泳ぐ宝石・山古志の錦鯉~世界の富豪を魅了する理由に迫る
「だんだん懐く錦鯉に愛着が湧いたんだ」
まず五十嵐さんが、紹介して下さったのは、「おーい。マーク」「ハロー、イガラシ―サン!」と、親しげに声を掛け合うMark Gardner(マーク・ガードナー)さん。『NISHIKIGOI LIFE』という錦鯉専門の英語サイトの運営をしているイギリス人ジャーナリストです。
品評会に来ている外国人のみならず、地元山古志の錦鯉関係者たちとも顔なじみの様子で熱心にシャッターをきりますが、鯉をみる目つきはまるで恋人を見るかの様です。聞けば錦鯉と山古志が大好きで、1年間住んだこともあるとか。さっそく話しかけてみました。
--何故、錦鯉がお好きなのですか?
Mark Gardner「僕はイングランド東部エセックス州の出身だけど、13歳の時に初めて錦鯉を実家の池で飼い始めたんだ。親が買ってきたので、単なる観賞用としか見ていなかったんだけど、餌をやったりしているうちにだんだん懐いてきて、愛情を感じる様になっちゃった。それでどんどん興味が増していろいろと調べるうちに、日本の山古志というところが発祥の地だと知り、16歳のころからその山古志に行ってみたくてたまらなかったよ。
念願叶って、2001年に初めて山古志に来れたんだ。その時は、「錦鯉を買って帰ろう」くらいにしか思っていなかったけど、いろいろ見ているうちにもっと錦鯉にはまっちゃった。それから年に一度以上、錦鯉だけのために日本に来たよ。他の産地にも行ったりしたけど、やっぱり山古志が一番素晴らしい。それで2007年についに1年間暮らしてみることにしたんだ。」
--何故、山古志が一番素晴らしいと思ったのですか?
Mark Gardner「広島や九州にある大きな養鯉場に比べて山古志は規模は小さいけど養鯉場の数が多いし、それぞれが近い。徒歩で渡り歩けるしね。
それに規模が小さいから、個々のブリーダーの探究心がすごくて、新しくて面白い改良をされた美しい新種の錦鯉がじゃんじゃん生まれる。エキサイティングでしょ? こんな場所、世界中でも山古志しかないよね(笑)」
Markさんのほかにも、品評会には錦鯉関係の外国人ジャーナリストが沢山訪れていました。彼らが発信する情報は、世界中のバイヤーや個人愛好家にとって貴重なものだそうです。
中にはジャーナリストとして目を養い、知識を付けてから、バイヤーに転向する人も多いとか。さて、次はバイヤーさんにインタビューです。
「錦鯉が私のストレスを癒してくれたんです」
バイヤーのドイツ人のJosef Bertram(ヨーゼフ・ベルトラム)さんは、この道20年のベテランです。もともとは、木材業だったとのことですが、趣味が高じて転業したとのこと。
今では五十嵐さんの大親友で、年に何回も山古志を訪れています。
今回も、ヨーロッパからお客さんが日本に錦鯉を見に来るとのことで、その準備のために来日していました。
山古志の品評会だけでなく、晩秋に行われる新潟県内のオークションにも参加する予定だそうです。
--何故、錦鯉がお好きなのですか。
Josef Bertram「木材業だったころ、飼っている錦鯉を夜に眺めているだけで、仕事のストレスが癒されました。ゆっくり優雅に泳ぐ姿を見ていると、心が落ち着きます。が、最近は錦鯉をビジネスの対象として見る人が多く、心の癒しとして飼う人が少なくなってきているのが悩ましいです。
日本に来たら、ほぼ9割型は山古志にいます。山古志の人たちが大好きなんです」
--山古志の人たちのどういうところが気に入ったのでしょう?
Josef Bertram「私にとって、錦鯉はビジネスではあっても、最終的にはやはり愛玩の対象です。その点、山古志のブリーダーの人たちも同じように錦鯉を愛しており、お金もうけだけで育てているのではないのがわかるところですね。
それにここの人はみんな口数が少ないけど、心があったかいんです。
あと山古志の静かな里山も大好きです。ここに初めて訪れた時、本当に美しいと思い感動しました。ほかには寺泊という海近い場所もいいですね。あそこで、蟹をたらふく食べるのが私の定番コースです」
外国人たちが認めるブリーダーの情熱
「本場日本の錦鯉は、やっぱりいい。なかでも、山古志の錦鯉は最高」と語ってくれた外国人錦鯉愛好家たち。錦鯉を愛するようになったきっかけについては人それぞれながら、各自が口をそろえて絶賛していたのは、山古志の鯉のブリーダーたちの錦鯉に対する情熱でした。
そんな熱心なブリーダーたちに支えられ、現代もなお錦鯉文化が根付く山古志。是非、一度行ってみて下さい。
錦鯉のイベントについて
[開催期間] 毎年初春と晩秋
[問合せ先]長岡市農林水産部 農水政策課
[電話]0258‒39-2223 [FAX] 0258-39-2284
[メール]:nousei@city.nagaoka.lg.jp
[HP]http://www.city.nagaoka.niigata.jp/sangyou/cate04/nishikigoi.html養鯉生産者へのお問い合わせ先:長岡市錦鯉養殖組合(山古志地域)会員一覧
http://www.yamakoshi.org/culture/culture04/culture04-3/