の多くは分かっているのかいないのか、普通に使っていますけどね」と大学職員の方。本物の空間と、本物の作品の中で学生の創作意欲に刺激を与えようという方針ですが、外から遊びに来た私たちも歩いているだけで何やらデザインセンスが磨かれそうな気がします。

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2層吹き抜け全面ガラス張り壁面のレストランはハリウッド映画のロケで使用。

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3階渡り廊下は独特の窓から入る自然光や間接照明で印象的な空間。こちらもCMのロケ等で使用。

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市民工房を持つ2010年竣工の第3アトリエ棟は2010年度グッドデザイン賞を受賞。

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ひし形の窓や複雑な内部空間は細部まで工夫があり、創作意欲が刺激される。

 

蔵書数約7万3千冊!
デザイン専門の図書館

大学の頭脳とも言える図書館ももちろん一般の方に開放されています。デザインの大学らしく約7万3千冊のうち大半がデザイン関連の書籍です。

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本棚に並んだ書籍はとてもカラフル! 背表紙を眺めて歩いているだけで一般の図書館とは随分違う印象を受け、つい手にとって見たくなります。また、国内外の雑誌がずらりと並んでおり、見たことがない雑誌を読めます。

コレクションのひとつに「Visionaire(ヴィジョネア)」というファッションとアートを表現するヴィジュアル誌があります。特に1,000部しか発行されなかった創刊号は超レア! 毎号世界で3,000~6,000部しか発行されず、全てにナンバリングされるなど、コレクターズアイテムとしても注目されるものですが、造形大の図書館にはバックナンバーがほとんど保管されています。不定期ですが館内の展示ケースで紹介されています。詳しくは図書館職員の方に聞いてみて下さい。

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エットーレ・ソットサスがデザインしたソファと、エルサレム美術館等で永久展示されているスーパースタジオがデザインしたテーブル。

館内のイスやテーブルももちろんこだわりが。各所にある赤と黒のイスはドイツのウィルクハーン社製の「ピクト」。新聞コーナーにあるテーブルは普通は触れることができないものとのこと!一流の家具を普段使いできるのもこの図書館ならではです。

図書館の利用には身分証明書の提示が必要です。また、一般利用者への貸出は行っていませんのでご注意下さい。開館日は基本的には平日9:00~19:00(非授業日は17:00まで)のみ。詳細は図書館カレンダーをご確認下さい。

 

四季を楽しめる
キャンパスと展示室

校舎内に入らずとも「見るもの触れるものすべてが教材となる」という造形大のキャンパスは見どころ満載!東京ドーム2.5個分ほどの敷地には約90種類、1,600本の樹木と、約70種類の草花が植えられ四季を彩ります。

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6列のカツラ並木は大学正面のシンボル。

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これからのシーズンには紅葉が楽しめます。

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6月と10月に満開となるバラ園は地域の方から愛される人気スポットのひとつ。

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湿地特有の生態系を有するビオトープ池には準絶滅危惧種のモリアオガエルが生息。

「自然風景式庭園」の技法を用いて整備された敷地は、散歩の方や、子ども達など地域の人達がその環境を楽しんでいます。大学で作られた「キャンパス風景ワクワク探検マップ」を見ると、どんな植物があるか分かってさらに楽しめます。

また、医師、画家として活動された丸山正三氏の約3,000点の作品を収蔵し、展示している「長岡造形大学 展示館 MaRouの杜」は入場無料。年2回展示替えをしています。

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景観に溶け込んだ「展示館 MaRouの杜」は入場無料。

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展示はもちろんですが、建物自体も作品(多数の賞を受賞)となっているので、中を歩くだけでも楽しめます。

 

誰もが参加できる
プログラムもいっぱい

造形大は建物や敷地に入れるだけではありません。
一般の方々が大学の設備を使ってガラス・純銀アクセサリー・陶芸・染織・漆芸・木工の講座を受けられる「市民工房」や、子ども達が月1回1年間かけて学ぶ「こどもものづくり大学校」といった講座を開設しています。

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2010年に開設された市民工房は3カ月・6カ月・1年のコースで参加者を年4回募集。

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2011年スタートのこどもものづくり大学校は応募者多数で抽選になるほど大人気。

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学生でなくとも大学の充実した設備が使え、専門講師に教えてもらえるなんて嬉しいですね。

また、定期的に地域・市民の方々と大学の交流を目的とした公開講座が開催されています。他ではなかなか聞けない講師の話を聞ける貴重な機会ですので、気になる方は造形大のホームページをチェックしましょう。

 

「市民のためのオープンキャンパス」は
2016年10月22日・23日開催

その他にも造形大では、一般の人達も楽しめるイベントを毎年開催しています。一つは9月の大学祭。こちらは学生を中心に作品展示や、ワークショップなどでデザインを体験できるほか、模擬店やステージなど学生生活を楽しむ大学生たちと一緒に楽しむことができるイベントです。

そしてもう一つは毎年秋に開催している「市民のための長岡造形大学オープンキャンパス」です。これは高校生対象のオープンキャンパスではなく、誰もがデザインの大学を見学・体験できるようにと企画されたイベントです。

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市民のためのオープンキャンパス実行委員のお二人。学生企画を準備しています!

2016年度は10月22日(土)・23日(日)に開催します! 有名講師を呼んだ講演会に、作品展示や講座、ワークショップ、10種類以上のものづくり体験教室など盛りだくさんの内容。学生たちが企画・準備した魅力たっぷりの企画もあります。イベントに遊びに行くついでに、今回の記事で紹介した見学スポットを回ってみるのもいいですね。

長岡造形大学は学生だけのものではなく地域に開かれた大学です。デザインに興味のある人もない人も、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

長岡造形大学
[住所]〒940-2088 新潟県長岡市千秋4丁目197番地
[電話]0258-21-3311
[FAX]0258-21-3312
[メール]admin@nagaoka-id.ac.jp
[HP]http://www.nagaoka-id.ac.jp/

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