酒蔵の酵母で始めたパン作り

創業は大正元年。当初は菓子店で、パンを焼くようになったのは戦後になってから。「店の向かいにある酒蔵の吉乃川さんから製パン用の酵母(イースト)を仕入れ、パン作りを始めた」という。

旭屋のある摂田屋(せったや)は、昔から酒蔵やしょうゆ、みその醸造所が集積する「醸造の町」。日本酒も、しょうゆも、みそも、そしてパンも、酵母の発酵を利用した食品。この土地には、旭屋が製パン業を始める素地があったのだろう。

古くから酒造りで酵母を扱ってきた吉乃川は、昭和21年にパン用酵母の製造技術を確立。傘下に酵母製造を専門とする会社「中越酵母工業」を設立している。旭屋のパン作りも、この頃に始まったらしい。

8外観

旭屋は、風情ある町並みが残る長岡市摂田屋地区にある。

9店の前

店の向かいは酒蔵の吉乃川。緑の蔦に覆われた大正時代建築の「常蔵(じょうくら)」など、摂田屋には国の登録有形文化財が点在する。

旭屋の店頭には惣菜系の調理パン、菓子パンなど毎日約30種類が並ぶ。テレビで紹介されて話題となった「煮卵パン」や夏の隠れた人気商品「アイスパン」などもあるが、メインはやっぱりコッペパン。一晩かけて長時間発酵させるオーバーナイト製法で、1日120本は焼く。多い時は300~400本になることも。

「4月12日の『パンの記念日』にちなみ、うちは毎月12日は『パンの日』サービスデーで、コッペパンは全種類20円引き。この日はいつもよりたくさん仕込むんだ」

夜に仕込んでゆっくり発酵させた生地を、翌朝にこねて成形し、焼き上げる。手間はかかるが「風味が全然違うから」と、おいしさを最優先。風味良くふんわり焼き上がったコッペパンは、ご近所さんから観光客まで、多くの人を引き付けている。

旭屋
[住所]新潟県長岡市摂田屋4-7-31
[電話]0258-32-0981
[営業時間]7:00~19:00(11月~3月の冬期は7:30~18:30)
[定休日]日曜・祝日
[駐車場]3台

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