「いつの間にか」24時オープンに

38年前の開店当時は21時~深夜2時までだったが、いつの間にか24時から開店になった。何年前からですか?と聞くと「忘れた、自然な流れかなぁ」。

殿町はスナックが多い。そして多くの店で、大吉のラーメンやギョーザの出前が食べられる。「シメにママたちがお酒飲みにくるよ」。

殿町で飲む人はハシゴ酒が好きだ。3軒4軒当たり前で、最後にラーメンを食べて解散。

さんざん飲んだ後、瓶ビールを傾けながらギョーザとメンマで3次会をし、ラーメンを頼んで、お腹を満たすのだ。

「オレは時間にルーズだからなぁ」

やっているうちに、だんだんとちょうどいい時間帯を見つけたのだろう。

どうせシャッターは閉めっぱなしで、やっているのかやっていないのかは曖昧だ。

4-大吉-ギョーザとビール

 

シャッターを閉めるワケ

開店当時はシャッター開けていたが、お客さんが閉めるようになった。

「仲間同士で酔っ払って入ってきて、ほかのお客さんが入ってこれないように閉めちゃうんだよ。はじめは閉められる度に開けてたんだけど、またすぐ閉めちゃう。あと仕込みしてる時に勝手にシャッター開けて入ってきて、シャッター締めて、『ラーメンちょーだい』ってみんな我が物顔。昔っからそうなんだよ」

いちいち開けるのも閉めるのも面倒くさくなって、そのまま閉めっぱなしになった。

 

6-大吉-外観

この写真を撮っていたら、歩いている人に「シャッターは閉めておけ」と言われた。愛されているなぁ。

ちなみに夏の間は、熱気がこもって暑いから、できるだけシャッターを開けている。

が、勝手に閉められる。

 

お客さんに麺の量を選ぶ権利はない

ラーメンを頼むと、5玉や7玉の超大盛りが出てきたりする。「ちょっとぉ! 大盛りやめてっていったしっ」「いっぺ(たくさん)食べてけさ」と麺の量に文句を言いながら笑い合うのが定番の風景だ。

「麺の量は、常連のお客さんに冗談で超大盛り出してたんだけど、それがいつのまにかウワサになって、普通の量で出すとがっかりされちゃうんだよね。そうしたらこっちも期待に応えなきゃってなるでしょ」これが「オレが大吉のルールだ」の真意らしい。

牛スジや煮干し、昆布、さば節が利かせたスープは実にあっさりとしており、自家製の細麺との相性もいい。いくらでも食べられそうな気がするが、7玉はさすがに多い。皮から手作りで開店以来同じ味を守り続けるギョーザは、お皿いっぱいのって450円の安心価格だ。

 

6-大吉-ラーメンでかい

3玉が入る大盛りの丼。食べても食べても麺が減らない……汗

 

IMG_3739トリミング

体格のいいお客さんには、5玉(!!)入るボウルで提供する。

6-大吉-餃子量多い

皿いっぱいで出てくる包みたてのギョーザ。20個くらい入っていた。

 

 

ガラガラガラ~

さっきのお客さん「もう入っていい?」

ご主人「まだ早いってー!」

さっきのお客さん「まぁまぁまぁまぁ」

ガラガラガラ~とシャッターを閉めて、中に入ってきた。

ご主人「今仕込んでるから、とりあえずビール飲んで待ってて。ギョーザ食べる?」

 

7-大吉-お客さん

「お客さん入ってきちゃったから、今日はもう愛し合えないけどごめんね!  お詫びにラーメンごちそうするから食べてけさっ」と取材は終了。

 

2時間仕込みをしながら、しゃべりっぱなし。

「オレはルーズだからさぁ~、決まった時間が苦手だし、味も量も適当なんだよ」というが、厨房はまことにキレイ。麺の量もギョーザの量も面白いくらい多いのはサービス精神の現れじゃないか。お客さんに親父ギャグを浴びせ、お客さんも冗談でシャッターを閉めて帰る。こういうやりとりがいつの間にか「殿町らしい」と街の名物になっていく。

オープンして37年。「来年、息子が長岡に帰ってくるんだよ。オレも年取っちゃったからさぁ、一緒にやろうと思って」。これからも大吉から目が離せない。

 

中華 大吉
[住所]新潟県長岡市殿町3-3-1
[電話]0258-36-8409
[営業時間]24時~朝4時ころ
[定休日]日曜(祝日の場合翌日)
[席]10席
[駐車場]なし

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