工場の上にある乾燥室に干された車麩。昔は屋根に並べて天日に干したそうですが、現在は1階の熱を取り入れ、扇風機で風を回して丁寧に乾燥させます。

輪切りから乾燥、袋詰め、梱包、発送作業は女性たちが担当。時間をかけ、多くの人の手で真心込めて作られた車麩が、こうして店頭に並ぶ商品となります。

女性スタッフのチームワークで袋詰めされ、店頭に並べられた商品。

店舗を切り盛りするのは社長夫人の木宮満智子さん。常連さんと会話をして、車麩を使ったレシピも配布しています。

「麩は水に入れて戻す人が多いと思いますが、お湯で戻すとふっくら膨らんで食感もいいんですよ。揚げ物にしたり、フレンチトーストやピザ風にしたり、アイデア次第でいろいろ使える食材なので、若い人たちにもどんどん食べてもらいたいですね。長岡市の給食では『車麩の揚げ煮』が人気メニューですが、麩は油と相性がいいんです。豚のバラ肉や油揚げと一緒に煮てもおいしいですよ」(満智子さん)

接客する満智子さん。来店したお客さんの相談に乗ったり、レシピを配布したり、車麩にもっと親しんでもらうための努力に余念がありません。

生産者直伝の食べ方動画も!
次世代に伝える試みは続く

カチカチに乾燥した車麩は未開封なら1年ほどの賞味期限があり、非常時のためにも備蓄したい食材のひとつ。調理の際は、まず水やお湯で柔らかくなるまで戻してから使います。冷凍もできるので、多めに戻して冷凍保存もおすすめです。

カラッと揚げて甘辛いタレをからめる、給食の人気メニューでもある「車麩の揚げ煮」。

沖縄名物フーチャンプルーも車麩を使って食べ応えのあるおかずに。

子どもたちが大好きなサクサクの車麩フライ。

煮汁をたっぷり吸う車麩は、どんな具材と一緒に煮てもよく合います。

煮物、炒め物、揚げ物など、たくさんの調理法でおいしく食べることができます。満智子さんが調理し、大基さんが撮影した生産者直伝の食べ方動画もYouTubeにアップされているので、上手な戻し方や調理法を参考にぜひトライしてみてください。

車麩の戻し方

おすすめのひと手間

車麩の揚げ煮

 

大基さんの妻・香さんのおなかに新しい命が宿り、第一子にして初孫となる赤ちゃん誕生を待ちわびる日々。まもなく5代目へ渡される木宮商店のバトンは、輝かしい未来へとつながっていきます。

 

Text: Akiko Matsumaru
Photo: Hirokuni Iketo, Akiko Matsumaru

●Information
木宮商店
[住所]新潟県長岡市殿町1-6-5
[電話番号]0258-32-1753
[営業時間]8:00〜19:00 ※不定休
[URL]http://www.stylish-arts.jp/customer_wp/kimiya/

関連する記事