受験生必見!「ごを書く石」で合格間違いなし!? 菅原道真ゆかりの「合格祈願祭」
今年もいよいよ残りわずか。年末年始は実家へ帰省したり、家族でゆっくり過ごしたりしようと楽しみしている方も多いのではないでしょうか。しかし、お休みモードに入る世間の雰囲気とは対照的に、心落ち着かないのが受験生。数ヶ月後に控える試験に向けて気が抜けません。
試験で実力を出し切ることはもちろん大切ですが、合否には多少の運も伴ってくるため、最後は神頼みもしておきたいもの。初詣での合格祈願も良いですが、せっかくなら「学問の神様」にもお願いしてみませんか?
というわけで今回は、受験生とサポーターの親御さん必見!新潟県長岡市栃尾地区の「来伝天神合格祈願祭」レポートと、これからでも間に合う祈願情報をご紹介します。
「学問の神様」が祀られた菅原神社
長岡市栃尾の山間部、豪雪で知られる守門岳のふもとにある上来伝(かみらいでん)地区。以前「な!ナガオカ」で紹介した「ほだれ祭」の会場である下来伝地区から約1km離れた場所に位置しています。
→外国人にも大人気! 男根をまつる栃尾の奇祭「ほだれ祭」レポート
この地域を古くから見守っているのが、学問の神様・菅原道真(すがわらのみちざね)を祀った「菅原神社」。古杉に囲まれた小さなお宮が建つ神社で、地元では親しみを込めて「来伝天神様」と呼ばれています。
菅原道真にゆかりのある神社は全国各地にあり、有名なのは福岡「大宰府天満宮」、京都「北野天満宮」、東京「湯島天神」など。どこも受験シーズンは、合格祈願をする受験生たちで混雑する人気スポットです。
「来伝天神合格祈願祭」がはじまった経緯
栃尾上来伝地区に菅原神社が建てられたのは、文献が残っていないほど昔のこと。由来は今ひとつわからないものの、約40年前に、「せっかく学問の神様がいるのだから、地域を盛り上げよう!」と20名の地区役員が一念発起し、この神社を中心としたお祭りを企画しました。深刻な過疎化が進んでいた当時、新たな活動は希望の光だったのです。
「最初は地元の受験生にお祓いをすることからスタートしたんだ。その後、何かグッズを作ったらどうかという案が出たみたいでね。それで『合格セット』を作ったそうだよ」
こう話すのは、長岡市上来伝区長の諸橋昇一さん。自身のお子さんも「来伝天神合格祈願祭」でお祓いを受け、高校受験と大学受験に見事合格したというご利益があったそう。
「日本全国に菅原神社は数あれど、受験生に縁起物をセット販売しているのはめずらしいかもしれないね」
その合格セットがこちら!「ごを書く石」、お札、お守り、絵馬、コーヒーカップの5点セットです。注目すべきは「ごを書く石」。これって一体なんでしょうか!?
「ごを書く石とは『合格石』のこと。石に『ご』『五』『GO』などを書くことで縁起物になる。受験生自身が絶対合格を勝ち取るんだという、強い意志をもって書くことが重要だね」
栃尾地域に流れる刈谷田川の自然石を、神主が祓い清めた「ごを書く石」。源流である守門岳の向こうは福島県。苦難があっても、山を乗り越えれば「福」に通じるという縁起の良さも加わっています。
地道な活動を続けることで、
まちおこしにつなげたい
約40年前に村おこしの一環でスタートした「来伝天神合格祈願祭」ですが、現在も過疎化の悩みは続いています。上来伝地区の集落は現在わずか28軒で、小学生2人、中学生4人、高校生は2人しかいないそうです。
「ここら辺は小さな地区だけど、合格祈願祭では県内外から毎年500人もが押し寄せるんだ。人が来るっていうのは嬉しいもんだよね」
近年、栃尾の山間部地域では、独自文化や自然を活かしたPRに力を入れています。下来伝「ほだれ祭」、栗山沢「しだれ桜」、広瀬郷と栃尾郷を結ぶ山道「石峠旧街道」など、最近はクチコミに加えてSNSによる情報シェアのおかげで、お客さんは年々増えているそうです。
「一時的にイベントでお客さんが大勢来ても、移住したくなるほど魅力を感じてもらうには時間がかかる。それでもコツコツ継続することは大事だね」
寒空の中、受験生たちが殺到!
11月某日、時刻は午前8時。下田方面から栃尾地区へ向かうと、会場の約1km手前に「合格街道」の看板を発見!その先を進むと、会場周辺にはたくさんの車が停まっています。
徒歩で会場の菅原神社へ向かうと、すでに受験生やその親たちでにぎわっています。午前7時に受付開始ですが、5時半頃には会場へ到着している強者もいるのだとか。
会場に着いたら、まずは受付で記名をして合格セットを購入しましょう。地元受験生のほか、新潟市、小千谷市、魚沼市、上越市など遠方からの来訪者も多く、さらには東京都や埼玉市など、県外からわざわざこの日のために足を運んだという方もいました。
受付を済ませたら、お宮の中でお祓いをしていただきます。小さなお宮のため、一度に入場できるのは80人ほど。ちなみにこの日は約500人の来場者があり、自分の順番が来るまでみなさん思い思いに時間を過ごしていました。
いよいよお祓いスタート!
午前9時、いよいよ一組目のお祓いが始まります。スタッフの合図と共に、続々と受験生たちがお宮に入り始めました。
宮司さんが登場したところでお祓い開始。受験生や保護者の皆さんは、どことなく緊張した面持ちです。
神事が行われる時間は約30分。受験生がベストを出しきって合格を掴み取れるようにと心を込めて祈祷してくれます。
祈祷文には「もし誤って学びの道を踏み外すことがあるならば、見直してやり直してみよ」という内容がありました。神事最後の講話では、宮司さんがこの内容についてこんな解説を付け加えていました。
「受験生のみなさんは、これまでに試行錯誤をしてさまざまな勉強スタイルを取り入れてきたかと思います。しかし、もし今の方法が間違っていると感じたなら、一度立ち止まって軌道修正する勇気が必要です。最後まで自分のベストを尽くしてください」
中学生や高校生にもわかりやすい言葉で伝える宮司さん。きっと受験生たちの心に深く残ったのではないでしょうか。
地元のおかあさんたちの
笑顔にパワーをいただく
お祓いが終了したら、最後に嬉しいサービスが待っています。
地元のおかあさん達が心を込めて握った「塩(えん)むすび」の無料ふるまいです。「合格に縁がありますように」という願いを込めて、栃尾産の新米コシヒカリをいただきましょう。塩気が強くお米の甘さが引き立ったおむすびは最高の味わい!
受験生にインタビュー
無事に合格祈願を終えた受験生たち。受験というプレッシャーの中、今はどのような心境でいるのでしょうか?インタビューをしました。
「小学校からずっと一緒に過ごしてきた気の合うメンバーです。今日は応援してくれている母親と一緒に来ました。高校は別々になりますが、皆で励まし合って絶対全員が合格します!」
「ネット検索で合格祈願祭を知りました。県内には他にも受験生にご利益のある神社はありますが、こちらの方が近場ですし効験もありそうかなと。石には『合』の字を書いて勉強の励みにしたいと思います」
「以前、父と母がたまたま栃尾ドライブをしていたときに、合格祈願祭の看板を見つけたのがきっかけで来ました。今は時間のある限り参考書を開いて勉強に徹しています。ご利益にあやかれるように頑張りたいです」
受験生の皆さんは祈願をしたことで、さらに志望校合格への強い思いを持ったようでした。あとは試験までの残り時間でベストを尽くすのみ。まさに「人事を尽くして天命を待つ」ですが、「来伝天神合格祈願祭」の合格グッズやお祓い経験があることで、きっと心強く感じられるはずです。
受験生必見!まだ間に合う
「合格セット」購入方法
「合格祈願祭に行けなかった……」と悔やむ受験生のみなさんに朗報です!期日後でも、石、お札、お守り、絵馬、コーヒーカップの5点がセットになった「合格セット」は手に入れることができるんです。
販売場所は菅原神社社務所、孫四郎商店、栃尾観光協会(道の駅R290とちお内)(3月上旬頃まで)。1~3月の吉日に神主が心を込めてお祓いをしてくれます。
高校受験や大学受験だけではなく、資格試験合格の祈願をしたい方にもおすすめの「来伝天神合格祈願祭」。開催は毎年11月第4日曜日。次回は2018年11月25日(日)です。縁起のよい「合格グッズ」は頑張る受験生たちの励みになってくれるはず。詳細はHPをチェックしてみてください。
Text & Photos : Mariko Watanabe
来伝天神合格祈願祭
[日時] 毎年11月第4日曜日 午前9:00~正午12:00頃
[会場] 新潟県長岡市来伝2699 菅原神社
[問合せ] 0258-51-1195(栃尾観光協会)
[HP]栃尾観光協会 http://tochiokankou.jp/matsuri/goukaku.html