2月26日に開催決定! 豪雪の長岡で育まれた食材を堪能する「スノーフルコース」
雪国の食と文化をきちんと伝えたい
――まずは、栗原さんにいくつか質問を。
どのような経緯で「スノーフルコース」の企画は生まれたのでしょう?
栗原「ながおか・若者・しごと機構の『ながおか若者会議』で様々なプロジェクトが立ち上がる中、食に興味のある人たちの『食チーム』がワークショップを重ね、豪雪地帯ならではの暮らしと食を再認識してブランド化を進めていました。その過程で、一夜限りのスペシャルディナー『スノーフルコース』のアイデアが生まれたんです。雪国の食文化、伝統、歴史、風土を体感するイベントで、昨年の第1回は若者会議に参加したメンバーが中心となって企画しました」
――日程と会場を「長岡雪しか祭り」に合わせたのはなぜでしょう?
栗原「まずは、雪やお祭りの雪花火を鑑賞しながら料理を味わってほしいという意図がありました。『長岡雪しか祭り』の『雪しか』とは、冷蔵庫が普及する以前、雪を冷蔵用に販売していた『雪しか屋』の屋号に由来することもあり、雪文化つながりのお祭りと同時に開催してみたらどうだろうかと。そこで、雪しか祭り実行委員会の人にも加わってもらい、一緒に進めていきました」
食事と花火で彩られた昨年度
長岡市で活躍する食のプロフェッショナルが集結するながおか若者会議・食チーム。それぞれの得意分野を生かしてアイデアを出し合って料理のメニューを決め、ジャンルを横断しつつ「スノーフルコース」の企画は練り上げられていきました。
ここからは2016年2月20日に開催された、昨年の様子をお伝えします。
会場は、「長岡雪しか祭り」が開催されている千秋が原ふるさとの森内の長岡リリックホール。バスに乗り、到着した参加者たちは「雪しか祭り」名物の塞の神を見学してからホールへ。
白いクロスが掛けられ、レストランのような設えで整えられたテーブルがずらり。長岡造形大学の学生が長岡市小国町の「小国和紙」で作った光るフラワーベースと、料理やお酒について記した手書きのプレースマットが置かれ、温もりを演出。和紙も雪の恵みを受けて作られたものだということが、この後のトークで語られました。
全員が着席したのを見計らって、朝日酒造の蔵人による越後酒造り唄で開宴。雪が降る時期に最盛期を迎える酒造りは連日の夜通し作業となり、辛さや寒さ、眠気を紛らわせ、気持ちを奮い立たせるために歌われた唄です。
酒造り唄の後は、みんなで乾杯! 升に入った朝日山の千寿盃が振舞われ、食チームのリーダーでSUZUグループオーナーシェフの鈴木将さんによる「雪国の暮らしや文化をまるごと楽しんでください」と挨拶からコースが始まりました。
4人のシェフが日本酒との調和を意識して考案し、手がけた創作料理は、冬にうま味を増した食材と長岡ならではの郷土料理がベース。ストーリー仕立てで地酒と共に提供され、シェフそれぞれが料理に込めた想いを聞きながら味わうフルコースとなりました。
雪室でうま味アップ、野菜尽くしのひと皿目
前菜は2種用意され、まずは鈴木将さんによる「前菜~雪国保存食の歴史。新食文化の提案~」からスタート。雪室で貯蔵し、うま味が増した大根、ニンジン、ジャガイモなど5種の野菜を使い、個性を生かした食べ方を新提案。伝統ある酒蔵の日本酒は、フレッシュハーブを浮かせてワイングラスでいただきます。
酒盗や酒粕、発酵食でお酒が進むふた皿目
続くもう1種は、朝日酒造直営の日本料理店「あさひ山 蛍庵」の浅野訓弘さんによる「前菜~地場野菜の創作。長岡ガストロノミーの可能性~」。酒粕や酒盗を使ったお酒が進む内容で、契約農家が作った野菜を使って見た目も華やか。料理に華を添えるのは、雪を眺めつつ味わうのにぴったりの地酒「越州 雪げしき」でした。
地鶏も野菜も栃尾産のメインディッシュ
お待ちかねのメインディッシュは「とちおの洋食屋さん espoir」オーナーシェフの高林正和さんから、栃尾の菅畑集落で育てられた地鶏「虎千代鶏」を使用したひと皿、「~豪雪地栃尾地区の恵みと伝統~栃尾産新潟地鶏と栃尾産ヒラタケのクリーム煮込 煮菜と醤油の実を添えて」です。栃尾・毘沙門堂のおからを使ったサラダと栃堀産の“世界一の大豆”のサラダ、甘く煮た白ニンジンも添えて、それぞれの食感を生かした栃尾食材のハーモニー。同じく栃尾産「越の鶴 壱醸 純米酒」が、共に味わうお酒として添えられました。
締めは長岡の郷土料理「のっぺ」のわっぱ飯
続く鈴木将さんの越後ののっぺいのわっぱ飯「お食事 ~暮らしの知恵 世界に誇るくいだおれの町~」は、雪が積もるお正月に食べる長岡の郷土料理「のっぺ」がベース。シイタケや干し野菜、ホタテで取った出汁をしっかり利かせ、具材ゴロゴロのごはんにいくらたっぷりのハレの日仕様。
新潟の希少なイチゴ「越後姫」のデザート
デザートは「PATISSERIE CAFE VIGO」のオーナーパティシエ、河上剣斗さん作の「甘味~その先の未来へ 雪国の可能性~」。ジューシーで柔らかいため、流通に乗りづらい新潟のイチゴ「越後姫」と、冬のたんぱく源を補おうと豪雪地帯で伝統的に作られてきた大豆の保存食「うち豆」を使用。
そのデザートのタイミングで、大輪の花火が上がるという粋な演出が。雪上の最高のロケーションで、真冬の澄んだ空に咲いた花火の美しさにみんなうっとり。シャッターチャンスにスマホやカメラを取り出す人も。
2016年の様子は下の動画でも見ることができます。
期待が高まる第2回、今年はランチを
――大盛況を果たした昨年ですが、今年の企画はどんなものになる予定なのでしょう。
栗原「昨年、お客さまからたくさんの感想をいただきました。『長岡で暮らしていて、雪がうっとうしいと思っていたけれど、恵みがあることに気付けました』など概ね好評でしたが、内容が盛りだくさんだったので『もっとゆっくり食事を楽しみたかった』という意見も。そこで今年は、食事中にイベントを詰め込まず、1時間ほどのランチを計画中です。
県外の方を長岡に呼び込みたいので、今回は1泊2日の『スノーツアー』に『スノーフルコース』を組み込んで実施します。昨年のイベントにも登場した朝日酒造と小国和紙を見学したり、紙漉きを体験したり、夜には『雪洞火ぼたる祭』もあり、雪上花火も。今後は単発ではなく、冬季のイベントとして2月・3月を『雪国越後食の文化祭~スノーガストロノミーフェスティバル~』として盛り上げ、雪が多い長岡だからこその豊かな食と文化をより多くの人に伝えていきたいですね」
長岡の雄大な自然環境と豪雪がもたらす贅沢な「スノーフルコース」を、ランチで気軽に味わい、長岡を再発見するチャンス。雪がちょっとしんどいなと感じている人、雪にもっと親しみたい人は、そのギフトを受け止めてみてはいかがでしょう。
スノーフルコース
[日時]2月26日(日)11:45〜12:55 (長岡駅集合11:00・解散13:30)
[料金]3,000円
[電話]0258-86-6008(ながおか・若者・しごと機構)
[定員]先着20名