経験ゼロでも船釣りができる!魚のアメ横・寺泊で楽しむ1日漁業体験

2019/1/27

新潟県長岡市寺泊地区は、古くから漁業が栄えた「魚のまち」。

この街の漁協には、一般客を乗せて海釣りに連れて行ってくれる釣り船が数多く所属しています。そのため、普通はなかなかハードルが高いように思えてしまう「船釣り」を、経験ゼロでも楽しむことができるのです。

9月から11月にかけての「マダイ」釣りのシーズンは、今年も多くの釣り愛好家が寺泊に集まりました。そこで「な!ナガオカ」でも寺泊漁港の釣り船に乗船し、海釣りを突撃取材してきました。

 

予約も手続きも超簡単!

「船に乗って海釣り」なんて、なかなかできない体験。敷居が高く思われるかもしれません。しかし、通常の釣りと比べると、難易度はむしろ低いとも言えます。

なぜなら、長い経験を持つ船長が、最初から「釣れるポイント」に連れて行ってくれるから。自分で釣りのポイントを探るよりも、むしろ条件的に恵まれているのです。

寺泊漁港には乗り合いの釣り船が何隻かありますが、今回お世話になったのは「作十丸」。

申し込みも簡単。電話で問い合わせると出航予定を教えてくれるので、希望の乗船日・乗船時刻を伝えると予約完了です。なお、オンライン予約も受け付けています。

当日は、現地で料金を支払うだけで乗船手続きは完了。わずかこれだけで、釣りに繰り出すことができます。

 

竿はレンタル可能、ほぼ手ぶらでOK

寺泊漁港

寺泊漁港の岸壁に直接、集合します。

午前11時近くになると、続々と釣り客の車が集まってきます。

午前便が終わり、港に入港する釣り船「作十丸」

作十丸の出航時刻は1日に2回。「午前便」「午後便」の2便があり、基本的に午前5時と午前11時に出航します。

この日のお客さんは、常連さんがほとんど。慣れた足取りで乗船していきます。ですが、日によっては初心者が多く乗船することもあるのだとか。

釣り竿(ロッド)・リールを持っていない方はレンタルが可能(¥1,000〜)ですが、釣った魚を保存するクーラーボックスは持参しましょう。本格的なものではなく、ホームセンターなどに売っているレジャー用のものでもOKとのこと。

「初心者大歓迎だよ!」と迎えてくれた作十丸の名物乗組員さんたち。終始明るくコミュニケーションを取ってくれるのも楽しい

寺泊での船釣りがおすすめな理由として、ベテラン乗組員による親切なアドバイスが受けられることがあります。「最初はどんな道具を揃えればいいのか」といったことから、天候による釣り糸の色の使い分けなど、脱初心者的なアドバイスまで伝授してくれますよ。

 

いよいよ出航!本日の漁場へ

釣り客の入れ替えを行なった後、作十丸はすぐに出航準備に入ります。

船員さんに今日の調子を伺うと、「朝の船(午前便)では、そこそこ大きいマダイが釣れたよ。お客さんたちも喜んでいたな」とのこと。これは期待できるかも…?

船上でロッドを設置するなど準備をしていると、気がつけば船は沖合に。漁港がずいぶん遠く見えます。

出航して30分弱。漁場が点在するエリアに到着しました。風がほとんど吹かず、水面は微かに揺れる程度。絶好の釣り日和です。

 

「作十丸」船長の五十嵐利男さん。多くの釣り客からの支持を集める

寺泊沖には、有名な漁場がいくつか存在します。「作十丸」船長の五十嵐利男さんは、その漁場をすべて熟知した大ベテラン。その日の天候や潮、波の状態、魚群探知機を見ながら、最適な漁場を見定めていきます。

五十嵐船長から「南南西の風、水深は50メートルでお願いします」とのアナウンスが入りました。

この日は20人ほど乗船。ポジションは基本的に早い者勝ち

しばらくして本日最初の漁場に到着。船が停止すると同時に、漁の開始を告げる笛の音が響き渡りました。

全員の釣り竿のセッティングが完了し、いよいよ釣りの始まりです!

撒き餌「コマセ」

海釣りの魅力は、様々な種類の魚を狙うことができるところ。今回の漁で主に狙うのは、マダイです。

使うのは「コマセ」という餌。プラスチック製の容器にオキアミなどの餌をたっぷり入れて海にばら撒くことで魚を集め、コマセのさらに下に吊り下げた釣り糸(ハリス)に魚を引っ掛けて釣り上げるという釣りの手法。いわゆる「撒き餌」です。

「こんなことするの、初めてなんだけど……」という方もご安心を。仕組みから操り方まで、船の方やベテランさんが丁寧に教えてくれます。投入する餌の深度なども教えてもらえるので、まさに釣りそのものだけに集中することができます。これぞ、寺泊の船釣りの魅力!

最初の漁場に到着してから、わずか数分で引きがきました。

アジです!この後も続々とかかり続け、船の上は一気に大忙しに。

「いやー、今日はアジばっかりだ!」

ベテランの釣り人からは悲鳴にも似た残念そうな声が上がりますが、初心者にとってみれば面白いくらいに魚が釣れています。

その後もコンスタントに引きが来ます。アジが多いですが、サバやイナダなども続々とあがります。

しかし、船長やベテラン釣り客の狙いは、あくまでもマダイです。落ち着いたのを見て、漁場を変えます。

 

いよいよ本命・マダイ釣りに挑戦!

漁場を変え、しばらくすると、両舷ともに魚がかかりはじめました。

 


みなさん、続々とタイを釣り上げています。

釣りは非常に奥が深いもので、ロッドの動かし方、リールの巻き方などにはコツが必要です。教則本を読んだり、一人で釣りをしているだけでは、なかなか上手くいかないもの。その点、この船釣りなら、魚がヒットした際には、乗組員の方がその場で教えてくれるので、釣りの腕を上げることができます。

気がつくと16時を過ぎ、夕暮れ時に差し掛かっていました。
水面には夕焼け雲が反射しています。こうした美しい海の景色を楽しめるのも、船釣りの醍醐味のひとつ。

毎日のように寺泊港へ通っているという長岡市のYさんは「景色はまったく飽きがこないよね」とひと言。実際に乗船してみればわかる、納得の言葉でした。

 

釣果やいかに!?

ベテラン釣り客のクーラーボックスを覗かせてもらうと、タイやアジがぎっしり!流石です。

ちなみに「昨日の朝は3kg以上のタイが何枚も釣れたよ」とのこと。いつかは釣ってみたいものです。

釣りを終え入港する頃には、周囲は真っ暗に

11時からスタートした今回の海釣りでは、最終的にマダイ(1.0kg)をはじめ、ハナダイ、イナダ、大量のアジが釣れて、大満足の結果に。

日没ギリギリまで船を出してくれる五十嵐船長からは「お客さんになるべく釣ってもらいたい」という優しさと、海の男の心意気を感じました。

ちなみに、筆者は船釣りがほぼ未経験の初心者。

「船に乗って釣りに出かけるなんて、自分にはできそうもない」と思っていましたが、良い意味でその予想は覆されました。

初心者にこそおすすめしたい、寺泊の船釣り。

自分の世界が広がるかもしれませんよ。

Text & Photo Junpei Takeya

 

●Information
釣り船「作十丸」
[予約・問い合わせ]0258-75-2668
[URL]http://www.saku10.com/
[料金](半日)一般¥7,000、女性¥6,000
他、1日乗り込みや貸切も可。詳しくは作十丸ホームページを参照

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