パンの売り上げ、一日2,000本!? 知られざるメガヒット「スターブレッド」の秘密
2017.2.8
JR長岡駅にほど近い老舗パン屋「マルシャン 本店」は、平日の通学時間帯は向かいにある高校の生徒たちでにぎわい、休日は多くのファミリーが訪れる、典型的な“街のパン屋さん”。ピーク時は約70種のパンがずらりと並び、「学生の頃から通っている」というファンも多い、地元に愛されるお店です。
人気の理由の一つに、遊び心あふれるさまざまなサービスがあります。例えば、300円以上の買い物をすれば、100円でラスク詰め放題のイベントがあったり(不定期開催)、毎月2の付く日の「じゃんけんの日」にスタッフとジャンケンをして勝つとラスク1つサービスになったり。さらに、毎週木曜は通常151円のカレーパンが130円に……などなど、つい通いたくなるうれしい特典がいっぱい。
創業から40年以上もの長きにわたって地元っ子に愛されているマルシャンですが、実はそんな“街のパン屋さん”の裏に、なんと隠された顔があります。
なんと、1日に2,000本売れている全国的ヒットの名物パンがあるんです。のんびりしたお店構えからは想像もつきませんが、いったい、どういうことなのでしょうか?
噂の大ヒットパンといよいよ遭遇!
さっそくお店に潜入してみると、店内には遠赤外線効果が高いという溶岩窯で焼き上げた自慢のパンたちが所狭しと並んでいます。
売れ筋は「暖食パン」や「キーマカレーパン」、「小倉クリーム」など。確かにおいしそうですが、どうやらこれがその噂のパンというわけではなさそうです……。
ありました!
これが大ヒット中のパン、その名も「スターブレッド」です。
水は使わず、牛乳と卵をたっぷり入れて、特製オーブンで焼き上げるスターブレッド。耳がなく、ふんわり柔らかい生地と優しい牛乳の味わいが特徴で、20年前から販売されているロングセラー商品です。
朝の10時なのに、棚には4本しか残っていません。さすが大ヒットパン……! 一日2000本だから随時焼いて店頭に出しているのでしょうか……。
そう思っていると、「スターブレッドは主に県外のお客さんに人気なんですよ」と、マルシャンの仲丸社長。け、県外!?
なんと、スターブレッドを一日2000本作って出荷しているのは、本店ではなく長岡市上前島町にある工場なのでした。工場は運転免許センター長岡支所の向かいにあり、ここから新潟の生協だけでなく、なんと、東北地方、東海地方、関東、近畿地方といった、全国各地の生協で販売しているのだそうです。
マルシャンのホームページをのぞいてみると、通販がいかに充実しているかが分かります。一見、なんの変哲もない昔ながらのパン屋さんに見えて、実は、全国に販売網をもつすごい会社だったとは……!
本店に並ぶのは味はミルク、チーズ、レーズンの3種類のみですが、通販ではそのほかの味も買うことができます。また、工場には直売店もあり、焼きたてを金・土曜限定で販売しているので要チェックです!
お客さんの声に応えて生まれた
「長時間発酵」
「スターブレッド」を開発した当時は、耳までカチッとしっかり焼くタイプの食パンが主流。ふわふわの柔らかいパンは、あまりなじみがありませんでした。しかし、創業者でもある会長の仲丸龍二さんは、ある日「柔らかいパンの方が好き」というお客さんの意見が多いことに気付きます。
配合にこだわったオリジナルの生地を低温で長時間発酵させることで、うま味を引き出しながら口溶けのいいふんわり食感を実現。時間がたってもしっとり感が持続するので、確かに通販にもピッタリです。一度食べたらやみつきになるデザートのような優しい甘さで、時代に合わせて改良を続けながら、今もロングセラーを保っています。
ちなみに暖食パンも、柔らかさにこだわった商品の一つ。発売当初は「おかゆパン」と笑われたこともあったけれど、今では本店の一番人気です。「焼きたてを型から外す時は、柔らかくてプルンッという感じ。つぶさないようコツがいるんです」とのこと。
地元に根ざした昔ながらのパン屋さんとして、また、全国の食卓においしいパンを届けるパン工場として……と、2つの顔を持つ驚異のベーカリー・マルシャン。
大ヒット作・スターブレッドは、地元の方なら本店や工場売店で購入することができます。午前中で売り切れてしまうことも多いので、ゲットするなら早めの時間がオススメ! 遠くにお住まいの方も、1日2000本の実力、ぜひ通販で体験してみてください。
Text and Photos:Sonoko Imaizumi
マルシャン 本店
[住所]新潟県長岡市学校町3-10-20
[休業日]なし
[営業時間]7時~19時(日・祝日は18時まで)
[HP]http://www.marcian.co.jp/