子育ての駅ちびっこ広場の「すごい牛乳パック工作」が再び!今回はパックの家の“新築”に密着
新潟県長岡市に、近隣のパパ、ママたちに大人気の無料で利用できる子育て支援施設がある。その名も「子育ての駅ちびっこ広場(以下「ちびっこ広場」)」。訪れるとすぐに目をひくのは、この施設にしかない牛乳やジュースの紙パックを使った手作り遊具の数々だ。車に家、テーブルに椅子といった様々な遊具で子どもたちが今日も元気いっぱい遊んでいる。
「な!ナガオカ」で、「ちびっこ広場」の牛乳パック工作を紹介したのは2016年11月のこと。椅子や踏み台を作るための牛乳パック工作の基本を教えていただいた。
→長岡にある子育て支援施設の牛乳パック工作がすごい!作り方を習ってきたレポ
以来、この記事は現在に至るまで、「な!ナガオカ」随一の人気記事となっている。また、「ちびっこ広場」では記事で取り上げられてから、見学希望が寄せられたり、また、他県の学生から「学園祭で牛乳パック工作に挑戦したい」と作り方の問い合わせがくるなど、様々な反響があったそうだ。
そんなときに「ちびっこ広場」の園長、関本恵子先生から「今度、あの家を作り直します」のお知らせが。一から作り方を見せていただくチャンス!と再度取材させていただくことに。というわけで、牛乳パック工作の第二弾。ちびっこ広場の先生たちに、大物作りのコツを習ってきた。
あっという間の解体作業
「ちびっこ広場」のシンボルともいえる、牛乳パックの家。オープン8周年記念の行事に合わせて、新たに作り直すことになった。
解体作業はさぞ大変なのでは……と思いながら見せていただいたが、柱と柱をとめてあるテープをはずせば、あっと言う間に解体完了。ものの5分程度で終わってしまった。家は壁パーツ4つと三角屋根の組み合わせでできている。そして、一つひとつのパーツが思いのほか軽い。女性が一人で運べるほどだ。この解体したパーツを見ながら、まったく同じ形で新しい家を作り直すのだという。
牛乳パック約460本分を使った
家の“新築”、いよいよスタート!
いよいよ、制作がスタート。解体した先代の家のパーツ写真と、必要なパック数を割り出した材料表が用意された。先代の家は牛乳のパックが中心だったが、今回は、ジュースの紙パックも多く使って、彩りがよりきれいな家を目指すという。ちなみに、牛乳やジュースの紙パックは1リットルサイズのものを使用する。
用意するもの
・牛乳やジュースの紙パック(口を開き、よく洗って乾かしたもの)
・幅広の透明テープ
・はさみ
<パーツごとの紙パック必要本数>
壁①(オレンジ系)……120本(オレンジ色75本と白色45本)+α(窓のすき間用)
壁②(白系)……93本+α(窓のすき間や入口用)
壁③(青系)……61本+α(すき間用)
壁④(緑系)……44本+α(すき間用)
屋根……60本+α(飾り用)
瓦……83本(62枚×4面)
合計461本+α
取材時に制作にあたっていたのは、長岡こども・医療・介護専門学校の保育科の学生たち。別の日には長岡市内の中学校の生徒たちが職場体験実習で制作参加したそう。今回の家は、たくさんの人たちの手を経てでき上がるのだ。
「軽さ」と「まっすぐさ」が命!
壁面の作り方
大きな制作物を作るにはいくつかのコツがある。まず一つ目は、からっぽの牛乳パックを使用することだ。踏み台や椅子を作る際には、上から体重をかけても壊れないように、中にたたんだ牛乳パックを詰めていたが、壁など立てて使うものを作る時には、中は空っぽでOK。中身を詰めると重くなりすぎ、扱いにくくなる。
二つ目は、牛乳パックを貼り合わせるときになるべくまっすぐ貼り合わせ、隙間を作らないようにすること。一人で作るよりは、二人組になって牛乳パックをおさえる人と、テープで貼る人に分かれるとよいという。また、平らな床や、壁際の垂直な面を利用して、まっすぐ、平らに組むとよい。パック同士を貼り合わせるときに曲がっているとテープにしわができてしまい、これもゆがみの原因になるので気をつけたい。
ちなみに、牛乳パックの規格は同じようでいて、メーカーによって微妙に差があることも。なるべく同じメーカーの牛乳パックを使うほうが歪みが出にくいそうだ。以上の点に注意して、以下、でき上がるまでの過程を簡単に紹介するので、参考にしてほしい。
1.牛乳やジュースの紙パックは、よく洗って乾かしたものを用意する。今回の「家」の場合は460~500本くらい必要。仕上がりをきれいにするには、牛乳やジュースのパッケージの色をオレンジ系、白系、青系、緑系などと分けておくといい。
2.紙パックの口の4隅に、折り目部分まで切り込みを入れ、たたんで口を幅広の透明テープでとめる。「家」制作の場合、紙パックの中には何も入れなくてよい。
3.口をとめた紙パックを組んで壁を作る。ここでは壁①の作り方を見ていく。まず、紙パック2本を並べ、透明テープで上部と下部をぐるりと巻いてくっつける。
4. 3.の2本一組のブロックを5つ用意し、縦につなげ、つなぎ目を透明テープで巻いてとめて柱状にする。
5. 柱状になったものを並べて、つなぎ目をテープで貼り合わせる。
6. 同様に柱など他のパーツも作る。
7. 柱と壁を貼り合わせる。大きなものを貼り合わせる際には、短く切ったテープで仮どめしながら作業するとやりやすい。
8. 窓枠になる白いパーツを横にわたして、壁①の基礎部分が完成。
9. さらに牛乳パックを必要なサイズに切って、窓や屋根を支える台を作る。壁②~④も同じ要領で作る。
壁面作りにあたった長岡こども・医療・介護専門学校保育科の学生たちは、最初は慎重に進めていたがまもなく「あ!貼り方のコツがわかった!」とみるみる作業スピードを上げていった。中には「パックの種類によって若干サイズが違うね」と鋭い発見をする人も。壁面作りや、のちに紹介する瓦作りはたくさんのパックを使うので、大勢で作業するのがオススメだし、楽しい。「ちびっこ広場」で紙パック工作のコツを習得した保育士のタマゴたち。このスキルが近い将来、幼稚園や保育園で役に立つ日も来るかもしれない。
柱の「貼り合わせ方」
屋根作り
10. 屋根の骨組みは、1辺につき5本分の紙パックで正方形を作り、8本の柱で三角屋根の形にする。
枠と屋根の骨となる柱を貼り合わせる際は、紙パックに切り込みを入れ、枠にかぶせるようにして、透明テープで貼り合わせる。とめ方は写真を参考にしてほしい。
11. 屋根の天井部分は、自由に飾り付けを。
12. 屋根瓦を作る。瓦用の型紙を作っておく。紙パックを開き、型紙をあてて同じ形に揃えて切り抜く。継ぎ目がある部分は厚いので使わない。1つのパックから3枚の瓦がとれる。
13. 屋根の骨組に、下の段から瓦を少しずつ重ねるように並べ、透明テープで貼っていく。ここでは、1つの面に約62枚の瓦を使っている。
14. 4枚の壁を①と②、③と④が向かい合わせになるように立てて、継ぎ目を透明テープでしっかりとつなぐ。
15. 屋根をのせて完成。
やや駆け足気味に紹介した牛乳パックの大型遊具の作り方だが、作っていくうちに、コツが飲みこめるはず。これを参考にし、ぜひオリジナルな牛乳パック工作にチャレンジしてみてほしい。
子どもの想像力を刺激する手作り遊具
完成した新しい「家」は、昨年、「ちびっこ広場」の8周年の記念日イベントでお披露目された。すぐに、子どもたちが待ってましたとばかりに出たり入ったりして遊び始める。先代よりもカラフルになった家は、「ちびっこ広場」の雰囲気をさらに一段と明るくしてくれているようだ。
記念イベントで、関本先生は来場した親子に「雪国で親子が一年中遊べる遊び場を、という市民の要望に応えて作られたこの広場が、8周年を迎えました。どうぞこれからもよろしくお願いします」と語った。ただの紙パックがどんなおもちゃにも変身するという可能性を知り、アイディア次第でいくらでも新しいものを生み出せるというワクワク感を覚えた子どもたちは、どんな成長をしていくのだろうか。オリジナリティあふれる手作り遊具で、子どもたちの創造性を刺激し、楽しませてくれる「ちびっこ広場」。これからも、長岡の親子にとってかけがえのない場所であり続けることだろう。
Text and Photos: Chiharu Kawauchi
●Information
子育ての駅 ちびっこ広場/まちなか絵本館
[住所]〒940-0062 新潟県長岡市大手通2丁目5番地
[電話]0258-39-2775
[開館時間]午前9時から午後6時まで
[休館日]年末年始(12/30~1/1)
[入館料]無料
[駐車場]市営駐車場または市提携駐車場をご利用の方は、駐車料金が1時間無料となります。駐車券を必ずお持ちください。
[ホームページ]http://www.city.nagaoka.niigata.jp/kosodate/cate99/tibiko_hiroba/
取材協力/長岡こども・医療・介護専門学校 http://n-heart-web.net/