小学生が地域農家に米づくりと郷土愛を学ぶ半年間。長岡名物「田んぼ授業」に密着!

自然と親しみ、農業と近づく
約半年間のお米作り体験
地域農家が集まり、小学生に「田んぼ授業」を行う取り組みは、今年で14年目。毎年、初めての米作り体験に心を躍らせる子どもたちの姿を見られることが、活動を続ける農家たちの原動力となってきました。
稲刈り当日は約20名の農家が応援にかけつけましたが、そのなかでも子どもたちの田んぼの管理をメインで行ってきたのが、米農家の金井宏晃さんです。

若手米農家の金井宏晃さん。
こんな思いをもって活動に臨んでいる金井さん。子どもたちとの「田んぼ授業」は春から始まりますが、長い時間をかけて大切に育て上げ、稲刈りの日を迎えられたそう。収穫を迎えるまでにも、子どもたちにさまざまな体験の場を用意してきました。

備中ぐわを使って乾燥した田んぼを耕します。

田んぼの泥に均等に線を引く「田植え定規」。コロコロ転がして跡を付けます。

腰を低くしてかがみながら1本1本手植え。結構な重労働です。
田んぼの半分は機械を使ってスピーディーに田植え。「昔の人たちは広い田んぼすべてに手植えしていたなんて……」と子どもたち。自分たちで作業することで、身をもって先人たちの苦労を体感できたようです。

水生昆虫にも詳しい「田んぼ先生」。

「どんな虫がいるかな?」「よし、捕まえた!」とにぎやかな子どもたち。

あっという間に大きくなった稲に子どもたちはびっくり!

お米は知れば知るほどおもしろい!各自がパソコンでまとめ資料をつくって発表します。

写真は9月下旬のバケツ稲の様子。鳥よけネットを張って、防犯対策もバッチリ。

びっしりと実を付けた稲。今年はまずまずの天気で出来栄えは良好!
子どもたちの笑顔に触れて
農業の苦労が楽しみに変わった

地域農家の“田んぼ先生”吉田隆夫さん。
中心人物ではありますが、最近は「もう年だからね、引退だよ」とのこと。若い金井さんに「田んぼ授業」を託すといいつつも、やっぱり子どもたちの笑顔に会いたくて、積極的に活動に顔を出しています。
「農業は苦労が多いけどね、14年前に『田んぼ授業』が始まってからは楽しみに変わったんだよ。子どもたちが米作りを楽しんでくれることが嬉しくて、それで続けているようなもんだね」

以前に作った稲苗の標本。
はじめてのお米作りを終えて
子どもたちの感想は?
地域農家たちの思いが込められた「田んぼ授業」。約半年間にわたる活動の中で、子どもたちはどんなことがおもしろいと感じたのでしょうか? そして、お米作りを通してどんなことを学んだのでしょうか? 実際にインタビューをしてみました。

「稲刈りは初めての体験だったけど、稲の束をワラで結ぶのがおもしろかった!教えてもらってすぐに覚えられたし、素早く結べました」(田中悠希さん)

「ずっとしゃがんだ格好で作業していたので、腰が痛くなっちゃいました。昔の農家さんは苦労していたんだなぁ」(星野心聖さん)

「お米を作るのは大変だけど、食べるのは一瞬!想像よりもずっと農家さんって大変なんだなぁと思いました」(畔上千依さん)

「『田んぼ授業』をきっかけに稲の歴史について調べました。稲は九州地方から伝わってきたと知ってびっくりしました」(佐藤鳥羽莉さん)

「田植えも稲刈りも全部初めてで、どれも楽しかった!これからは感謝の気持ちをもってご飯を食べたいです」(守橋直生さん)
子どもたちの第一声は、共通して「楽しかった!」でした。昔ながらの方法である手植えや手刈りは、大人たちにとって大変な作業ですが、子どもたちにとっては新鮮そのもの。作業の一つひとつが、まるで自然遊びのようにおもしろかったようです。
その一方で、普段食べているお米は、農家の苦労のもとにあることも学びとなりました。ベテラン農家である「田んぼ先生」たちとの交流も楽しい時間となり、この地域をますます好きになったようです。
“地域の良さ”を語れる大人にーー
「田んぼ授業」に込めた願い
担任の加藤先生は、地域と協同しての学びの場「田んぼ授業」についてどう考えているのでしょうか?

5年生担任の加藤扶実先生。
米どころといえど、普段は田んぼを目にするだけの子どもたち。「田んぼ授業」がなければ、お米を作る大変やおもしろさ、農家たちの苦労をこの先も知ることはなかったかもしれません。ですが、それ以外にも、「田んぼ授業」にはもう一つの狙いがあるようです。

「みんな素直でエネルギーがすごいんです!」と加藤先生が自慢する5年生19人。

子どもたちの収穫したお米は、後日給食で食べる予定。自分たちで作ったお米はどんな味がするのでしょうか?
Text:渡辺まりこ Photo: 池田哲郎