【お試し移住者インタビュー①】「長岡は子育てしやすい」って本当? 山下さんご一家の場合

「ほどよく都会でほどよく田舎」の新潟県長岡市。海や山が近く自然豊かで、なおかつ必要なライフラインが整ったバランスの良いまちです。エリアごとに個性が異なるため、古民家暮らしのスロー生活、便利な都会的生活など、希望のライフスタイルが叶いやすいまちでもあります。また、東京から新幹線で約90分と好アクセスなので、首都圏との2拠点生活の候補地を探している人にもぴったり!……だと、長岡で働く私たちは思っています。

しかしながら、それは迎える側の勝手な思いかもしれません。本当に、長岡は住みやすいまちなのでしょうか? また、「移住に興味はあるけど、縁もゆかりもない場所にいきなり住むのは不安……」と考える方も多いのではないでしょうか。そんな方のために、長岡市では空き家を活用した「移住お試し体験」のプログラムを用意しています。本シリーズは、その利用者に実際制度を活用してみての感想や、長岡市の印象を伺っていくもの。今回は宮城県仙台市からお試し移住に来た、子育て真っ最中の山下さんご一家にインタビューしました。

※記事中の人物名はすべて仮名です。

 

長岡まちなかの雪事情
「中心地は意外と積もらない」?

今回、山下さんご家族が6日間滞在したお試し移住施設。JR長岡駅から徒歩13分の立地でスーパーや飲食店など、生活に必要な施設がすべて徒歩圏内にあります。

 

玄関先にはごあいさつ文を掲示。二人のお子さんたちは、初めての土地にワクワクしていた様子だったとのこと。

今回インタビューに応じてくれたのは、山下智宏さん、紗江さんの30代ご夫婦。現在1歳と4歳のお子さんと一緒に暮らしており、紗江さんは育休中です。

――本日はよろしくお願いします!ところで、山下さんご家族が移住を検討されているのは、なぜでしょうか?

智宏さん(以下、敬称略):私の仕事の事情で、仙台市から長岡市に転勤が決まったんです。2023年4月から長岡市で暮らすことが決まっていて、まず1年間は単身赴任になり、そのあと家族もこちらに来ます。妻や子どもたちにも長岡での暮らしをイメージしてもらいたいと思いまして、今回お試し移住体験をしてみました。

 

――長岡市にはどんなイメージをお持ちでしたか?

紗江さん(以下、敬称略):すみません。長岡のイメージは全く湧いていませんでした。お米がおいしいことくらいですかね。

智宏:私も同じく……。日本酒が美味しいというイメージでしょうか。

 

――冬の長岡で暮らすことに、少し不安があったそうですね。

紗江:はい。冬の長岡はどれほどの量の雪が降るのか……身構えていたんですけど、想像していたよりずっと少なかったです。びっくりしました。

 

――雪国・長岡ですが、ここ最近は雪が少ない年もあるんです。たとえ雪が降っても、道路上には消雪パイプが設置されているので、車道の雪が溶けて安心ですよ。

智宏:冬でも道路状態が良いのは嬉しいですね。仙台と比べると、長岡の道路は幅が広いですし、一方通行が少ない印象です。運転しやすい道だなと感じます。ただ、長岡駅周辺エリアと山間地では、雪の量が全然違いますね。滞在中に豪雪で有名な山古志エリアも訪れまして、雪の壁に圧倒されました。

 

――確かに山間部は雪の量が桁違いです。水道管が凍ったり、車のバッテリーがあがったり……慣れていないと大変なことは多いかもしれません。

参考:何もかもが初体験!雪国への移住者に聞く「初めての冬」

2023年1月17日取材時の長岡駅前エリア。道路にはほとんど雪がありません(1月下旬の大寒波で例年通り大雪が降り、あたりは真っ白になりました)。

 

長岡の冬は、雪かき用スコップとスノーダンプが必須!(今回の滞在では使用しませんでした)

 

――仙台市と長岡市では、まちの雰囲気の違いを感じますか?

紗江:大きく違うのは、公共交通機関の利用度ですね。私たちはいま仙台の中心エリアに住んでいるので、バスや地下鉄をよく利用しています。夫はバス通勤、私は徒歩通勤です。車に乗る機会は少ないんですが、長岡に住んだら車移動がメインになりそうですね。
長岡駅前や商業施設があるエリアに住むのなら、自転車があれば行動範囲が広がって良いかな? 冬場でも自転車に乗っている方をちらほら見かけましたが、たくさんの雪が積もったら自転車に乗ることは難しそうですね。

 

子育て支援施設がとにかく充実!
「土地が広い」とご満足の様子

――お子さんは1歳と4歳の男の子お二人なんですね!長岡滞在中にどんな遊びをしましたか?

紗江:長岡市千秋にある「子育ての駅てくてく」に行ってみました。赤ちゃん用のおもちゃやブロック、体を使って遊べる遊具など盛りだくさんでした!外のスペースには公園もあるんですね。無料で遊べるなんて嬉しいです。子どもたちは夢中になって遊んでいました。仙台にも子育て支援施設はありますが、どこも狭いんですよ。

 

――長岡市は「てくてく」の他にも、無料で利用できる子育て支援センターが充実しています。ぜひ次回は、別の子育て施設にも遊びに行ってみてくださいね。

参考:長岡にある子育て施設の牛乳パック工作がすごい!作り方を習ってきたレポ

無料で利用できる「子育ての駅てくてく」。助産師や家庭児童相談員が常駐しており、予約不要で子育ての悩みを相談することができます。同様の施設が13施設もあるのも、長岡市の特徴。 思いっきり体を使った遊びに大興奮の長男くん。(撮影:山下さん)

――今回の滞在の目的の一つは、雪に触れることだったとか!雪遊びはできましたか?

紗江:「越後丘陵公園」に行ってみました。広い敷地の公園で、山の斜面を利用したそり遊びを体験しましたよ。残念ながら小雨で地面の雪がぐちゃぐちゃの状態だったんですけど、雪に触れる機会の少ない子供たちは楽しかったようです。雪を踏みつけたり、雪玉を作ったりするだけでも嬉しそうでした。

「越後丘陵公園」でそりすべり!道路脇の雪山にも興味津々のお子さんたち。傘で雪を突っついたり、足跡を付けたりと思い思いに楽しんでいました。(撮影:山下さん)

――教育に関してもご興味があるそうですね。新潟大学附属長岡小学校を訪問したそうですが、いかがでしたか?

紗江:敷地が広々としていて、教育熱心な素敵な学校という印象を持ちました。2クラスという少人数でじっくりと人間関係を築けるのもいいなと思いました。

智宏:私の知人のお子さんが同じ学校に入っていて、とても良いという評判を聞いていたんです。妻や子供たちが移住する頃には、長男が小学生になるので、今回の滞在でどんな学校か知ることができて良かったです。

紗江:今回は、附属小学校に我が子を通わせた経験のある皆さんと、オンラインで交流を図る機会もいただきました。通学方法や試験の傾向、学校の雰囲気など、リアルなお話を聞いてイメージが膨らみました。習いごとをさせる家庭が多いので、宿題は少なめとのこと。子ども同士や親同士の人間関係も良好とのことで、今から期待が高まっています。

附属小学校に我が子を通わせた方々とオンラインおしゃべり会。勉強熱心な校風はもちろん、おだやかな人間関係が築けるところが好印象だったようです。(撮影:山下さん)

――長岡で子育てをするうえで不安なことはありますか?

紗江:今のところは特にないですね。病院が充実していますし、大型ショッピングモールもあるので休日の遊び場にも困らなさそうです。強いていえば、私に急な用事があったときに、子どもを預けられる人がそばにいないことですかね。調べてみたところ、一時保育のベビーシッターサービスがあるようなので、うまく活用していきたいです。

 

醤油赤飯、笹だんご、枝豆…
美味しいものがいっぱい

――長岡で何か美味しいものは食べましたか?

智宏:「ラーメンあおきや」で長岡名物の生姜醤油ラーメンを食べました! 生姜がキリっとしたスープが良いですね。子どもたちもパクパク食べていました。あまりにも気に入ったので、2回もお店に行っちゃいました(笑)

「ラーメンあおきや」の生姜醤油ラーメンでランチ。お子さんたちは、すっかりこの味にハマってしまったようです。(撮影:山下さん)

紗江:スーパーで購入した醤油赤飯も食べましたよ。茶色い醤油味のもち米お赤飯に、甘い豆が入っているなんて変わっていますね。こちらも子どもたちがモリモリ食べていました。

智宏:新潟銘菓で有名な笹だんごも初めて食べました。「江口だんご」で買いまして、あんこが上品で気に入りました。

紗江:同じく「江口だんご」の五色だんごも美味しかったです。みたらし・あんこ・のりなど5種類のフレーバーがセットになっていますが、緑のペーストが抹茶餡だったのにはびっくり! 仙台なら、緑といえば間違いなくずんだ餡ですからね。

「江口だんご」名物の五色だんご。こし餡、抹茶餡、ゴマ餡、みたらし、海苔の5種類を味わえます。

参考記事:古民家再生で日本のよさを今に伝える。老舗和菓子店「江口だんご」

――長岡は枝豆が有名なんですが、なぜかずんだ餡はあまり食べないですね。塩茹での枝豆は絶品ですよ!400種類以上の品種があって、居酒屋のお通しで山盛りになって出てくるのが長岡の夏の風物詩です。

紗江:いいですね!旬の夏にぜひ食べてみたいです。

夏の長岡の居酒屋では、お通しで山盛り枝豆を提供。風味が濃い極上の味でビールが進みます。

参考記事:【勝手に検証】長岡は日本一のえだまめ王国なのか

 

――滞在中はスーパーでお買い物をしたそうですが、長岡らしいポイントは見つかりましたか?

紗江:驚いたのは、国産豚肉のパッケージのほぼ全てに「新潟県産」と表記されていたことです。仙台のスーパーの豚肉なら「国内産」としか記載されていないので。それだけ、新潟では地場の豚肉をよく食べるということなんですね。
あとは、鮭のコーナーがすごく充実していること。切り身はもちろん、分厚く切った塩漬けの鮭、醤油味が付いた鮭もありました。新潟県北部の村上市では、鮭がとれるそうですね。ここ長岡でも、県外と比較するとよく鮭を食べるのかなぁと思いました。

智宏:紫色の食用菊「かきのもと」も珍しいですよね。お浸しにして食べるんですね。お刺身に添えられた黄色の小菊しか見たことがなかったので、驚きました。

 

レジャーへのアクセスも最高!
季節を問わず家族みんなで遊べる

――智宏さんはこの春から、紗江さんとお子さんたちは2024年春から、長岡で暮らすことが決まっているとのこと。どんな生活をしていきたいですか?

智宏:自然豊かなまちなので、自然とふれ合う機会をたくさんつくりたいですね。冬はスキー、夏は海水浴。どちらも気軽にアクセスできて楽しめるって、最高です! 実は、私たち夫婦はこれまでスキーをした経験がほぼないんですよ。でも、長岡市営スキー場など、初心者向けでファミリーでも利用しやすい場があるのは嬉しいですね。長岡市の小学校はスキー授業もあるそうなので、それもまた楽しみにしています。

紗江:子どもたちと思いっきり遊びたいです。長岡には大きな公園がたくさんあるので、公園巡りをするのも良いですね。長男は虫採りが好きなのですが、まだカブトムシをつかまえたことがないので、森でカブトムシやクワガタに出会えたら喜ぶでしょうね。

 

――これからの生活が楽しみですね。最後に、長岡で行ってみたい場所について教えてください。

智宏:「魚のアメ横」と呼ばれる、寺泊の魚市場通りに行ってみたいです。めずらしい魚がたくさん並んでいて、その場で食べることもできると聞いています。

紗江:家族全員が温泉好きなので、ぜひ温泉巡りをしたいです!

 

――長岡は日帰り温泉が多いですよ。麻生田観音堂温泉「麻生の湯」、寺泊温泉「きんぱちの湯」など名湯ぞろいです。ぜひ泉質の違いも楽しんでみてください。

参考記事:今こそ温活!温泉エッセイスト山崎まゆみが本当は教えたくなかった長岡の温泉4選

長岡市寺泊の魚の市場通り、通称「魚のアメ横」。新鮮で安い魚を求めてにぎわう人々でいっぱい!(リンク先記事より)

 

全国第3位の温泉地数を誇る新潟県。長岡市にも数多くの名湯があります。(リンク先記事より)

長い人生において子育ての期間はあっという間です。だからこそ、自然豊かな環境の中で、草木や生物とふれ合いながらのびのびと遊ぶ「記憶に残る時間」が、子どもたちや親にとって大切な宝物になります。今回、山下さんご一家が移住体験した長岡のまちなかであれば、海や山も身近にあり、教育機関や商業施設も充実しており、まさに「ちょうどいい」暮らしができるのではないでしょうか。

長岡市では、移住お試し体験をしてみたい県外の方を募集しています。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。

長岡のはじめ方(長岡市移住定住ポータルサイト)
https://iju.na-nagaoka.jp/trial/

Text & Photo(特記外のもの):渡辺まりこ

 

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